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第八話:先ずは整理から※

※七月十五日、七月十八日、鱗雲之式日本語表記と、一部台詞や文字が変わってなかったので直しました。


適当に置いといた文字が其の儘表示されて居たとは恥ずかしい……。

おまけに誤字ってたしもう……。


八月六日。料理シーンをもっと細かにしました。

やっぱり此れ位書いた方が良いですね。


十月十六日、改稿しました。


一月十日、上記と一緒です。

一章ではリングさんの過去をポツポツと話して行っているので此方の方が良いでしょうね。


一月十八日、軽微な修正をしました。

 家具の配置を終えた僕は屈伸をした。 


 此れで家具や大量の本を置けた。主に魔術関連の本許りだが。

 殆ど何も無い家を自分の好みの家へと作り替えたのだ。

 野菜等は何処に置くか一瞬迷ったのだが、地下室が在るみたいだ。

 食料は其処に置いて居る。其んな大量の家具や食糧を何処から持って来たかと言うと、自分の収納魔法だ。

 簡単に云えば亜空間に物を(しま)える魔法だ。入る容量は……分からない。


 調査した人も居るには居るらしいのだが、個人差が大き過ぎて全く分からないのだ。

 おまけに何時の間にか容量が大きく成ったり小さく成ったりするらしい。

 だから平均値も中央値も取っても殆ど意味が無いのだ。


 只、僕は此れだけの物が入るのだからきっと容量は大きいのだろう。

 其れと、生物は入らない。入れたとてぺっと魔法陣から吐き出されてしまう。

 

