表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
69/205

第五十八話:コアㇷ゚トゥザリ̇・ディㇰ゛ホフ̇ォェリ̈ㇰ

今迄で一番長いタイトルです。


※九月十三日、誤字脱字を直しました。

僕等はコトコト……と音を立てる鍋を囲む様にして見て居る。

火は薪とかで焚いたのでは無く、持ち運び型の魔力(かまど)を置いて居る。


其の回りだけ四角く雪が融けて居る。


此れは此の世界の設備としてはかなり薄く、

多分七センチ位だろうか。


本来魔力(かまど)に搭載されて居る温める機能とかは無く、

本当に火を付けるだけの物だ。


しかも魔力には対応して居らず、

魔石にしか反応しない。


「…………。」

彼は何も言わずにミトンの様な物を着け蓋を勢い良く開けた。

もわもわっと湯気が出て来る。


「おぉ……。」

「うわぁ……!」

ヷルトと僕が略々(ほぼ)同時に声をあげた。


中には茸とかワ̇ㇻ̇ギ̊ッチャとか肉が煮られて居る。

ワ̇ㇻ̇ギ̊ッチャの花が浮いて居て綺麗だ。


茸の出汁が十分に出て居るのか良い香りがふわっと鼻を通る。

ふとヷルトを見ると面白い程に鼻をひく付かせて居た。


特に雑煮みたいな物だから料理名は無い。

もし名付けるならコアㇷ゚トゥザリ̇ ディㇰ゛ホフ̇ォェリ̈ㇰ

とかだろうか。


此んなカッコ付けて居るが意味は森煮込みだ。

日本語にすると一気にダサく成る。


其れを──森煮込みを、彼が木の器によそい僕等に手渡して来る。

容器は熱く掌に直で伝わって来る。


其うして三人分配られると僕等は指を隙間に入り込ませる。


「「「日々の糧に感謝して、そして生き物に感謝し、神様がくれた食物を頂きます。」」」


先ずは息をふーふーさせて一口食べてみる。

僕は猫科だからと云うのか、極端に熱い物は嫌いだ。


ジェルフ̇ォンの肉を掬い上げてがぶっと犬歯で砕く様に噛む。


ジェルフ̇ォンのちょっと固く歯ごたえの有る肉が美味しい。

茸の旨味が全体に染み渡って居てハーブとかとは又違う深みの有る味わいがする。


森の恵みを一編に味わって居る贅沢鍋だろう。


次にワ̇ㇻ̇ギ̊ッチャの茎と茸を頬張ってみる。

茸は多分……ゲ̏ㇻ̇コ̊ゥ̻゛だろうか。灰色っぽく、生息域から考えても此れだと思う。


正直、僕は茸の使い方や調理法なら知って居るが、

見分け方に付いては正直疎いのだ。


「ブルルルルルル!!!!!」

フォトフルーが唐突に唸り自分も欲しいと言わんばかりに彼を見て居る。


「……あぁ、お前も欲しいよな。待ってろ。」

彼は其う言うと緑色の魔法陣から乾草を取り皿に乗っけて出した、

けれど、奴は其れじゃ無いとでも言って居るのか不満そうにむしゃむしゃ食べて居る。


僕は其んな光景を見ながらもスプーンで掬い上げた其れを頬張る。


(あ! 此れはホントに美味しい!)


