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第六十四話:報告※

九月八日、本編に大きく加筆しました。

「よし、後少しだ! 頑張るぞ!」

彼が剣で其奴等を指して格好良くポーズ何か決めて居る。


奴等は最後の抵抗と言わん許りに又体を変形させようとする。

けれど僕は容赦し無い。


「ヅ̌ェㇻ̇ガヲ̇ゥーラ̈・コ̊ン̊コ̊ラ̊ーチャ!」

魔力の刃が奴等を突き刺して体の殆どが壊れる。

殆どが壊滅したみたいだが思った依り生き残って居るみたいだった。


だって漫画やアニメじゃ無いもの。

相手が変身する時間何て待ってられるか。


ヷルトが其れを見て走って行き、

大きく斧を振り下げて奴を倒して行く。


僕も走り出すと小さい塊を幾つも作って居る奴等を斬って行こうとする。


(クソッ!!!)


しかし魔法の所為か微妙にタイミングがずれて当たら無い。

此奴等、かなりしぶとい。おまけに逃げ足も意外と早い。


僕は姿勢を低くして奴等を追い掛けて行く。


(あ。)


僕の視界には一つ木が見えた。

如何やら此奴等が行こうとして居る逃げ道に有るみたいだった。


僕等が其れに近付いた時僕はジャンプして木の枝を掴むと勢いを付けて奴等の目の前に立った。

そして右手を振るって塊を一つ倒す。


(よし。)


此の調子で続けて行こう。


(あれ?)


よくよく考えたら此れをするのに木何て要ら無いのではないか?

折角魔法が有るなら其れを使って行った方が良い。


(ヘレ̈メリ̇ク・トベオン!!!!)

僕は其う唱えると青い半透明の板みたいなのを作り出して、

やや斜めに設置された其れに飛び乗るとロイター板の要領で動かしてぴょんと飛んだ。


其の儘剣を下にして塊をもう一つ倒した。


僕は、ちょっと驚いて居る様で動きを止めて居る奴等に魔法を放った。


「ツ̌ェㇺベㇺ・ヅィ!!!」

奴等は只動きが鈍く成っただけだったけれど、

僕にとっては其れで十分だった。


僕は脚力で跳ぶように走り四つの塊を崩壊させた。

猫科の瞬発力は本当に凄い。


「あ!!! おい待て!!!」

只僕の攻撃が甘かったのか何匹か逃げてしまった。

直ぐ様追い掛けて斬るけれども、其れでも数匹居なく成って居た。


……取り敢えず、僕が追い掛けて居た奴等は全て倒せた事だしヷルトの元へ向かおう。


僕以外に草を踏む音が聞こえるから其方に向かえば居るかも知れない。


僕は其方に走って向かって行くけれども彼は見当たら無い。

(あれ〜〜…………???)