 僕が窓を見上げると日が命を散らすみたいに真っ赤に燃え上がって居た。綺麗な夕日だ。

 もう此んな時間に成ってしまったのか。そろそろ夕飯とかの時間だろう。


 ……あれ、其う言えば教会の鐘の音が鳴って無いな。

 一の鐘、二の鐘と、時間を知らせる目安なのだ。十六の鐘迄有る。

 那方に居た頃は嫌でも聞こえて居たのに。


 日本のお寺みたいな重い鐘で無く、カンカンカンと高い音が連続で鳴るのに。十六の鐘に為ると十六回鳴るんだよな。

 何だか侘しいな。けれどまぁ、良いか。僕は机の上の箱からゴツゴツとした魔石を取って玄関へと向かう。

 真っ赤な其れに転移魔法の呪文を白いチョークみたいな物で書き始めた。何をして居るのかは後々分かる。

 其れにしても、長々と書くから本当に面倒臭い。


 其んな愚痴を心の中で呟きつつも書き終えた。其れを玄関に置く。

 此れで如何にか為るだろう。


「ヸ̇スィー・ヰ̇ㇱケルㇷ゛」と僕が唱えると、右手に魔法陣が現れる。

 今僕が唱えたのは完全詠唱だ。他には短縮詠唱と無詠唱が有る。


 其々(それぞれ)に其々の弱点は有る。例えば、完全詠唱は長いから戦闘には役には立たない。

 短縮詠唱は少し魔法が弱く成る。無詠唱は術者の魔力を多く喰らう。等々。

 物は使いようだ。


 其処からバケツを取り出し、コートを着て扉を開けた。

 都会と違って明かりが殆ど無いから夕焼けに村が照らされて(とて)も綺麗に見える。

 記憶が戻った時は都会の景色でも驚いて居たのだが、何時の間にか慣れてしまったな。


 取り敢えず、井戸へ向かおうではないか。でないと、料理が出来無い。

 とは言えども、此んな状況で人に訊ける訳は無い。

 何か案内板でも在るのだろうかと其処等辺を彷徨いてみたのだが、案内板は疎かちゃんとした道さえ無い。


 僕は本能的には耳を澄まして居ると、『ドボン……バザン……』と妙ちきりんな音が耳に入った。

 おや、此れは水の流れる音の筈。近くに川でも在るのだろうか。


 でも此れは……何というか、感覚的な物では有るのだが、湖とか川とかの其れでは無い気がする。

 何と表現するのが正しいか……此う、矢鱈深い所から聞こえる感じだ。

 地下水でも流れて居るか、海が近くにでも在るのだろうか。

 思わず首を傾げてしまう。


 と次は地面から何かが聞こえて来る。

 『ザヮァァァァァァ……ドボン……』と云ううねりの有る独特の音だ。


 いや、此れは違う。何か此う、人工的な音だ。

 と云う事は、井戸か貯水湖等の音に為る。

 音が明らかに違うのだもの。


 僕は其処に向かって駆け足で歩き出した。

 其の音がどんどんと近付いて来る。おぉ、此れはきっと当たりに違い無い。

 確証も無しに思った。


 真っ直ぐに音の方向を走って居ると畑の多い所に来た。

 此の村は畑仕事をメインにしてるのだろうか。


 かなり広い様で、其処にはコ̊ㇻ̇ミーが植えられてるみたいだ。

 コ̊ㇻ̇ミーは成長すると二十センチ位の植物で、元々がやや黄色い茎をして居て、成長するとオレンジっぽいような茶色っぽいような色に成り穂を付ける。小麦みたいな物と説明すれば一番分かり易いだろうか。


 主に発酵させてカ゚ㇻ̇ㇺを作るのだ。パン的な物だと思ってくれれば良い。


 もう少し進むとコ̊ゥ̻゛ヱ̇リ̈が植えて在るのが見えた。

 僕は畑に近付き、其れを見てみる。白菜みたいな野菜が植わって居る。


 白菜依りかはまあるく一回り二回り程大きいだろうか。

 周りの葉は硬いが、中の葉は柔らかいのだよな。

 此れでロールキャベツならぬロールコヴヱリをやったら美味しいだろう。


 其れとコ̊ゥ̻゛ヱ̇リ̈の中に咲く花は甘くて美味しい。

 蜜を集めると高級な砂糖になるのだ。


 右上を見ると、蜂みたいな虫が飛んで居た。おっと、お邪魔だったか。

 僕は其処を離れ、どんどんと進んで行くとふと井戸が出て来た。


 石造りの其れがどっしりと構えて居る。和風みたいでは無い。

 遠かった。本当に良かった、呪文を描いた魔石を置いておいて。

 さっきの音が聞こえて来る。おお、やっぱり音源は此れだったか。

 僕は井戸に垂らされて居る紐を引っ張って上がらせてバケツの持ち手を括り付け、其の儘下に落とした。


 其れをスルスルと持ち上げ、バケツに括らせた紐を取って其れを元に戻した。歯に食い縛って顔を(しか)めさせながら。

 あぁ、重い! 本当に重い! 何故此の世界の住民は此れを当たり前かの様に持ち上げて平気な顔をするのだろうか。


 本当に凄いとしか言い様がない。


 はぁと大きく溜め息を吐き空を見ると、もう夕焼けは沈んでしまい代わりにメトㇲが出て居た。

 青く冷徹で綺麗な衛星だ。


 そろそろ帰ったほうが良さそうだな。


「コ̊レ̇ンㇳ。」

 呪文を唱えると下から魔法陣が出てき、体は白い光に包まれる。目を瞑って居ると何時(いつ)の間にか玄関に戻って来て居た。バケツの中身を樽に蛇口が付いた様な容器に入れる。蓋を閉め、僕は料理を始めた。


 一週間分の食料は持って来たから一応料理は作れる。

 此うも一人暮らしが長いと料理のレパートリーが無くなって行くな。


 ラ̇ークㇻ̈は飽きた。だからと言ってチャン̊ゴ̊セアは作るのが面倒臭い。

 此の世界みたいな物は今食べたい気分では無い。何を持って来たのだっけか。

 僕は床の扉を開けて中に入って行く。中は薄暗く肌寒い。


 一つ、木箱が在る。

 其の箱の中には黄色の根菜であるカイイェーㇻ̇ラッㇰとコ̊ゥ̻゛ヱ̇リ̈、黒っぽく、鱗紋の様な柄をして居る芋のスィーㇰ゛ザー、楕円形の形をして居て右斜めに黄色い短い線が有るゼルディーン等が在る。


 調味料は何が有ったっけか。其処から出て棚を確認する。

 確かサーㇻ̇()と、フ̇ォンダ(胡椒)と、ゲㇻ̇ドェーㇰと……。


 ……おや?


