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第六十二話:ゴンフ̇ァェドㇻ̇ラと※

どうも、此処からはやっとちゃんとした戦闘シーンが続きます。

書いてて楽しかったです。


九月八日、本編にミスが有ったので修正。

よくよく考えたら、冬なのに草が生えて居るとかおかしいですよね。

「ギュリリリリリルォォァァァァァァァ!!!!!!!」

奴は其う大声を上げるなり僕に向かって炎を吐いて来る。

僕は高く飛び上がる。先手必勝だ。


流石に其れに気付か無い程馬鹿では無いのか、

轟々と燃え盛る炎を僕に吐いて来た。


「ヘレ̈メリ̇ㇰ・トベオン!!!」

僕は目の前に、体を被う様にやや内側に湾曲した防御壁を作る。

前が殆ど見えなく成ったが問題は無い。最悪耳だけ使えれば良いから。


僕は耳に力を込めて音を聞く。


すると防御壁からは炎が無くなり、

後ろから何やらバサバサと音が聞こえた。


僕は後ろをクルッと振り返ると防御壁を消して呪文を放つ。


「ヅ̌ェㇻ̇ガヲ̇ゥーラ̈・ナ!!!!!」

まるで機関銃みたいに放たれた魔力の刃達は奴の体に突き刺さった。


「ギュルルルィィィィィンガァ!!!!!!」

何とも文字に表し辛い様な気持ちの悪い機械音みたいな声を発しながら叫んだ。

刃は消えて傷口からは血だけがだらだらと流れて居る。


真っ赤な炎と真っ赤な血で地獄みたいな光景が広がって居る。

木が燃えてしまって居るみたいだった。


……マズい、もし此処が焼け野原に成ったら此処の生態系が崩れるだけで無く、

村の方へ燃え移ってしまうのじゃ無いだろうか。


おまけに冬だから依り燃え広がって了いそうだ。


元々コイツを倒す為に、そして村を守る為にと討伐に参加した筈なのに。

本末転倒だと言っても中々に酷い物だ。


「グフーッ!!!!グフーッ!!!!!」

口からはやや炎が漏れ、怒り狂って居る様な眼をして居る。

僕を鬼か悪魔でも見て居るかの様に感じた。


相手が止まって居る何て好機を見逃す訳の無い僕は、

奴へ素早く走って攻撃を加えようとする。


けれど其の攻撃は当たらず奴は飛んでしまった。


「ギャリリリリリルグィィィィィィィィ!!!!!!!」

又奴は叫ぶと今度は火の玉みたいなのを幾つも吐いて来る。

僕は軽やかに其れを避けると又奴を攻撃しようとする。


「ギガグッ!!!!!!」

飽く迄主観だが、驚いた様な声を発した気がする。

其れが正解なのか分から無いけれど、下から炎が出て来て居た。


「うあっ!!!」

びっくりして声を出し、後ろへバックする。

此処から如何して攻撃を加えてやろうか。


後ろからバキッ、ドタドタ、がさがさと音がする。


「グヒフフフフフ……。」

猫科の視力の所為でよく分から無いのだけれど、

多分何かを咥えて居る。


パチパチと音はするものの、其れは周囲の木が燃え上がって居るだけだろうし。

でも何か、嫌な予感がする。本能が其う言って居る気がする。


「……ヅ̌ェㇻ̇ガヲ̇ゥーラ̈・コ̊ン̊コ̊ラ̊ーチャ。」

僕は冷静に奴に一本、大きな刃を飛ばした。


しかし其れは奴が飛び立つタイミングに当たってしまった様で、

太股にぐっさりと刺さるだけだった。


奴は僕の真上に飛んで来ると其れを落として来た。


僕は素早く走って避ける。


バガッと地面に当たる音がして、

僕は其れを凝視する。


何と、奴は木の幹を咥えて僕を潰そうとして居たのだ。


(うぉい!!!! コイツやべぇぞ!!!!)


