第五話:其れから※
七月十五日、七月二十七日、鱗雲之式日本語表記が間違って居たので直しました。
自分でも直すのが面倒臭いと後悔してます。ちゃんと確認しとけば良かった……。
八月三十日、本文を再推敲して修正と加筆をしました。
ちょっと設定に変更が加えられたからです。
八月三十一日、ホルベのランクの表記が間違ってました。
クィヲセㇺㇳ→ヅァェヲセㇺㇳ→アヲ̇セㇺㇳ
ヅァェヲ̇センㇳ→キ̊ヲ̇センㇳ→アヲ̇センㇳ
おまけに表記も間違ってました……。
十月十三日、文章を修正しました。
一月三日、上記と一緒です。
一月十八日、上記と一緒です。
其れから又時間が飛ぶが、一年が経ち、十歳になった。
今は師匠……もといヷ-ルが所持して居るらしいアパートみたいな集合住宅に住んで居る。
そして見た目にも変化が有った。
紫色だった眼は真っ赤な眼へと変化してしまった。
那の眼じゃ無く為ったら只の悪魔にしか見えないじゃないか。
折角綺麗な色の眼をして居たのに。
まぁ、自分で言うのも気持ちが悪いが可愛らしいとは良く言われる。
眼をぎっと睨ませると途端に恐い恐いと云われるのだがな。
さて、此の国、エカルパル国は多種多様な人種が居る様で、普通の人間はヅィ-族、角が二本生えたファール族、羽が有って耳が長いアリーク族、僕らみたいな肉食系獣人のゲール族、そして草食系獣人のカ-レ族、
主に海に住んでいる獣人はヷーラー族。
肉食、草食、海系で分けるのはビックリした。
この国の標準語、エカルパル語で獣人は『ラ-ル』って言うから
勝手に『ラ-ル』って呼んで居るのかと。
さて、僕は今何をして居るかと言うと、茸や植物を採っている。
僕はランヷ-ズって言うモノの、其の中の国が運営している『ホルベ』と云う組織に所属して居る。
前世風に言うならランヷ-ズは冒険者、ホルベ等の組織はギルド、と言うべきか。
意味は勿論違う。
ホルベは私営、県営、など色々有るけれども国のランヷーズが一番買い取り値が高いのだとか。
県営は依頼も少ないしそもそも人が居ない。
後は国のホルベで作ったカードは県のホルベでも使えるのに県のホルベで作ったカードは国のホルベでは使えない。
だから県のホルベに登録するのはお勧めは出来無い。
だが、其処でしか討伐出来無い珍しい魔物も居たり、そして旅でもしない限りは其れでも良いかも知れない。
僕は其うでは無いからやらないが。
私営は……法律ギリギリなのも有ったりしてお勧めは出来ない。
正直治安も悪い。本当にゲームで出て来るギルドみたいだ。
で、何故そんな物を採っているかと言うと……。
……純粋にランクが低いのだ。
今の僕のランクは『ヺ̇-ド・フ̇ァェーキー』
ヺ̇-ドは木を意味し、ホルベでの最低ランクだ。
まぁ十歳はホㇻ̇ドまでしか行けないからしょうがない。
確かこの国では成人年齢が十四歳だったから、其迄の最高ランクはノマまでしか行けない。
十二歳はホルド迄だ。
ホルベのランクは『ヺ̇-ド』『ホㇻ̇ド』『ノマ』と上がって行き、『ヅァェヲ̇センㇳ』『キ̊ヲ̇センㇳ』『アヲ̇センㇳ』と続き、『リ̈ルティㇺ』『ヱ̇リ̈オン』と成って行く。
此等は此の世界に在る鉱石や物質を名前にして居る。
ヅァェヲ̇センㇳからは魔物の討伐依頼も増えて来るだろうし成るべくなら其処迄行って置きたいのだ。
目的に一歩近付く事が出来る。
然し此れが県営だと少し違って、例えば『ヱ̇リ̈オン』の上に『テロ̇ード』が有ったり、逆に『ヺ̇ード』が無かったり……けれど基本的に大体は一緒だ。根本のシステムは同じだろう。
私営はそもそものシステムが違ったりするし一概には纏められない。
因みに師匠、現役時代はリ̈ㇻ̇ティㇺだったとか。
素直に凄い。尊敬する。
さて、其んな事は取り敢えず置いておく事にしよう。
「う〜ん。」
僕は前より耳が良くなったと思うので耳を頼りに目的の樹を探している。
鼻じゃないんだからそんな分かる訳無いだろうと云われるかも知れないがそもそも猫科の僕でさえヅィー族依りかは鼻は良いし、僕は足音や鳴き声、羽音や魔物の歩き方から其奴が居る種類を、そして存在して居る場所から其等が在る所を探し出せるのだ。
僕自身、少し誇りに思って居る。
……只、此の体にも欠点は有る。純粋な視力は悪くなっただろう。
色も判別しにくくなって居るし。
彩度が同じオレンジと黄緑なんかはよくよく見ないと分からないかもしれない。
けれど、其処迄日常生活に困っては無い。
今僕は土の音を聞いて居る。
ミミズの這っているズリズリとした音、モグラが穴を掘っている音、そして地下水の流れる音。
それらを一編に聞いているのに何故か聞き分けられている。
これは自分でも良く分からない。
今は地下水の音を重点に置いて居る。
高値で売れるからこそ採りたいのが『ラ̈フ̇ェリ̈』と云う青い群生きのこなのだが、それが生えている木、『ゴㇻ̈ベンヂュ』は水が多い所に生えて居る事が多いのだ。
だから地下水が池、湖の様に成って居る所を探して居る。
……ん?
