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第八十四話:恐怖の論文発表

十月二十二日、国の名前に不備があったので修正しました。


国の名前を考えて居る時に適当に打ったアットマークが残ってましたああもう。

 僕達は内部へと戻って来た。

 中央に有る大きな……まるで大学の教室みたいな、国会みたいな所だ。

 殆どが木材で出来て居る。しっかりと話を聞か無いと良いのに木の香りでリラックスして了う。


 真ん中には丸い受付台みたいな机が在り、其れを囲う様に段々に座席が連なって居るみたいだ。

 勿論、飲食物は持ち込み禁止だ。


 只、僕達が座って居る座席から見えるのは発表して居る人の後頭部しか見えない。


「えー……からにして……転移魔法を扱えるのは族だけに成り……

 純粋な魔力保有量の違いで無く──」


「……なぁ、アレ何やってんだ?」

 ファルダが発表をして居るヅィー族の男性を不思議そうに指す。


「魔法の論文発表。此処はそもそも其う云う場だからね、屋台とかはおまけさ。」


「へー……。」

 彼は其の話を訊くと前を向き直した。


「つまり、ビョグベッドの法則は間違いに成り……。」


 ビョグベッドの法則は属性は種族に依って左右され無いと云う事だ。

 発見したのがビョグベッド・ポーレと云う魔導師が発見した法則だから其う云う名が付いて居る。


 と云うのも、昔はヅィー族は基本四属性が、獣人系統は魔法は使えず、アリーク族は変則三属性が使える、族は色々な魔術が使えると思われて居たらしいのだ。

 獣人は魔力を保た無い、とか言われて居たみたいだ。


 けれど、魔力も保た無いとされて居た獣人が魔法が使える事が判明し、ヅィー族でも変則三属性が使える事が判明し、族は山岳地帯に住んで居るから変則三属性の知識が発達して居り、族は元々魔力が多いから変則三属性が使い易いだけだった。

 今では通説とされて居るのが、此の人は其れを覆しに来たみたいだ。


 百年前位に発見されて今では常識レベルの話だから、覆せれば勿論途轍も無い話だ。


 彼が言って居る話を纏めると、転移魔法は魔力を多く使う。

 魔石を使わ無い限りアリーク族意外は使え無い、此れは承知の事実だ。

 ……まぁアリーク族でも使うと危うく死にかけるのだが。


 其処で、アリーク族は第八の属性、ヒュㇺベㇳ゛属性……もし日本語に直すなら場所属性、とか位置属性だろうか。

 其れが有るんじゃないかと言って居る訳だ。


 根拠してさっき言った事と、魔石で魔法を発動する場合魔力の発動先が術者では無く魔石で、アリーク族はヒュㇺベㇳ゛属性を持って居るから生身でも使えるのじゃないかと云う主張だ。


 正直最初は魔法の理論とか聞いた時は最初は訳が分から無かった。魔法は奇跡を起こす物では無いのかと思った。

 けれど、科学の理論だって知識が無ければ訳が分から無い、何故平行世界が理論上は存在するのかと。


 ……僕が転生した事に依り証明されて了ったけれど。


 だから、奇跡を起こす物、では無く理論立てて其の上で使える物だと思って居る。

 此う見ると科学っぽい側面は有るのかも知れない。


 多分文明も那方依りは発達して無いので未だ未だ分から無い事も多いのだが。


「ヒュㇺベㇳ゛属性はアリーク族にしか存在せず、他の種族には持って無い物と云う事なのです。」

 

「何か質問は……。」

 彼はくるっと観客を一周する様に見て居る。

 僕とも眼が合った。青色の眼がぴたっと合ったのだが何故かびくびくして居た。

 

 質問は有るのだが……本当に、言って良いのだろうか。

 其う思って手が挙がら無い。何だか、むず痒い気持ちに成る。

 言って良いのに、何故言え無いのだろうか。


「はい。」

 ファール族の男性が手を挙げた。

 角が二本有るだけ、で判断して居るからもしかしたら女性かも知れない。

 体格的に男性だとは思うのだが。


 扉の近くに居るから学会の審査員だろう。


「其れを表す証拠は何処に有るんですか?」

 やや高い声で彼を問い詰める。

 会場内に張り詰めた空気が漂う。


 僕も背筋を伸ばして其の審査員を見詰めた。


 そう、僕も気に成って居た。

 彼、憶測だけで具体的な証拠は言って居無い様に感じるのだ。


「はい、ドゥエㇰ゛共和国に赴いて……しっかり確認……。」


「いえ、だから其処の物的証拠は統計的証拠は何処に有るのですか?

