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第五十六話:最終日

「「「今日も神様のくれた食材で生きる事が出来ました。有り難う御座います。」」」

僕等は朝食を食べ終えると皿をキッチンに持って来て洗い始めた。


「……なぁ、明日で帰らなきゃ行けねぇよな?」

ガルが名残惜しそうに顔を覗かせて訊いて来る。


「んまぁ、其うだね……。」

僕は皿を洗うのを止めて彼に顔を向けて言った。


「あ、其処のお皿洗っといて。」

「はいよ。」




其れを終えた僕等はリビングで談笑をして居た。


「あぁ、学会の場所がさ、今回ボマョェッ̻で行われるらしいんだけどさ、

 ガルジェは隣のコ̏ージェル̈ーㇻ̈に住んでるんでしょ?

 行く時は手紙なんなり送るからね〜。」

僕は其う云うと目の前に有るお菓子を食べた。


「…………!」

彼が耳を立てて目を見開いてじわじわと尻尾を振り始める。


「分かった!!!うん!!!!」

そして大きく頷いて眩しい位に明るい笑顔を作った。


「え? 結局行くのか?」

ヴァルトがやや面倒臭そうに言う。


「行こーよー、ねぇねぇ〜〜。」

僕は猫っぽくあざとく彼に擦り寄り態とごろごろと喉を鳴らしてみる。

彼は僕の行動に驚いてちょっと背を仰け反ると僕をびっくりした様な目で見て来る。


ガルが驚いた顔をして居る。


「行く?」

僕は擦り寄るのを止めてにっこりと笑顔を作って首を傾げて目を細める。


「……あぁ、あぁ、うん。おぅ…………。」

さっきの光景が未だ理解出来て無いのか


「けーっ、兄貴が其んな行動する何て……

 師匠位にしかやんねーぜ? 羨ましい、クソっ……。」

彼が顔を真上にやってぼそぼそと其う言った。

まさに切歯扼腕して居る様に見えた。


「……え、やってたっけ?」

僕はきょとんとした顔で彼に尋ねる。


「やってたじゃんかよー!!!

 昔師匠によくやってたの見てるんだぜ? 八歳位迄よぉー!!!」

彼が人差し指を此方に向けてちょっと怒った様子で口を尖らした。


「……え? 嘘?」

僕の記憶には其んな事をした覚えが無い。

一ミリも。


「ほ〜〜〜ん〜〜〜と〜〜〜。」

机に両手を置いて僕に此れでもかと顔を近づけて来る。


「ほーん……はぁ…………ふーん……。」

ヴァルトが何故か腕を組んで僕達の話を興味深そうに聞いて居る。


「……又やって欲しいの?」

僕は彼の腕を掴んでからかってみる。


「あいやいやいやいや別に其んな事じゃねぇ、

 あぁ、うん。何か、ほら、ほらよ、

 元人間なのに体だけじゃ無く心迄何か凄い獣人っぽいな、って。うん。ね。」

明らかに目の挙動がおかしいし其の瞳孔が大きく成って居るのに、

作り笑いみたいな笑顔を作って典型的に両手を振って居る。


「あ、おめぇやって欲しいんだな!?

 其れは俺が許さ無ぇからな真面目に!!!!!」

彼は立ち上がり、逆鱗に触れてしまったのか鼻に皺を寄せ牙を此れでもかと見せてぐるぐる唸る。


「へ?」

彼は余りの激昂ぶりに動揺して居る。


「せめて俺がやって貰ってからだやってくれよなぁ〜〜〜!!!!」

神に祈る様なポーズをして僕に泣きそうな顔をして懇願して来る。


「あ、うん。ごめんね。無理。」

付け上がると困るので僕は丁寧にきっぱりと断った。


「なんでだよおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!」

又顔を上に向けて耳が裂ける程の大声で言い、悔しそうに自分の太股を叩いた。


「あぁあぁあぁあぁあぁあぁ羨ましいなぁ嫉ましいなぁ呪ってやろうかこんちきしょう!!!!!!」

顎を机にペタンと付けて彼を睨みながら其んな戯言を言って居る。

……誰がやるか。


「……あの、ガル、みっとも無いから止めて。」

取り敢えず彼を如何にかしようと僕は宥めるみたいに彼の肩を叩く。


「止める。」

彼はきっぱりと其の行為を止め、気持ち悪い位に背を伸ばしきっちり座り直した。

其れは其れで何か恐ろしい物を感じるから止めて頂きたい。


「ま、其う云うこっちゃね、珍しいんだからな!!!