何か滝が流れるみたいな音がした。
こっちに大量の水が流れて居そうだ。
樹木を掻き分けて其れを探す。
何十分か経った其の時。
目の前に背の低い、幹は薄茶色の太い木が出て来た。
葉っぱは青緑色に近い色だ。
此れだ、此れがゴㇻ̈ベンヂュだ。
しかも周りには根に添って青いきのこが沢山生えて居る。
僕は幹に駆け寄り、そして自身の爪で幹を引っ掻いた。
すると幹からポタポタと水が滴って来る。
うん、此の特徴はゴㇻ̈ベンヂュだな。
僕はS字型の茸用の採取ナイフを取り出した。
刃先も、そして手元も曲がって居る。
そして根本から綺麗にさっさと採って行く。
傘は綺麗な青色をして居る。夜に為ると眩く発光するのだっけ。
そして其等を籠に入れた。何時の間にか籠には溢れん許りの茸が入って居た。
獣人様々だ。
* * *
「……はぁ。」
僕はホルベの受付嬢に溜め息を吐かれて居る。
なんかマズい事でもしたのだろうか。
台の上にはどっさりと例の籠が入って居る。
「あのでね‼︎ 今日はちゃんと帰れたから良かったけど‼︎
だめでしょ‼︎ そんな森の奥に行っちゃ‼︎」
彼女の黄色い目がこちらを睨み、同色の髪を靡かせ、其の二本の角さえ苛立って居るみたいだった。
「で、でも……在庫……無かったんでしょ??」
態とらしくあどけなく言ってみせる。
如何やら薬や、魔法的な術式等に使う植物や茸は栽培が出来ないみたいなのだ。
出来るのも有るみたいだが、殆どは出来ないだろう。
理由は未だはっきりして居ない。
その中でも『ラ̈フ̇ェリ̈』は貴重で、かなり高価で買い取ってくれる。
味は知らない。
けれども、一割位は収納魔法の魔法陣に了った。
別にランヷーズだからと言って必ず採取した物を出さなければ行けないと云うルールは無い。
年齢は若いが一応魔導士だもの。……自称。
「はぁ、そうだけど……。」
と頬杖を付いて顔を逸らす。
「……まぁ、今回は生きて帰れたから良いか……。
でも次はしないでね‼︎ ね‼︎」
指を鼻に当てて言ってくる。
分かった、分かったから。
其の何か香辛料を触っただろう手で鼻を触るんじゃ無い。
其う言いたかったが止めて置いた。
「あぁ、報酬は払わなきゃね……ほれ五十万ベリル。
子供がこんな大金持ってるっておかしい事だけど、自分で稼いだものだからね。仕方ない……。」
と言って赤い硬貨を五枚差し出してきた。
……こんな硬貨、始めて見た。
* * *
早速其の大量の金で一つ魔術道具を買ってきた。
其れは三本足の丸い円の台から三つ中央にくるんと反った棒が生えて居り、先っぽには宝石が付いて居る。
真ん中には其等依り太い棒の上に宝石が乗って居る。
これ、空気中の魔素を計る装置らしい。
魔素と云う物は空気中に存在している物質の事。
これと生き物が持って居る魔力が反応して魔術が使える様に成る。
つまり魔素が少ないと上手く反応出来なくて発動出来無く成り、魔力が無くなってしまうと魔法は使えないどころか最悪死に至る。
魔力はこの世界の人間を構成する大事な物質だろう。
只、多ければ多い程良いって訳でも無い。
魔力量は本人のキャパシティーを超えると体内で暴発して其れは其れで死に至るし、魔素が多いと少ない魔力でも反応してしまう為に魔術災害が起こったりする。
自然に魔法が暴れてしまうのだ。
さて、此れは部屋に置いて様子を待ってみよう。
大体三十二分位経てば効果が出るとか。
僕が其れをニヤニヤして眺めて居ると、ドンドン、と玄関扉を叩く音が聞こえた。
「は〜い。」
誰だろう。
「リングちゃん‼︎ これ作ったから持ってきたの〜〜‼︎」
近所に住んでいるシャチのおばさんがやって来た。
其のすべすべとした艶やかな肌に見惚れてしまいそうだ。
かなり年がいってるらしいのに若く見える。
「あ、有難う御座います……レゲルさん。」
彼女が持ってきたのは木製の容器に入ったバーダーと、沢山のゴーゴとドーバーだった。
バーダーは出汁、ゴーゴをエカルパル語ではコルバと謂い、海苔みたいな物だ。
ドーバーは昆布の煮付けみたいな物。
「リングちゃん好きだもんね〜〜珍しいわよね〜〜、ゴーゴなんか皆『海の味』がするって言って食べないもの。『海の味』じゃなくて『磯の香り』よねぇ?」
まぁそうだ、概ね同感出来る。外国人は海苔を海臭いと表現するらしい。多分欧米人は。
けれど、同感出来る理由は僕が元日本人ってだけなのだけど。
「其うですよね……美味しいのですけどね……。」
元日本人だから僕もそう思います!
