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第五十八話:獣人の娘※

九月六日、本文を修正しました。

「えー……お二人様、馬車を予約、と云う事で宜しいでしょうか?」

ファール族のおじさんが片眼鏡から僕等を見たりして其う言って居る。


「あぁ、はい。」

僕は頷いて其う答えた。


「……にしても、獣人二人の御予約なんて珍しいですね。

 ゴンダ町とかからですか?」

彼が片眼鏡を弄るのを止めて質問して来た。


「いえ、アㇻ̇バㇺ村から……。」

僕が其う言うとちょっと強張った顔をして僕達を見た。


「あぁ、其れは失礼しました。アㇻ̇バㇺ村……。」

直ぐに笑顔と取り戻すと祈る様なポーズをして契約書みたいなのを眺めて居る。


「どうかしました?」

隣を見るとヷルトが少し怖い顔をして言った。


「いえいえ……珍しい所から来たな、と其う思いまして……。」

其うは言うものの、彼の言動は何処と無くぎこちない。


「はぁ、成る程。」

しかしヷルトは納得して居無い様に見える。


「じゃあ其の、此方の契約書にお二人サインをお願いします。」

僕に万年筆が渡されたので其れを受け取ってささっと書き、

彼にも渡す。


彼を其れに同意すると受付は次の説明を始めた。


「えーっと、で、お値段の程ですが…………。」

彼は紙をひっくり返し紙に書かれて居る文字を読んで居るみたいだ。


「はい。」

「お二人で五十万四千ベリルに成ります。」

彼は紙の下の方を指でなぞって言った。


勿論相場と同じ位だと思うのだけれどやっぱり高い。

しょうがないのだけれど。


「……俺が出すか?」

流石の高さに彼が心配に成って居る。


「ううん、だいじょぶ。」

僕は彼を見て優しく言うと其れと見合う硬貨を同じ位出す。


「えーっと、六千ベリルのお釣りですね。」

彼は青っぽい硬貨を六枚差し出して来た。


「……有り難うございます。」

ちょっと頭を下げてにこっと笑顔を作って言った。


「いえいえ、此方こそ。」

顔の辺りで掌を此方に向けながら手を振って居る。


「んじゃ、行こ。」

「おう。」

僕等は一つ用事を終えたので店のドアから出ようとする。


「あ! ちょっと待って下さい!」

僕がドアに手を掛けた途端、彼が僕にやや大きな声で言って来る。


「……はい?」

僕と彼が受付の方を向いた。


「最近冬なのに魔物が多く出るみたいですよ、

 護衛とか、ランヷーズとか雇った方が良いかも知れませんよ!」

彼がちょっと受付から乗り上げて僕等を心配して居るみたいだった。


「あぁ、そうでしたか……如何する?」

僕は其う言ってヷルトの方を見上げる様に見る。


「んー、ま、大丈夫じゃない?

 俺等ランヷーズだし最悪自分等で対処出来るだろ。」

彼の言葉はかなり乱雑に思えるのだけれど、

其の言葉に何故か力強さを感じた。


「……だね。すいません、わざわざお伝えして貰って……

 だけど必要は無いかと思います、お気遣い有り難う御座いますね。」

僕は頷くと彼の方を向き手を後ろにやった。


「はぁ……其うですか……只本当に気を付けて下さいね。」

彼は顔を下に向けて大きく溜め息を吐き、

顔を上げると僕等にもう一回釘を刺して来た。


「はい。」


* * *


「んでさー、僕、ちょっと買いたい物が有って……。」

僕等は那の店から出て西洋っぽい御洒落な街並みを歩いて居る。


「おう、何処行くんだ?」

歩きながら顔を横にして此方に向けて来て居る。


「うーんとねー、フ̇ォンㇳ゛ル̇ー魔法具店って所。」

僕は鞄の紐を掴みながら彼と顔を合わせて居る。


「んー、あ、あっちの那の店か?」

彼は何処か明後日の方向を指して居る様に見える。


「あぁ、多分其れ其れ。」

よく見え無いけれども頷いて応えた。


「はー、何買うんだ?」

彼は腕を組んで居る。


「チョェギ̏ザァェーゥ̻゛。」

僕はちょっと早口で商品名を口にした。


「……え、名前ダッサ。」

と彼が口を大きく開けて言った。


まぁ確かに自分もダサいと思う。

だって日本語に直したらカミナリキツネとかだから。


「確かに其うだけど……でも性能は凄いらしいよ?