僕は口を押さえて感動する。

ワ̇ㇻ̇ギ̊ッチャがちゃんと芯迄火が通って居て、

何と言うのだろう、トロトロして居る。


茸も茸で美味しい。

出汁を出し切った残りカスかと思いきや、

未だ未だしっかりと旨味が残って居る。


軸の部分迄美味しく食べられる。


此んな事を言うと阿呆っぽく聞こえるけれども、

凄く自然を食べて居る、其んな感じだ。


さっぱりとしたスープによく馴染む。

此んなもの、初めて食べたかも知れない。


野外と云うシチュレーションも相まってかやたら美味しく感じる。


僕は其れを掻き込む様に喰らい尽くすと、

フォトフルーのお皿を持って居た彼に器を差し出して言った。


「おかわり。」

まるで小学生みたいだ。




「あーっと……もう無ぇな。」

「……ホント?」

僕は鍋を覗き込む。


僕等がバクバクと其れを食べて居たからか、

もうお鍋には残って居なかった。


……まぁお腹一杯に成ったし、良いか。


「あ、じゃあ終わりの挨拶……。」

彼が其う言って僕等は食べた時と同じポーズをする。


「「「今日も神様のくれた食材で生きる事が出来ました。有り難う御座います。」」」


彼等は食器を持って立ち上がった。


「あ、其う云えば洗う時如何するの?」

僕は立ち上がらずにヷルトに訊いた。


「あぁ、水魔法で。」

「あー……。」

彼がちょっと申し訳無さそうに言った。

僕は冷属性も熱属性も使え無い。


「如何したんだ?」

早速洗おうとして居たのか机を出して居た彼が僕等に近寄って来た。


「コイツ、ゲード属性と無属性位しか使え無いんだ……。」

ヷルトが親指を此方に指して目を下にやってしょうがない様に言った。


「いや……すいません。」

僕は後ろに手をやって顔を下げて了う。


僕もしょうがないとは思う。

此の辺、地下水ばっかりで川の音が期待出来無い。


道を進めば進む程地下水の音は遠ざかって行くし何処かから湧き出して居る何て事も期待出来無い。


「いや……出来無いなら……しょうがない……。」

顎に手を当てて下を向いてぼそぼそと其う言った。


「此の儘何もやら無いのもアレなので天幕に防御魔法でも掛けて来ます。」

其れにかなり責任を感じた僕は其処から逃げ出す様に其う言った。


「あぁ、アレやってくんだな。

 魔物には気を付けろよー。」

彼が手を振ると作業の続きを始めた。


「え……ちょっと待って防御魔法って……。」

彼の声がちょっと遠ざかるが未だしっかりと聞こえる。


「普通、冒険者とかはやる。勿論、身を守る為に。

 多分此処等辺は魔物は出無いと思うが……一応、念の為な。」

ヷルトが水の音を大きく立てながら彼に説明して居る。


「あ、いや……そっちじゃ無くて……魔物が居無いしやら無いのかと……、」

「うーん、俺はやった方が良いと思うけどな、魔物何て何処に出るか分から無いし。」


僕がはちょっと駆け足でテントの方へ向かった。




さて、魔法陣を描こう。

今回は防御魔法だから……前とは別の魔法陣を描かなければ。


僕は収納魔法からチョークの入った小さい箱を取り出し、

其処から丁寧に取った。


今回使うのも白いチョークだ。

前に転移魔法を描いた時と同じ物。


僕は同じ所から木の板を取り出すと、

テントとテントの間に其れをぽんと置いた。


流石ににテントの下に何て描ける筈が無いから此の方法を取って行こうと思う。


僕は那のコンパスの様な物で二重円を描くと其の間に術式を描いて行く。


「此処は……えっと……此うだから……。」

其んな事を呟きながらゆっくり丁寧に描く。

勿論ブロック体だ。


「よしよし……。」

最後に間違って居無いか文字を確認して次の作業に移る。


此処迄描けたらラストスパートだ。


最後の仕上げとして真ん中に月が二つ、

一つは反転したみたいな形を描いた。


(……此れで……良いんだよね……?)


僕は年の為魔石を媒体にして発動させた。

其れは薄くだけれども光って居る。


「あっ!!!!」

其の青い透明のと物体を見てとんでも無い間違いに気付いた。

ドームじゃ無くて円筒型にして了った


お陰で天井が無い。

魔物が入って来放題じゃないか。


「……ヅ̌ェㇻ̇ガヲ̇ゥーラ̈・ナ。」

気怠ぎに魔石を取り、

此れ又気怠ぎに魔力の刃を出すと其の板ごとぶっ壊した。


(……今度は間違え無い様にしよう。)


もう一個板を出してさっきと同じ二重円を描く。

そして今度は文脈に注意しながら術式を描いて行く。


そして魔石を置いて確認する。


(よしよし……。)


しっかりとドーム型に成って二つのテントを囲って居る。

僕は其れに手を置くと、自分の魔力を流して其れを中断させた。


ちょっと


「おーい、終わったぞー。」

丁度良い所でヷルト達がやって来た。

ランプを持ち此方に向かって手を振って居る。


彼が右手でヷルトの腕を掴み左手にランプを持って居た。


……其処迄怖がりなのか。


「おー、出来てるのか。何んな感じだ。」

ヷルトが僕の魔法陣を見て其う言うので、

魔石をもう一回置いて其れを発動させた。


するとドームが中心から形成されて二つのテントと僕等を覆った。

ヷルトは賞賛する様に手を叩き、

彼はひえっと言って驚いた。


すると急に恥ずかしく成ったのかヷルトから腕を解いてテントに入ろうとする。


「じゃあ……明日は……そうだな……ゴンダフ渓谷辺り迄行くから、宜しくな……。」

テントに入る前に思い出したか、ちょっと半笑いをして入って行った。


「あいよ。」

「ほ〜い。」




僕等は寝間着に着替えて寝袋を敷いて眠る準備をして居た。

勿論、ライトは切って居る。


僕等は今向かい合わせで居る様な感じだ。


「……あれ、ヷルトさ、眼、紅く成った?」

彼の顔をぼうっと見て居た僕が率直に言った。

彼の目はもうちょっと黒かったイメージが有る。


「え、あ? 嘘? ……充血してんのかな。」

と彼がはははと笑って言うが、其んな物では無い。

眼全体が赤色に変色して居る様な、其んな感じだ。


最近彼の顔をちゃんと見る機会が無かったから今気付いた。


「……大丈夫なの? 其れ……。」

僕はちょっと心配に成って言った。


「うーん、特に痒いとか目が疲れてるなぁ、

 とは感じ無いぞ?」

まるで当たり前の事みたいに言った。


「うーん、ならいっ……か……。」

余り納得は行か無いけれども、

取り敢えず彼が其う言うって事は大丈夫だろう。


僕は其う思って眠りに就いた。

なんででしょう、今野宿で食べて居るシーン、

何故かリングさんが家で食べて居たシーン依り美味しそうに見えるのは私だけでしょうか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