……何て言える訳が無いので当たり障りの無い言葉を紡ぐ。
「そうそう、今日大量に作ってしまったのだけどだーれも貰ってくれないのよねぇ……。
だからリングちゃんなら貰ってくれるんじゃないかって思ったのよ。」
彼女は何時もそう言って持って来て居る。
けれど其れにしては量が適量過ぎるし味付けが僕の好みのど真ん中を通って居る。
彼女は夫を事故で亡くし、そして子供も産めなかったらしい。
其れだから僕に母性を注いでいるんじゃないかと勘ぐってしまう位には。
何時もの妄想癖だと良いんだけど。
「そ、そうですね……。」
貰えるのは嬉しいけど少し怖さも有る。
此んな優しくしてくれる彼女が僕が自殺した事や、それまでの経緯を聞いたら嫌いに成ってしまうんじゃないかと。
其う思ってしまう。
「あら、それ何?」
彼女がさっき置いた器具を指差して来る。
「あぁ、魔素を検知する装置ですよ。」
後ろを向いて確認した後彼女にそう言った。
「へー……なんか凄いわねぇ……!」
口に手を当てて言って居る。
彼女は魔法の事に余り詳しく無い様だ。
まぁ一般人はこんなもんだろう。多分。
一応学校とかで魔法について学ばされるらしいのだが、専門的な事は自分で選択しなければ為らないらしい。僕は学校には行って無いので内情は分かる訳は無い。
只、僕の特殊能力か、それとも経験からか、なんとなくオーラみたいな物で魔力を感じる事が出来る。
第六感的な物だと思うから上手く言語化が出来ないけど、
彼女の其れはとても大きい。そして質が高い。
こんだけ有れば強大な魔法の一つや二つ使えてもおかしくないのだが。
何故知らないのだろう。
「いや……それほどでも……。」
やはり元日本人。ついつい此んな事を言ってしまう。
「そんな遠慮しなくて良いのよ、
自分が凄いって思う事は自分で凄いって言った方が良いわ!」
と僕の肩をポンと叩いて笑顔で言う。
其うは言っても、
自信は無いし、そもそも僕は無属性とゲード属性しか使えない。
其方の方面しか深くは知らないから魔法に詳しいと言って良いか怪しい。
「そうかも……知れないですけど……。」
とあやふやな返事をする事しか出来ない。
「ふふふ、そうね、多分未だ若いからそう思うのね、経験を積んで行けば自信が付くと思うわ。」
……そう云う物だろうか、僕は同じ様な事をしたけれども、結果的に自信を喪失する事に成った。
けれど、同時に彼女に言われた事が嬉しかった。
僕を励ましてくれる、と云うのは十分伝わったから。
だからだろうか、彼女に転生の事を打ち明けようとしてしまう。
いや、踏み留まれ、自分。側から見たら只の狂人でしかない……!
開けた口を閉ざした。
「あら、もうこんな時間⁉︎ ごめんなさいね、私帰らなきゃ。」
腕時計を確認する彼女に僕は質問を投げかけた。
「あの、もし転生するとしたらどうしたいですか?」
ちょっと待て、何て云う事を言って居るんだ。
余りに唐突だが、操られたみたいに喉から勝手に出て居た。
「え? まぁ、そうねぇ……。」
彼女は右上を見てちょっと考え込んだ後、此う言った。
「別の種族にも成って、別の人生を歩んでみたいわね。」
と冗談っぽく笑ってみせた。
意外だった。彼女が其んな事を言うとは。
てっきり、自分にもう一度産まれたいと言うかと。
人間、いや人間じゃないが人って意外な事言うモノなんだな。
其う思った。
此の街はかなりの都会です。どの位都会かと言うと渋谷とか其処等辺の首都位大きい街だと思って下さい。
豊富な商業施設や娯楽施設、学校や家などが密集して居る地域です。
けど此の小説ではぶっちゃけ出番は或りません。
八月三十一日の私「おい、来ちゃったぞ。出番来ちゃったぞ。」




