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第五十九話:ヂョㇻ̇ヹ̇ヅィア街

正直此れをやりたいが為に一話を改訂しました。

「あ。リングリング!!!!」

「……んな〜に?」

僕は彼に叩かれて寝ぼけ眼を擦る。


「ふわぁぁぁぁぁぁぁ…………。」

口を大きく開けて可愛げ何て全く無い欠伸をした。


「なぁ、見てみろ、

 たっかい壁が見えるぞ。」

ヷルトが窓の外を指して馬車から顔を出すので僕も反対側から顔を出して見てみる。

其の街はかなり高い街壁に覆われて居て、所々塔みたいなのが壁に連結して在る様に見える。


蔦や其の他植物が絡まって居てちょっと不気味だ。


「何で此んなに高いんだろな。」

僕が窓から首を戻してもヷルトは未だ外を見て居る。


「やっぱ魔物出るからじゃない?」


「確かねー、うろ覚えで申し訳無いんだけど、

 那の塔有るじゃん?」

其う言うとヷルトはやっと首を車内に戻した。


「おう。」


「其処に魔法陣を置いて上からも魔物が入って来無い様にしてるんだってさ。」

だから此の街では雨が降ら無い。

僕はちょっと息苦しくて余り好きじゃ無い街だ。


大都会って訳じゃ無いのに人が密集してるから煩いし。

……もう一つ、嫌な理由が有る。


「おー、鉄壁じゃないか。」

ヷルトがへーと感心する。


「うーん、けどねー……。」

僕は口をもごらせて言い掛けた言葉を呑み戻した。


「何か嫌な事でも有るのか?」

彼がちょっと耳を垂れさせて訊く。


「……いや…………。」

嫌な事……と云う依りかはしょうがない事、なのだけれど。


「……よし、一応入れるか訊いて来る。」

馬車を引いて居たノルマが壁の前で馬車を止めて、

フォトフルーを其処等辺の木に繋ぐと多分門番の方へと行った。


「分かった〜。」

「はいよ。」


「う〜ん…………。」

何か此処に近付いた時からさっきからちょっと余り気分が良く無い。

妙に怠いと言うか変に頭が重いと言うか。


(多分…………『那れ』だろうな……。)

(クンヹ̇ス̂ィアン゜カ゚・オムメル̈ト。)

無詠唱で其う唱えると大分マシに成った。

少なくとも怠い感じは無く成った。


(あぁ、良かった……。)


「おーい、行けるみたいだ。」

彼が手を振って僕を見て来る。

僕達は馬車から降りて後ろの荷物を取って彼に付いて行く様にして門へと向かって行く。


「こんにちは〜〜。」

「こんにちは。」

僕と彼が門を通って挨拶をする。


「…………。」

爬虫類系だろう獣人の男性が帽子を取って僕に挨拶を返して来た。


「……あー……。」

マシに成ったと思ったけどやっぱり入ると此う成るか。

しょうがないや。


多分さっきの魔法を使っても此れをマシにさせる事は出来無いだろう。

取り敢えず一旦塔から離れた方が良いかも知れない。


さっさと中に入ろう。


僕が足早に入って行くと突然後ろを歩いてヷルトの足音が聞こえ無く成った。


「……如何したの?」

僕は後ろを向いて彼に訊く。

急に頭痛が酷く成る。


「いや……ちょっと…………あぁ……頭が…………いや…………此の…………。」

其う言って門の前で座り込む。僕も座り込んで覗き込む様に顔色を伺うと本当に青ざめて居て体調が悪そうだった。


「え、あ、ホントに如何したの!?」

僕は咄嗟に彼の腕を掴んで思考を回転させる。


何だ? 如何した? 日差しでの熱射病か?

其れとも昨日食べた物がマズかったのか?


昨日から眼が紅く成ってたし……。


此処で僕ははっとして気付いた。

そして彼の精神世界に入り込んだ時を思い出した。


……其う云えば無詠唱の魔法をバンバン使ってたな、那の時。


もし、其の時の──つまり幽霊だった時の、

其の時の魔力が其のまんま此の体に移植されてるとするならば……。


けれど其処迄考えて付いた瞬間、彼はフラっと其の場で体を縮め込む様にして倒れ込んで了った。


「おい!!! おい!!!!!」

僕は彼の肩を揺らすが全く以って反応が無い。

ピクリともし無い。目は瞑って了っている。


周りがザワ付いて居るのが耳から感覚から良く分かる。


僕は大声で叫んだ。


「すいません!!!! 誰か!!!! 此処に診療所有りませんか!!!!

