第七十八話:空中をカランカランと
僕等は駅のホームみたいな所に着いた。
水色の空が嫌と言う程に見える。
其処は平べったい円みたいな感じで、一応柵みたいな手摺りは付いて居る。
但し、目の前には開閉する門が有った。
人は……見た所ぽつぽつとしか居無い。
使う人が少ないのか、其れとも朝早いからだからか。
「……ねぇ、そろそろ良いんじゃないの?」
「ん、其うだな。」
彼は抱っこを止めて僕は地面にへと着地する。
……周りの人の目線が痛かった。
「……ねー、此れ如何すれば良いの?」
ガルジェが不思議そうに尋ねて来る。
「待ってれば車両が来るよ。
其れか、其処の掲示板みたいな物を見れば分かるよ。」
僕はちょっと離れた背後に有る緑色をした其れを指した。
「おぉ、おっけー。」
其れを見るなり駆け寄って行って上の方からまじまじと眺めて居る。
「えーっと……???
なぁ、一日って三十二時間だったよな?」
「うん。」
此の世界……と云うか国性だろうか。
何故か十六進数で数える事が多い。
時間も三十二時間三十二分六十四秒で数えるし、
数も一から十六で数えるし。
もしかしたら此処の世界の住民は指が必ず五本指とは限らないからかも知れない。
「うーんと……十一時六十三秒に鈍行が来るとか書いて有るな?」
其れを指でなぞりながら僕の方を向いて来る。
「鈍行は全ての駅に止まる車両だよ。」
前世での各駅停車みたいな物だ。
「……つまり必ず停まるって訳じゃ無いの?」
「まぁ、其うだね。鈍行以外は其う考えても良いね。」
昔国鉄だった鉄道なら兎も角、
何処かの鉄道みたいにやれ準急だの急行だのところころと列車種別を変えやがり。
挙句の果てに本来停まらない駅に何故か停まりやがる。
……なーんて事、無いと思うのだけれど。
昔、出張した際に那れで到着時間が大幅に遅れたのも今でも覚えて居る。
那の途んでも無い上司だったから吐きそうに成る迄殴られた。
とは言え、未だ試運転して居る最中だし、
路線も、種別は二つしか無い単純構造みたいだし平気だと信じたい。
「なぁ、何かお前の記憶が流れ込んで来た時、
変な箱みたいなのが動いて居たけど
もしかして此れって其れに近いものなのか?」
ヴァルトのひそひそ声が右耳へ入って来た。
「……どんなの?」
「なんか長椅子みたいなのが壁際に有って、
人々を運ぶ奴。」
彼は考える間も無くするっと其う言う。
「あ、多分分かったかも。〈電車〉って奴だよ。」
僕は彼の顔をしっかりと見る。
彼の話を聞いて居る限り多分此れだろうか?
何故知って居るか自分も良く分から無いけれども、
僕だって彼の記憶を覗いたからお互い様だ。
「はー、お前の世界ってつくづく凄いんだな。」
「ははは……其の代わり、僕みたいな人も産まれ易いんだけどね……。」
「……あぁ。」
僕が陰りを見せて筋肉を強張らせた笑いをすると彼も顔を暗くして頷いた。
「あ、来たぞ来たぞ!