 そうだ、前におばさんから貰ったゲㇻ̇ドェーㇰが有るじゃないか。野菜も有る。バーダーも有る。


 肉は有ったっけか。最悪無くても良いのだけど。魔法陣を探すとゲㇻ̇メダリ̈ヤの干し肉が有った。

 そのままだと切るときに固いから水に戻そう。

 ついでに周りに付いて居る塩も取れれば良いのだが。


 魔物で或るゲㇻ̇メダリ̈ヤはその繁殖能力の高さと、使う魔法の厄介さから忌み嫌われがちだが、其の実、食用として、肉として食べる分には美味しいのだ。


 日本だと害獣指定されて居る鹿や猪が感覚としては近いだろう。

 只、此方では害獣指定されて無いのだけれど。そもそも害獣指定みたいな国のシステムが無い。

 其等を俎板(まないた)の上に置いた。先ずは火を付けなければ。


 僕は外に薪を取りに行く。

 此の竈は使えないだろうかと思って居たが、薪も入るスペースを開けたタイプの魔力竈みたいだ。


 まな板を出して、包丁を出して、スィーㇰ゛ザーに付いて居る土を洗って皮を剥く。

 スルスルと剥いて、終わったら乱切りにし、水の入った木のボウルにでも入れて置く。


 此の世界の此の芋だと意味が有るのか分からないが、一応、念のためだ。

 そしたら次にゼㇻ̇ディーンの(へた)と反対側の花落ちを取って皮を剥く。

 此れはそのまま櫛形切りにしよう。


 ……前世から友達も妻も居ない癖して料理スキルだけはやたらと発達して居る。


 涙を堪えてゲㇽメダリヤの肉を一口大に切り、カイイェーㇻ̇ラッㇰも適当に乱切りにして、(かまど)の火を入れて、火加減を見ながらフライパンみたいなのを置き、先に油を入れてお肉に火が通るまで炒める。


 そして野菜類を入れて、軽く炒める。


 そして水とゲルドェーㇰとバーダーと砂糖と料理酒を入れ、後は落し蓋をして火の調子を見て放置するだけ。


 火の調子を見て居たらあっという間に出来て居た。

 日本人なら皆大好きだろう? 肉じゃがだ。


 米でも有れば良かったのだが生憎この国で米みたいなのは買えなかった。

 僕は其れに皿に移し、後は適当にスープでも作ってカ゚ㇻ̇ㇺを焼く。


「……〈いただきます〉。」

 久々に言ったな、この言葉。

 肉じゃがの筈なのに僕はフォークを突き刺して食べて居る。

 物凄い違和感を抱く。


 約十八年ぶりに食べる肉じゃがは美味しい。

 主食がカ゚ㇻ̇ㇺなのも違和感を抱く。


 あぁ、味は全く違うが、母さんが作ってくれた肉じゃがを思い出す。

 確か白滝を入れて居て……そして少し、甘かったな。優しい味だった。

 母さん、此処迄出来る様に成ったよ。一人で何でも出来る様に成ったよ。

 窓から見える青い衛星を見る。奴は冷たく、僕をじーっと見て居る。

 そうか、僕は()んでも無い親不孝野郎か。伝えたかったのにな。此処迄成長した事。

 でも、此れを伝えようたって、仮に一回死んでなくとも無理な話なのだがな。


「〈ご馳走様でした〉。」

 さっさと食べ終わってしまった僕は食器を洗って片付けた。

 お風呂は入らず寝巻きに着替えてその日は寝てしまった。


 ベッドは宿屋と同じ硬さ、其れ依りかちょっと柔らかい程度の物だろうに。

 疲れて居たのだろう。何故かぐっすりと眠れて居た。

今思うと特に長くは無さそうです。

何故なら、世界観説明を色々と捻じ込んで居ますので其れは此う成りますよね……。

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