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第一話 魚の大きな悩み事


土稲(といな)火彩(かさい)水凪(みずなぎ)風間(かざま)の一族は、それぞれ"來己(らいこ)"尼涙(あまるい)"(みのり)""短暗(たんあ)"という初代頭首の名を名乗る習慣がある。


これらの名を名乗ることを許されるのはノーム、サラマンダー、ウンディーネ、シルフィーネと呼ばれるそれぞれ最上級の権威を持つ者。


一一族につき1人、男女問わず存在する彼らは人間離れした運動能力を誇る。















花の乙女は悩みが多い。色恋が主な悩みだとよく聞くが、彼女──花の乙女真っ盛りなはずの北霜羽詩羅の悩みは台所に置かれた魚との終わりのみえない対決だ。


とは言え相手はすでに光を移さない目をした死人ーもとい、死魚。少女が彼、─はたまた彼女─を看取ったのは記憶に新しい僅か一時間前のことである。


腕組みをした少女はこれでもかというほど首を横に倒した。その目は真剣そのものである。


そんな彼女の頭を閉めている悩みは、ずばりこの魚をどうするかということだ。




新鮮な魚が手に入った。さぁ焼き魚にするか、刺身にするか。



焼き魚にしてしまえば調理は楽、しかし刺身で味わう新鮮さは損なわれる。刺身にしてしまえば調理に時間と手間がかかる。まさに楽をとるか新鮮さを取るかの究極の選択である。


「あ」


ふとそこで、少女が声を上げ手を叩いた。まさに何か閃いた!という仕草だ。


ごそごそとエプロンから取り出した花の乙女が持つに相応しくない一物、怪しく光るバタフライナイフを魚に向けた。


「間ちゃん!あんたの死は無駄にはしない。この北霜羽詩羅が立派な干物にしてあげる!」


二時間、二時間も焼き魚にするか刺身にするか悩んだ末に何故干物へと転向するのか。間ちゃんと名付けられた魚に意志があれば、新鮮さを取るという選択肢はどこに行ったのだとつっこみを入れても罪はないほどの転向ぶりだ。


「干物だったら日持ちするしね!」













声高らかに魚、否、間ちゃんを卸し始めた少女の名前は北霜羽詩羅。読みは"キタシモハシラ"。純日本人の18歳。


身長は156で体重は43とよく言えばスリム悪くいえば幼児体型、運動神経はそこそこで、高校中退、現在はスーパーの裏方のアルバイト。


容姿は至って普通。黒髪黒眼で長めな睫毛に縁取られた大きな目が唯一人目を引くと言えるだろう。






少女の名前は北霜羽詩羅






"実"を名乗ることを目標に持つ、土稲に育てられた、火彩の末裔。

髪型はセミロング

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