 めっっっっっちゃ信頼されてる証拠だからな!!!

 な!!!! 分かったか!!!???」

再三指をヴァルトに向け、力強く、そして其の眼力で彼を見つめる。


「あ、あぁ…………分かった……?」

ヴァルトはやっぱり上手く理解が出来て居無いみたいだ。


「そうだぜ〜〜〜、兄貴に気に入られて居る証拠なんだぜ!!!」

彼は親指を突き立て腕を彼に向けて伸ばして喜色を顕わにする。


「んじゃあ、ガルは気に入られて無いのか?」

本当に疑問に思ったみたいで、

冷静に冷淡に率直な事を言ったみたいだ。


「いやいやいや、兄貴はきっっっと俺の事を信頼して居る筈だぜ!!!

 きっと恥ずかしくてやんないんだろうな!!! 多分!!!」

彼は何故か言って居る内に興奮して来て居る。


(あの、信頼して居る訳では無いのだけれど……。)

信用と尊敬はして居るけれども。


「ふっふふ〜ん、あ、でさー…………。」


* * *


「あぁ〜〜〜すっきりした!!!!

 気持ち良いな〜〜〜、都会ではあんま入れないんだよな。」

ガルが自分に魔法陣から熱魔法を出し体を乾かしながらバスタオルで尻尾なんかを拭きながら出て来た。

今日は彼で最後だ。


「あぁ…………。」

僕はちょっと顔を強張らせて頷いた。


「え? 本当か?」

彼は真偽を確かめる様に訊いて居る。


そりゃそうか、ヅィー族だったから余り気にする事も無いかも知れ無い。


「そ、別に俺等が入っちゃ行け無ぇなんて決まりは無ぇけど、

 やっぱりな、毛が如何しても入っちまうから獣人専用の銭湯に行くか、

 其れか結構遅く入る事が殆どだな。」

魔法陣を消し、バスタオルで耳を拭いて椅子に座る。


「あそりゃそうか……何か……すまんな。」

知ら無かったのにちょっと思う所が有るのか、

首に手を当てて謝った。


「んあ〜〜? 別に成んねぇと分かんねぇ事も多いだろうし別に謝る事じゃ無ぇぜ。」

彼が馬鹿を見る様な目をすると、直ぐに笑顔に戻って彼に言った。


「そっか…………。」

けれど心のつっかえが取れ無いのか微妙な表情をした、


僕は飲んで居たお酒が無く成ったので、

彼を尻目に其れを注ぐ。


其の光景を見て居た彼が目を丸くし、

自分のグラスをキッチンから取り出すと僕の前にカンと置いた。


「あ!!!!兄貴!!!!俺にも酒くれよ!!!!」

彼はおちゃらけて其の舌を出して僕に言って来る。


「……前みたいに成らない?」

正直、那のベロベロに成った事がややトラウマと言うか、

結構気にして居るからこそ問うてみた。


「流石に明日は出るからな〜〜〜……ま、加減はするぜ。」

頭の後ろを掻いてへへ、と笑った。


(……ならまぁ、良いかな。)

断る理由も無いし。


僕は其のコップにととと……と半分位黒い液体を注いで行く。

其れを受け取ると空いて居る一つの席にどさっと座る。


「序でに俺も貰おうかな。」

彼が前方から、其れも何処から出したのかグラスを差し出して来た。


「はいよ。」

また同じ音がし彼のグラスにお酒が注がれた。


「んじゃ……。」

僕が彼等を見てグラスを持ち上げると彼等も連鎖する様に同じ行為をする。

グラスがカンと擦れ合うと僕等はぴったり此う言った。


「「「神様の涙に感謝して、乾杯!!」」」

と云う事で遂にガルジェが明日で帰ってしまう所迄書けました。

此処迄来たら一章は後もうちょっとです。


がんばれ、自分。

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