何アレ!?」
ガルジェが虫を見付けた少年みたいに興奮して其れを指す。
……実際、十五才だし少年か。
「ん、あぁ、ほんとだ、箱?」
大きなトロッコみたいな物が縦に幾つも連なって居り、
其処に雨を凌ぐ為か赤い屋根が付いて居た。
壁と云う壁は無い。
其れが空中を走ると青い線路みたいなのが現れる。
枕木何て無い。
其れが停まると門が開き、ギギギギ……と音がすると、横に引っ付く様に何処からとも無く木製の橋みたいなのが現れる。
「わぁ……行こうぜ行こうぜ!!」
「あ、ちょ!?」
僕の手を取って走り出した。思わず、転びそうに成る。
此んな所から落ちたら流石の僕も死ぬから止めて欲しい。
僕等は彼のアグレッシブぶりに恐々しながら連れられて行く。
後ろから、ヴァルトの困惑したみたいな大声が聞こえた。
其処から見る光景は怖いとか其んな物じゃない。
足が竦みそうだ。柵は一応有るのだけれど。
けれど彼は其んな事気にしないみたいで、
一番先頭に来ると中へささっと入って行った。
あぁ、もうひやひやした。
少し遅れてヴァルトも入って来た。
反対側へと座る。
そして其の儘待って居るとキューッと云う列車っぽい音がして、
カランカランと一斗缶が転がるみたいな軽い音がする。
ヴァルトは興味深そうに、ガルジェはわくわくしてるのか、
景色を体を乗り出しそうな勢いで眺めて居る。
「……わぁ……!! 凄いな!!!!」
「此れ!! 此れ何処にでも出来たら凄いよな!!!」
ガルジェが目をきらきらさせて居る。
もう、眩しい、太陽みたいに眩し過ぎるのだ。
「……まぁ、確かにね。」
空中を走るし、高い建造物が無ければ如何とでも成る。
正に魔法が使える世界だからこそ出来る公共交通機関と言えよう。
便利に成る事は良い事だし、
転移魔法は思った依り其処迄便利な訳でも無いし。
是非、全国へと広まって欲しい。
僕は何を見て居るのかと疑問に思って顔を出してみる。
……別に特に何も無い。
強いて言えば、鳥の魔物が飛んで居る位だろうか。
「わー!!! すげー!!! 何か鳥が飛んでるぜ兄貴ー!!!」
「何那れ!?」
何故か彼が耳をぴこぴことさせながら舌を見せて来る。
「多分、ルィッモって魔物じゃないか?」
彼が一発で魔物の名前を当てた。
良く見ると其うだ。やや短い嘴とぶんぐりとしたお腹、
茶色い色の斑模様、そして真っ黄色な目は特徴だ。
「へー!!! ヴァルトって其う云う事知ってるんだな!!!」
彼を羨望する様な眼で見て居る。
希望にしか満ちて居無い。
「一応、元々アヲセントだったからな。」
彼ははははと笑い目を細める。
苦笑、と云う感じでは無かったみたいだ。
其れを聞くと尻尾を此れでもかとぶんぶんと振って居る。
僕の背中に当たって了って居るのだけれども。
背骨が痛い。
「うわー!!! 兄貴と一緒かー!!!
すげー!!! 俺も為りてぇなぁ……。」
わくわくした様子で声を張る。
「……頑張れば為れるさ。
けど、まぁ、金銭関係だけは気を付けろよ。」
さっき迄笑って居た彼が狐目をきりっとさせて真面目に言う。
彼が言うと重みが半端じゃ無い。
「うん!!! 分かった!! 借金しない!!!」
軽い口振りだけれども、案外此う云う事は守る奴だ。
信じても大丈夫だろう。
「……着いたよ。」
何故かぼけーっと上を向いて居る彼に話し掛ける。
「ん? もう?」
まるで今まで浮世にでも居たかの様に寝ぼけたみたいな顔をして居る。
「もう。」
「ガル、降りるよ。」
ずっと外の光景を眺めて居た彼の肩を叩く。
「え、もう!?」
彼は吃驚仰天、舌が殆ど出て了って居る。
二人とも同じ様な反応をするなぁ。
「うわっはぁ!!!!」
階段をぜぇはぁと降りて来たのに、ガルは外へ出るなり思いっ切りはしゃいで居る。
「……あのさ、一応、学会の準備するのが目的だからね?
今日は観光に行か無いよ?」
僕は其んなガルに冷ややかな視線を注ぐ。
もしかして勘違いしてるのじゃないかと思って了う。
「分かってるぜ!」
ぐっと、ガッツポーズみたいな仕草をして僕を見て来る。
アニメの主人公みたいに見えた。
「で、何処何だ? 場所は。」
「ん。此処。」
僕は目の前の其れを指す。
「「え。」」
彼等が驚いて見た先には在ったのは煉瓦造りの、其れもがっしりとした大きな博物館みたいな所だった。
あ、そうそう。
此れから後書きに「宜しければ評価をお願いします」
と単刀直入に言って行こうと思います。
ですので、宜しければ評価をお願いします。
何となく他の作家さん達もやって居らっしゃる気がするので真似しました。
さて、今回の話、お話的には兎も角、
サブタイトルが……もう本当、適当過ぎます。
皆様如何やってタイトル決めて居るのですか……??