耳には絶対の自身が有るのにおかしい。


僕が木の下で耳を動かして音を察知して居ると突然後ろから肩が叩かれた。

驚いて毛を逆立てワッと大きな声を出してしまった。


耳がカートゥーンみたいに取れてしまいそう。


ヷルトが此方を見てにやにやして居る。


「……も〜〜〜〜う!」

僕は後ろを向いて額の辺りに皺を寄せ、口を目一杯広げた。


「いやぁ、すまんすまん、ちょっと驚かしたくて……。」

彼は首に手を当てながらやたら満足げな顔をして居る。


「…………??」

後ろを振り向いた事で分かったのだけれども、

何か変な物が見える。眼を細めると水色の針みたいな物がぼやけて見えた。


「……ねぇ、ナニアレ……?」

僕はゆっくりと腕を上げて木の後ろの方を見て指で其れを指した。


「ん? あぁ、那れ? ……あぁ〜〜

 お前が何か刺みたいな物を出すから俺も真似しようと思って、

 冷属性の魔法で似た様な事をやってみたんだ。」

彼はニコニコして言う。


「……あぁ、其うなの。」

真顔で、ぶっきらぼうに其う行った。

僕のアイデンティティを失われた様で悔しい。


「ちょいちょい〜〜何だよ〜〜〜。」

彼は其う言って僕の肩を小突いて来た。


「……取り敢えず、ギルドに報告しようね。」

「ちょ!!! 冷たいなおい!!! ておいちょっと待て。」

困惑して引き止めるヷルトに顔を向けた。

重要な事を思い出したのだ。


「あ、其の前に──」


* * *


今僕等はゴンフ̇ァェドㇻ̇ラと闘った場所に来て居る。

ヷルトの箒で一っ飛びだ。


「で、お前が危ないって言うから来たけど……。」

「別に、平気そうじゃ無いか?」

彼は火何か轟轟と燃えて居無い、

やたら地面が泥濘んで居る光景を見て言った。


まるで誰かに消火でもされたみたいだ。

那の魔物がやる訳無いだろうし。


「……あの、お前がやった?」

事実と相反して居る自覚は有るのだろう、

変な苦笑いをして訊いて来た。


「ううん。」

僕はあっさり否定する。

無理だもの。属性的に。


「だよなぁ……お前熱属性も冷属性も使え無いもんな。」

彼はちょっと上を見上げて自分の発言がおかしかった事を確認する様に首に手を当てた。


「ほんとにね。」

僕は吐き捨てる様に同調した。


其の地面をゆっくりゆっくり歩いて居るとと或る一つの木に何か文字の様な物が刻まれて居た。

かなり拙い、幼児が書いたみたいなミミズの様な文字が書いて有る。


僕は其れをゆっくりと声に出した。


「フ……ファ…………ファーウー……ファルダ?」

ファルダ。


………………。


僕は其の事実に驚愕した。

同時に、かなり嬉しくも有った。


水溜まりに敢えて片足を突っ込んで跳ねた水の臭いを嗅ぐ。

雨上がりみたいな那の音に混じって魔物の那の獣臭い臭いがする。


でも此れだけじゃ分から無いな。


「なんかヹ̇ードみたいな臭いするな。」

ヴァルトが此方に近付いて来て其う言った。


「で……お前は何してんだ?」

僕が座り込んで居るからか彼も座って訊いて来る。


「此処、此処見て。」

僕はちょっと興奮して其処を指した。

思わず尻尾が上がって了う。


「んー? 豪快?」

ヷルトは其れをじっくりと眺めると考え込んだ後其う言った。


「此れ人名だと思う。知人に居るんだよ、其う云う名前の人が。

 多分コイツが消火してくれたんだよ。」

僕は確証も無い儘に其う言って居た。

余りの事に興奮して居たのだろう。


「ふーん?」

けれど彼は納得して居無いみたいだった。


「あ、リングさん……とヷルトさん!?」

声が聞こえて振り返る。

僕に対してにこにこして居た彼女だったけれど、

彼を見るとびっくりしてアニメみたいに大袈裟に驚く。


「いやービックリしましたよ。

 余りにも遅いから如何に行って了ったのかと……。」

ぜぇぜぇと息を荒らげながら片手にはボードみたいな物を持って居る。


「取り敢えず、ホルベで話しましょ?」




「えっと……要約すると……其れでゴンフ̇ァェドㇻ̇ラを倒しに行こうとしたら、

 何か変な……石みたいなのに教われて……ヷルトさんと共闘して……って事なんですか?」


「はい。」

「大体。」

僕とヷルトがほぼ同時に言った。


今僕等はホルベに戻って来た。

彼女は如何訊けば良いのか分から無いのかおどおどして居たが、

取り敢えず狩って来たゴンフ̇ァェドㇻ̇ラを見せたらびっくりして居た。


ちょっと潰れた頭を見て度肝を抜かれた様な顔をして居た。

尻尾には僕の爪痕が一杯付いてしまったから多分商品価値は下がってしまっただろうけど。


其の後はヷルトと合流した理由を伝え、

何故其んな事に成ってしまって居たかを話した。


因みにヷルトが那の場に居たのは如何やらヅァェヲ̇センㇳに上がる為に魔物を狩って居たらしいのだ。


……たかだか数日程度で、よく其処迄上がれたな。


「う〜〜〜ん、ちょっと此れは……多分管理長呼んで来ますね。」

彼女は持って居たメモ帳みたいな物を持ち上げて眺めると、

ポケットにしまって肩を重そうにしてゆっくり呼びに行った。


「はいはい、えーっと、まぁお前等の話は扉越しに聞いてたんだが、

 何かよく分かん無い生物が現れたって本当か?」

彼は机にムキムキな腕を組んでもう一回確かめる様に訊いて来た。


「はい。」

「あぁ。」


「何か証拠と成りそうなもんは有るか?」

(あ、)