何て云う奴なんだ此奴は。

本気で殺しに掛かって居るのがよく分かる。


……今奴の体を確認する絶好の機会だったから見たのだけれど、

さっき付けた傷がもう治ってしまって居る。


回復、早過ぎないだろうか。


「ガギギギギギ…………!!!!」

奴はかなり悔しがって居る表情をして居る様に見えた。

僕は又何かされるんじゃ無いだろうかと距離を取る。


僕は魔石とチョークを取り出して術式を描き始める。


すると突然僕にドスドスと音を立てて走って来た。

術式を描き終えた僕は其れをポケットにしまって軽快に走り出す。


僕は尻尾でバランスを取って体を低くして居る。

此の方が走り易いからだ。


(力づくで潰そうってか、ならやってやるよ。)


此んなにも危険な状況なのに僕は口角をおかしい程に上げ声は出さずに笑う。

気が狂って居たのかも知れない。


(これじゃあ、悪魔と言われてもしょうがない。)


心の片隅で一瞬其んな気持ちが浮かんだものの、

其の気持ちは直ぐに掻き消されてしまった。


僕と奴の距離がどんどんと近付き、迫力の有る顔面が此方を睨み付けて来て居る。





バスッと、柔らかい肉質を切り裂いた様な感触が剣から腕へ、そして掌へと伝わって行く。


「アギギギギリリリリリリ!!!!!!!」

何か一部分だけが繰り替えされて居る様な酷いノイズ音みたいな悲鳴をあげた。

僕が最も嫌いな音だ。耳が引き千切られそう。


何故奴が其んなけたたましい悲鳴を上げて居るかと言うと、

僕が奴の右腕を切り裂いたからだった。


地面には凶悪な腕がごろんと転がって居る。

大して僕はかなり血が吹き掛かって来たものの、

其れだけだ。


奴はもう駄目だと思ったのか飛び上がってしまった。


(あ、ちょっと待て此の野郎!!!)


僕は剣をしまうと咄嗟に跳んで奴の尻尾に両手両足を使って掴まる。

其れに気付いたのかギルギル鳴きながら僕を振り落とそうとする。


僕は指に力を込め爪を精一杯出して落とされ無い様堪える。


揺れる尻尾に掴まりながらゆっくりゆっくりと奴の背中へと上がって行く。


「ギルギィィィィィ!!!!!!」

何度か此方を確認すると、顔を思いっきり向けて炎を吐いて来た。


「ヘレ̈メリ̇ㇰ・トベオン!!!」

又も炎の攻撃を受け流す。

其れで駄目だと分かったのか奴はスピードを上げて僕を振り落とすつもりみたいだ。


其の風圧に負けずにゆっくりとよじ登り、

尻尾の付け根から上手く背中へ上がった。


もう此の際、爪が血で真っ赤な事は気にし無い。


其れにしても。風が酷い程吹き荒れて居る。

高い所に居るからだろうか。其れとも此奴のスピードが早過ぎるだけなのだろうか。


何とか立ち上がって僕は奴の顔に近付いた。


奴は此方を見て気にはしたが、

もう何が何だか分から無いと云う感じだった。


靴を脱ぎ、収納魔法に入れて準備を進める。

剣をもう一回剣を引き抜いて覚悟を決め、奴の首を躊躇無く斬り裂いた。


数十秒間は翼をばたばたとさせて居た奴だったけれども、

急に魂切れたかの様に動作を停止した。


「うわっ!!!」

其のふわっとする感覚に驚いてしまった僕は奴の肉に両手の爪を引っ掛けてしまった。

僕の体が逆さまに成ってしまう。


けれど此れでは意味が無い。


物凄い勢いで落ちて行く僕と奴だが、

僕は下を眺め此奴から手を離すタイミングを伺う。


地面がどんどん接近して来る様に感じる。


……おや? 此所等辺は如何やら草原みたいだ。

勿論草と葉の区別は付く筈無いが、なんとなく色が違う。


僕は爪を引っ込めて奴から少し距離を取る。

そしてムササビみたいに手を広げ足と手を地面と水平にする。


(大丈夫、自分の体を信じろ。)


僕は其う言い聞かせて目をガッと見開く。


どんどん地面が近付いて来て居る。

勿論、此の情景が怖く無いと言ったら嘘に成る。


すると隣でバスッと重い音がした。

あぁ、多分此れは奴はもう先に落ちたんだろうな。


直接見る事も無く音だけで判断した。

きっと僕ももうそろそろ地面に着くのだろう。


どんどん近付いて来る地面に対して、

本能に身を委ねた。








僕は両手両足をクッションにして衝撃を和らげ、

何とか死なずに済んで居た。


ほっとした僕はゆっくりと立ち上がって辺りを見回す。


見た事も無い何処かの平原だ。

草は冬だからか生えて居らず、

木はまばらに生えて居る様だった。


其れと目の前に横たわって居る奴の姿が見えた。

現況確認が済んだ僕は其方に歩き出す。


がさっがさっと霜を踏む音がリズミカルに鳴る。

自然のパーカッションだ。


僕は奴の目の前に立つと座り込んで其れを凝視する。

恐る恐る触ってみると其の体に体温何てモノは無かった。


分かっては居たが、意思の無い大きな物体を触って居る様だった。


(……此れも仕事の内何だ、ごめんな。)


