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その口吻は毒より甘く  作者: 門音日月
第1章 売身都市
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8話 市場の雑踏で

 結局、コイツについて街を出ることにした。

 市場で旅に必要な物を買い揃える時、やたらとオレに何がどれだけ必要か聞いてきた。

「自分が必要な物くらい分かんだろうが」

「私一人なら、特に必要ないんだけどね。ゴーヴァンは色々と必要だろう? 水であれ、食べるものであれ、ね」

 変なことを言うから、大して離れてない場所なのかと思えば「私一人なら二日もかからないけど、君の足だとわからないさね」だとか、余計わからねえこと言いやがる。

「お嬢ちゃんはお迎えでも来てくれるのか? 勝手に運んでくれるんなら、何も考えくてもいいわな」

「いや、送り迎えはやってくれなくてね。今回は金銭関係と、ここでの滞在先の面倒だけを見て貰う約束だからね」

「金持ってることにゃ変わんねえだろうが」

 自分が背負った荷物をみて、そう思う。

 保存のきく食い物を買う時に、店主から一番近い宿場町までどの程度の距離かは確認したし、昔あの人が狩りに連れて行ってくれた時に持っていた荷物を思い出しながら買った荷物だ。コイツの分に関しては、本人がいらないって言うから買ってねえが、それなりの荷物ではある。

 しかし本当に金だけは持ってるんだな、コイツ。

 故郷にいた頃は、金なんてほとんど目にすることはなかったが、コイツがなにか買うたびに渡す金を見て、どの店でも驚いた顔をしてたんだから払いすぎだったんだろう。きっと。

 これだけ身の回りの装備揃えられんなら、コイツおいて故郷を目指すのも有りっちゃ有りか。あの人のことを伝えたい人もいるしな。

 そうだ、まだ買い忘れてた物があったな。

「オイ、後……あれ、どこ行った」

 市場の雑踏ではぐれたのか、女の姿が見当たらなくなっていた。

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