 前迄のだったら一ヴ̇ォェラ̇ン゜ケ゚ーㇳしか計れなかっけど、

 ヅォェラ̇ン゜ケ゚ーㇳ迄計れるんだよ??凄くない??」

僕は其う言った彼に語りかける様に言う。


「いや、其れ、凄いのか……??」

けれど彼は首を傾げて居る。


「いやーすっごいじゃーん、だって単位が一つ違うんだよ?」

彼をちょっと小突いて、又ちょっと早口に成りながら彼に言った。


「ふーん……。」

けれど全く興味が無い様だ。


「あ、見えて来たね。」

小さく、そして周りより一層古びた感じの外装で、

矢切りのちょっと下辺りに木製の看板が在る。


何か書いて有るのは分かるけれど文字は……未だ読め無い。


「あぁ、本当だな。フ̇ォンㇳ゛ル̇ー魔法具店って書いて有るな。」

僕はちょっと小走りに成って歩くと、

看板を凝視した。


「……おう、此処なのか。多分俺来た事有るかも。」

後ろから追い掛けるようにして着いて来た彼が


「あ。そうなの?」

扉を開けようとした僕は手を止めて彼の話を聞く。


「あぁ、余り来た事は無いけれど、

 昔妻と一緒に、一回だけ……だな。旅気分で行ったな。」

其の話を懐かしむ様に言うと僕を見た。

彼の隣には一人女性が視える気がする。


「……あ、そっかぁ、もう店主とかも変わってそうだね。」

ちょっと其の光景を傍観して居た僕は思い出したかの様に彼の顔を見る。


「……うん、だな。」

彼がドアを開けるとカランコロン……と鈴の鳴る音がする。

僕は彼に着いて行く様にして店内に入って行く。


店内は見た目通りこぢんまりとして居る様で、

多分十五畳位のスペースだろうか。


入り口近くと受付近くに三つ位机が在って、

其れと左右の壁に段が在って其れに色々と置いて有るみたいだった。


「おぁ、こんにちわ。」

受付に立って居るヅィー族の男性が手を振って此方に手を振って居る。


「あぁ、こんにちわ。」

ヷルトが其れに応えて居るみたいだった。

僕は彼に向かって小指を突き立てて笑顔を作ると目的の物を探し始める。


「何かお探しなのかい?」

「あぁ、俺じゃ無くてコイツが……。」


今机の上に置いて有る魔道具を見て居るのだが、

持って居る物だったり、属性的に僕が使え無かったり。


と、熱心に探して居るとヷルトが僕を手を振って呼んで居る。


(ん? あ、僕か!!!!)


「あ、え? あ、えーっと……。」

僕は受付の方にちょっと小走りに成って行く。


「うーんと…… チョェギ̏ザァェーゥ̻゛って云う魔道具なんですけれども……。」

「あぁ……其れか…………。」

僕が其う云うと店主はかなり難しい顔をした。


「おいゲーノ。」

後ろを向いて誰かの名前を呼んだみたいだ。


「はーい、なになにー? どしたのー。」

すると扉が開かれ、受付から小さい頭をピョコンと出して此方を見て来て居る。


彼女は毛皮に被われて居る様で有り、

長い耳と房毛と猫科特有のマズルを見せて居る。


(……あれ、此の頭の上や目の下の線って…………。)


彼女は僕をじろじろと見るとぱあっと笑顔を作り此方に走って来た。

すると彼女は僕に抱き付いて匂いを嗅いで居るみたいだった。


(……え、え? えぇ???)

僕は彼女の行動に困惑するしかない。


「流石に止めろ。」

彼も受付から出て来て彼女を摘み上げ中に戻した。


「やぁ〜〜だ〜〜折角同種見つけたのに〜〜〜〜。」

背が小さくて此方から姿は見え無いが駄々を捏ねているみたいだ。


「えと……同種……って?」

ちょっと首を傾げ嫌味に成ら無い様に笑顔で言ってみた。


「あぁ、コイツ、自分と同じカラカル種の獣人見付けると此うなっちまうんだよ……

 多分、俺が引き取った施設に同じ種が居無かったんだろうな。」

彼が目を閉じて顔を下に向け呆れて居るみたいだ。


「……あ、養子……なんですか?」

僕は口に出しかけて止めようとしたけれども、

もう言ってしまった物はしょうが無い。口に出してしまった。


「ま、そうだな。」

彼はちょっと苦い顔をして答える。


「ねぇ!!! ねぇ!!! 他に居るの!!??

 私と同じ種類が居るの!?」

彼女は受付に力を込めて上半身を出して此方を見て其う言った。


「ははは…………。」

僕は其の圧に苦笑いをするしか無い。


「あー、もー、お前、さっさと探して来い!!!!」

此処等辺正直言って元々考えて無かったシナリオ何ですよね。

よくまぁ、思い付きで此処迄書けたなぁと。

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