僕は奴の前で両手を合わせる。


(よし。)


自分の気も済んだ事だし、

さっさと作業に移ろう。


取り敢えず持って来たタオルで血を拭き、

ゲームみたいに素材を回収出来無いので収納魔法にしまった。


後頭だけだ。

何処かに無いのだろうか。


ホルベに持って行く際には絶対的に有った方が良いだろう。

ちゃんとした証明に成る。


ちょっと平原を彷徨くと有った。

木の上に引っ掛かって居たみたいだ。


僕は木に攀じ登り其れを掴みさっと降りる。

そして僕は其れをジロジロと見つめた。


……あぁ、良かった。

原型は失って居無いみたいだった。


ちょっと木に引っ掛かった所為か目とかがアレだけれども。

此れ位ならしっかりとした証明に成るだろう。


僕が其れを収納魔法にしまって満足気に帰ろうとした其の時、

何かがわらわらと僕の周りに集まって来た。


其れは丸っこい石みたいな何かの様で、

僕の周りで円形の陣を取った。


よくみると三つの線が有って顔みたいに見える。


(……描いてて良かった。)


僕は魔石をポケットから取り出して高く飛び上がり、

地面に思いっきりぶつけた。


衝撃波みたいなのが僕の周りを中心に現れて、

奴等にぶつかった。


……筈だった。


「は!?」

奴等には攻撃が全く訊いて居無い。

其れどころかピンピンして居る様に見えた。


其の騒ぎを聞き付けてか奴等の仲間はどんどん集まって来て、

僕を囲う様に壁を高くしようとして居る。


何やらマズい事に成りそうだと思った僕はジャンプして其処から出ようとした。

けれど、何故か上手くジャンプ出来無い。


(嘘だろ!? 落下時の衝撃か!? )


……いや、違う圧倒的に其んな物では無い。

自分の足が動か無いと云うより、何かで押さえ付けられて居るみたいだった。


(なら……妨害させるを使って……。)


其う思って手に力を込めるが魔法が発動した気がしない。

炎も視え無いし、音だって()こえやし無い。


「お、おいおい……此れ如何すれば良いんだよ……。」

僕はかなり大きな独り言を呟いた。

魔法は使えずしかも効かない、ジャンプも出来無い、絶望的だ。


試しに剣を振るってみるが隙間が出来ても直ぐに埋められてしまう。

其れどころかさっきより高く成って居る気がする。


「は、はは……。」

僕は其の場にへたれ込んだ。

もしかしたら此奴等は森の番人的な奴で、

僕は那奴を殺したから此うやって居るのだろうか。


『……リング!!! リングー!!!』


何やら声が聞こえる。

もしかして……此の声は…………?


しかも急速に其の声が早まって来る。

がさがさと足音も聞こえる。


僕は其の声に注目してみる事にした。


『あぁ、此の!!! めんどくさいな!!!』


……あぁ、そうだ。


「おい!!! お願いだ!!! 助けてくれ!!!!」

僕は思いっきり叫んだ。

身体から全て搾り取られるみたいに腹に力を込めて叫んだ。


「分かった!!! 今助けるから!!!」

安心感の有る男性声が聞こえて来た。

瞬間、奴等の壁が崩されて、其の隙間に腕を伸ばして来た。


何処か見覚えの有る、茶色い肉球の付いた手。

自分が創ったのだからよく覚えて居る。




僕は其の腕を掴み総てを任せる。

石みたいな奴に当たりながらもするっと抜け出せた。


「……ありがとう、ヷルト。」

僕は良くも悪くも仏頂面の彼にお礼を言った。


「感謝なら後にしろ、先ずはコイツ等を倒すぞ!」

其れを聞いて明らかに嬉しそうにするのに、

恥ずかしいのか其れを隠すかの様にちょっと怒って言った。


「あぁ!!!」

僕等は自分の武器を構えて奴等を睨み付けた。

最後何か変な奴等が現れましたね。

那れは割りかし物語の根幹に関わって来るので無意味な敵では無いのですよ?

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