表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/22

序・生徒会長の就任式

序・生徒会長の就任式


「私が! 今年度(こんねんど)の! このアイゼントゥーア闘士育成高等学院とうしいくせいこうとうがくいん生徒会長(せいとかいちょう)選出(せんしゅつ)された、セルフィナ・イーダである!! 見ての通り、女子(おなご)の身ではあるが、そこらの男どもには剣先(けんさき)を触れさせる事すらできない剣技(けんぎ)と、専門魔導士系(せんもんまどうしけい)生徒(せいと)にも(おと)らぬ魔導(まどう)の腕を()(そな)えていると自覚(じかく)もしているし、それが(みと)められた結果(けっか)ゆえに生徒会長の(せき)が回されてきた。生徒諸君各々せいとしょくんおのおの、私の運営(うんえい)する事になる生徒会の方針(ほうしん)疑問(ぎもん)あらば、忌憚(きたん)なく私に直言(ちょくげん)してくれたまえ!!」


 すっげえ。颯爽(さっそう)とした様子(ようす)ながらも、強烈(きょうれつ)精気(せいき)意志力(いしりょく)を乗せた挨拶(あいさつ)をぶちかましてきた、今年度の生徒会長。セルフィナというらしい。直毛(ちょくもう)のプラチナブロンドに、燦燦(さんさん)(かがや)く青い目を持った、ちょいグラマーな長身(ちょうしん)女子(じょし)。どうやら、この四年制(よねんせい)の高等学院の二年生(にねんせい)らしいのだが。同じ二年生の(オレ)とはえらい(ちが)いだ。

 ホールの壇上(だんじょう)で、滔々(とうとう)熱弁(ねつべん)をかまし(つづ)けるセルフィナの言葉(ことば)は、そこらへんから俺の耳に入らなくなってきた。

 なぜかって? 俺が自分の頭の中でいろいろ考え始めたからだ。


 この世界、『ルールメイカー』には、様々なルールがある。

 まずは、その人間の心が現れるという『魂属性(たましいぞくせい)』。

 これは、「(せい)」「中庸(ちゅうよう)」「(じゃ)」の三属性(さんぞくせい)に分けられ、その形によって人間の能力を活かす『職業(しょくぎょう)』に対する(しば)りが生まれる。

 人々を守る職業である「(さむらい)」には聖か中庸でしかなれず、また、人々の上に立つ貴種(きしゅ)である「聖騎士(パラディン)」には聖でしかなれない。

 「魔導士(マージ)」は自由な職で、聖であろうが中庸であろうが邪であろうが、精霊神(せいれいしん)信仰(しんこう)していればなることができる。

 「戦士(ファイター)」に(いた)っては、おのれの腕力さえあれば精霊神を信仰する必要すらなく、聖邪中庸を問わずになれる職業である。

 「暗殺者(アサシン)」という職業もあるが、これには利益のためにおのれの心を極限(きょくげん)まで殺す冷酷(れいこく)さが必要になるため、ふつうは邪の心を持った奴くらいしかなれないし、なろうとはしない。


 そして、俺の職業なんだが……。

僧侶(プリースト)」である。

 さらに俺は、何というか。とても素行が悪い。なにせい、邪神信仰の家系の育ちだからな。

「僧侶」はそれになるためにちょっと変わった条件があって。

「聖邪問わずに強い信心」を持つものがなれるという特性がある。

 要するに、「聖神(せいしん)ホリア」を信じていようが、「邪神(じゃしん)イヴル」を信じていようが。その想いが強ければ、僧侶の技である(いや)しの術を振るえるというわけである。


 そう、俺は。「邪教の僧侶」という職業なわけだ。


 ちなみに、壇上で熱弁をふるっていたセルフィナはすでに壇上にいなくなっていたが、あいつの言葉の一部が耳に残っていて。

 あいつは、「聖の侍」という職業らしい。


 なんにしても、勝手にやってくれだ。「聖人でござい」と顔に貼り付けた連中を相手にするほど、俺は愚直じゃないんでね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