僕は彼の其の言葉で気付いた。


(マズい、奴等を倒した後の亡骸とか持って来無かった……。)

倒すのに夢中に成り過ぎた。


「あぁ、有ります。此れ何ですけれど……。」

彼は右手を魔法陣から何かを探って居るみたいだった。

ヷルト、ナイス。


彼の手に持って居た物は真っ二つに割れた其の奴等だった。

三個体分の亡骸が机の上にぼろんと転がる。


「……成る程……此れか……。」

彼はかなり不思議そうに其れを見て居た。

そして其れをぐわっと掴んで立ち上がると此う言った。


「ちょっと待っててくれ。」




何分から何十分経って彼は戻って来た。

半分に斬られた奴を一つ持って居た。


「ほら、此れ、此処に魔石が有った。

 てことは……魔物だな。」

彼は其う言って決め付けてしまった。


「あ、いえ、違うと思います。」

僕はちょっと怖々とした感じで彼に其う言った。

其れだけで魔物だと判断するのは早い。


「……はぁ? 何でだ?」

彼は僕がおかしい様に言って来る。

……まぁ、何となくは気持ちは分かるよ。


「魔物は殆どが毛皮、皮膚等魔力伝導率が低い筈です。

 魔石の鼓動を停止させ無い為に。」


「戦闘中に分かったのですが、此奴等魔力を流すと直ぐに倒せてしまいました。

 だから魔物では無いかと思います、魔石を使った魔道具の可能性も有ります。」

僕は淡々と平然とした態度で言った。


「だが殆どだろ? だったら魔物の可能性は有ると思うんだが。」

彼は重箱の隅を突く様にやや訝しげに訊いて来る。


「……いえ、仮に魔力伝導が高くても、魔物は他に体内に入れられた魔力を如何にかする手段を持って居る筈です。」


「グードンㇰ̊゛の魔力をはね返す能力、フ̇ェㇻ̇ドボーの魔力を奪う角とか、

 魔石の周りに魔力伝導が低く固い骨の有るロ̈ーロ̈ヴォㇰ̀゛ロ̇とか。

 魔力に対する対策をして居無い魔物は現代では絶滅して居ます。」

ちょっと言葉を強く言ったけれども、

正直ちゃんと説明し無かった自分が悪かったな、と思った。


ところで絶滅、と僕が言ったが別に僕達獣人や人間等、

此処の世界の食物連鎖の頂点に居る奴等が殺した訳では無い。


素直に生存競争に負けて絶滅してしまったと考えるのが妥当だ。


魔力を血液代わりに使うのなら其れにする対策をし無いとあっさり絶滅してしまう。

殆どが体内で魔力暴走を起こして爆発だ。そして魔物は群れで暮らすのが大体だから……。


つまりは爆発に巻き込まれて群れが全滅してしまう。


「……ホントにコイツが言ってる事って合ってんのか?」

彼はヷルトを見て不思議そうな顔をして居る。


「まぁ、えぇ、一応コイツ、此んなふざけた見た目でも魔導士なので。」

彼が擁護してくれたみたいだが、

おいちょっと待て何がふざけただおい。


昔は綺麗な紫色の眼をしてたんだぞ。此の野郎。


「……え!? 嘘だろ!? 魔導士!!??」

彼は本当におかしい位に口を開けて笑った。


「あぁ、はい、冬の学会にも行く予定です。」

僕は其の彼の様子にちょっと苦笑いをした。


「……えぇ、マジかよ……凄いな、此んな馬鹿みてぇな見た目なのに……。」

だから馬鹿みたいなは余計だ。

戦闘シーンは此処で終わりです。

次からは学会とやらに行くみたいです。

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