 しっかり検証したんですか? 無いと、認められませんよ。」

 会場がざわつき始める。


「えぇっと……。」

 彼は言葉に詰まる。汗の臭いが此方迄漂って来る。


 そうだそうだと言って会場内からブーイングが湧き上がった。

 まるで、ミスをしたスポーツ選手を見て居る観客みたいに。


 ……恐ろしい所だ。此処は。

 僕は其れを見て心臓がキュッと締め上がる様な感覚に陥った。


 もし、僕が発表して其んなブーイングを受けるかと思うと心臓がバクバクとして来る。


「つまんない。」

 唐突に、ファルダが言った。


「まぁ……そっか……。」 

 そりゃあ、魔物が聞いても意味が無いだろう。

 余り僕等の元を離れるのは悪いと思ったからなのだけれど。


 如何しようか。


「俺も。」

 ガルジェも其れに乗っかるみたいに僕に話し掛けて来た。


「えぇぇ!?」

 大きい声で驚いて了った。きっと、他の声で掻き消されて聞こえては無いだろう。多分。

 彼の眼は半分閉じて居て眠そうだった。


 僕は頭を抱えた。彼は、一応乗り気だったのにな。

 ……しょうがない、此処で寝られても困るし、彼等には外を見回って貰おう。


 ガルが制御してくれるかは……正直分から無いが。


「えぇっと……そしたらね……確か外に楽器奏者とか……魔導芸能とかやってる人居るから……其う云うの見て来な。

 地図に書いて有ると思うから。」


「へーい。」

 彼はファルダの手を取って席を離れて了った。


「おいおい……良いのか?」

 ヷルトが席を詰めて来た。

 びっくりした様に僕の方を振り向いて肩を叩く。


「うん。まぁ……興味無いんだったら、しょうがないし。」

 僕は、ははと笑った。乾いた笑いには成って無いだろうか。


 無理矢理彼等を引き止める理由何て何処にも無い。

 其う此うして居る内に、他の人が台に立った。


「私が発見したのは呪いに付いての──」


* * *


 僕等は其の部屋から出て来た、

 今日の論文発表を全て見て来たのだ。


 結局、認められた人は一人も居無かった。

 中には、魔導師として認められて居る人も居たのだが其れでも、だった。


 其の時々にブーイングが上がり

 中には大人泣きをして居る人も居た。


「……何か……途んでも無い所だったな。」

 隣に歩いて居る彼が疲れた様な、窶れた様な表情で僕を見て来る。


「うん……毎年毎年此んな感じ……

 魔導師の名に肖りたい人も一杯居るし……。」


「うわ。」

 彼は眉を顰めて引いて居る。


「魔導師に為れば国から研究資金も出るしねー……。」

「何の位?」


「まぁ、最大で生涯暮らせる位には。」

 淡々と、吐き捨てるみたいに言った。

 確か、此の国では一億ベリルも有れば妻子も授けて暮らせるのだったけか。


 もし研究資金が出れば、後々銀狼の研究に役立つから喉から手が出る程欲しい。

 其の為にがんばっているみたいなモノだ。


「あぁ……そりゃあな……。」

 がっくりと肩を落として納得した。


「おいおーい!! もしかして終わったー!?」

 ガルが一人でやって来た。ぴょんぴょんと嬉しそうに跳ねて此方へ向かって来る。


「終わったよ。」

 僕は彼に聞こえる様に言った。

 彼は耳をぴくぴくとさせて居る。


「じゃあどっか行こうぜー!!!」

 彼は僕とヷルトの手を掴むと笑顔で走り出した。

 曇り一つ無い、純粋な笑顔だ。


 何だか、彼が綺麗だった。

何となくは此の雰囲気が伝わりましたでしょうか?

此んな感じです。不備が有ったらツッコまれ、質問すら受け付け無いとバッシングされる所です。


其れだけ、熱気が有ると云う証拠なのですがね……。


此の作品が面白いと思ったら評価をお願いします。

モチベに成りますので、宜しければ。

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