 人が倒れて居るんです!!!!」

   

* * *


「……ん、んん…………あー…………。」

「あ、ヷルト! 大丈夫?」

彼が診療所内の個室のベッドで起き上がった。

此処は消毒液の那の鼻にやたらツーンと刺す様な臭いで満たされて僕は余り好きじゃ無い。


「うん…………さっき依りかは……。」

其う言って唇をやや噛み浮か無い表情で首を触る。


「……ってうわ、ちょっと鏡見てよ。」

僕は視線を目の所からするっと額の方に動かして少し驚いた。

そして彼から見える全身鏡を指した。


彼は首をちょっと動かして其れにゆっくりと、そして恐ろしげに自身を映させる。


……其処には眼が真っ赤に成った、額に唐紅みたいな淡い赤い色の大きなダイヤ模様と其の下に左右対称に有る同じ形の模様が在った。さっき迄寝て居たからか太いアホ毛みたいなのが頭からばっと生えて居る。


「え、えぇ??? え、ちょ、は?」

額の毛を自身の手で触りながら困惑して了って居る。

何度も眼をぱちくりさせて自身の姿を何度も確認して居るみたいだ。


「な、何で此んな事に……? 何か……体の異常か……俺死ぬのか……?」

声を震わせて如何やら今の状況がかなりおどろおどろしいのか笑え無い笑顔を浮かべて居る。


「いや……多分…………幽霊の時のまんまの魔力が体に移植されちゃったから此んな事が起きたのかなー、って。」

僕は右耳を触りちょっと顔を下に向けて苦笑する。


「だから僕と同じ様な眼に成っちゃったんだろうね。」

そして顔を上げて自分の眼を指して眼を瞑った。


「……やっぱり、死ぬ?」

此れを何かの病気か何かと勘違いして居るのか、

僕が其う言っても怖がって居る、


「いやぁ其れは平気じゃないかなぁ……寧ろ今迄よく死ななかったな、って今なら思う。」

右上を向いてちょっと首を傾げて彼の挙動不審な眼を見て言った。


「え、何でだ?」

全身の震えがピタッと収まると顎の下を掻いて瞳孔が小さく成る。


「うーん、多分魔力が体に適応したからこそ此んな事に成ってるんだと思うよ。」

紅眼ってのはかなり稀で尚且つ本当に子供以上に育つ事が難しいらしいのだ。


かなり稀とは言ったものの、今の今迄ちゃんとした統計は取られて居無いが四千人に一人位の割合で産まれて来るらしい。


でも其処から育つのは僅か一万人に一人。


師匠に依るとかなり古いデータらしいが其れでも聞かされた時は驚いた。

僕は其んなにも珍しい子供に産まれて来たのかと。


そして転生もして居る。

此んなの、天文学的数字だろうと。


宝くじ当たる確率と何方が現実的なのだろうと。


「???????」

彼が大量の疑問符を頭の上に浮かべて居る。


「えっとね……紅眼って産まれた時から紅眼じゃ無くてね、

 産まれた時は普通の眼をしてるの。」

其う、だから僕は昔は青い眼をして居たらしい。

と云うか……猫科は子供の頃はこぞって青い眼をして居るモノなのだけれど。


「其処からー、年齢が上がるに連れてどんどん紅く成って行き、

 確か十歳位かな。此処で真っ紅(まっか)に成るらしい。」

でも如何して、師匠は紅眼の事に付いて那んなに知って居たのだろう。


師匠も元人間だった時は紅眼だったのかな。

……なーんて。


「此処迄生きたらもう殆ど死ぬ事は無いね。」


「へー……。」

僕が其う言うと一変して彼の目の色が変わった。


「其れと同じ様な現象が短期間で起こっちゃったんだろうね。」

此れに関しては僕も全くの想定外だった。

未だ未だ。魔法に付いて勉強しなければ成らない、

と云う事なのだろう。


突然、コンコンコンと扉が叩かれる。


「あぁ、失礼。大丈夫か……って……あー…………。」

さっきの門番をして居た爬虫類の男性が扉を開けて入って来た。

僕は此の人に連れられて診療所へと案内して貰った。


「すまない、其うか紅眼か……。」

大きく溜め息を吐くと頭を抱えて居る。


「見きれ無かった私が悪いな、はは……。」

独り言を呟く様にして言った。


「あ、いえ……あの……其んな事は…………。」

僕はしどろもどろに口をごもらす。


「ほら、此れ舐めれば多少はマシに成るさ。」

其う言ってベッドに近付いて行き、

僕と彼に渡されたのは植物の茎みたいな物に包まれた何かを渡して来た。

中を開くと入って居たのは半透明のちょっと粘り気が有りそうな何かだった。


……飴?

匂いを嗅ぐとハッカみたいな刺激の有る匂いがした。


僕は取り敢えず言われた通りに其れを口に近付けて歯で其処から剥がす様にして食べた。


其れはガムみたいな、ソフトキャンディみたいな、

其んな食感だった。


味は甘いと云う依りミントっぽい感じだ。


確かにマシに成ったかも知れない。

少なくとも、あの嫌な頭痛と倦怠感は無く成った。


「あ、ホントだ……ありがと。」

彼はにっと笑顔を作って


「……すい…………。」

いや此処は彼と同様に感謝して置いた方が良いだろう。

僕はうっうんと咳き込むと彼に顔を向け直して言った。


「有り難う御座います。」


「ははは、此の街を楽しめよ?」

彼は後ろに体を向けた。


顔は此方に向けると、

先の割れた舌を小刻みにぴろぴろ動かした。


「じゃあな。」

彼は帽子を取って此処から居無く成ったのだった。

と云う事でヷルトにかなり特徴が付きましたね。

アホ毛と、額のダイヤマークです。


何か主人公一派には此うして特徴を加えて行きたいですね。


ガルジェはキャラも濃いので後回しで……。


因みに描写不足で申し訳無いのですが、

此の世界では赤い眼、は紅眼を除いて居ません。


赤い髪色をした人は居ますが、

其れでも眼は黄色や黒色の人だけです。

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