第五十四話:子供達の活気は
「こんにっちはーー!!!!!!今日はコン君を連れて来たよーー!!!!!」
翌朝、マリルちゃん達がやって来た。
如何やら那の雨宿りして来た子の名前は其う言うみたいだ。
「あ、こんにちは。」
彼女等を見つめて其の場に座り込む様にして言った。
「お狐さんはー?」
如何やら彼女はヷルトが気に入ってしまった様で、
玄関先で後ろを覗く様にして探して居る。
「うーん…………那の有様で…………。」
僕は後ろで倒れ込んでしまった彼等を指した。
昨日呑み明かした所為で立つ気力も無い様でへばって居る。
「……遊べ無いの?」
彼女よりちょっと身長の低いコンが後ろから言って居る。
「うん……駄目っぽそう。取り敢えず……家、入りな?」
僕はちょっと目を瞑ってニコッと笑顔を作る。
……取り敢えず彼等には仕方無いから二階に行って貰おう。
* * *
「あ!!ちょっと!!下は駄目!!!」
僕がちょっと目を話して居た隙に彼女等が勝手に地下室に入ろうとするのを僕は制止した。
正直、前日や昔に論文を終わらせたら良かったと後悔して居る。
「えー、何でー。」
彼女は本棚をズラそうとするのを止めて僕を見て来た。
「危ないでしょ、今地下室に色々危ない物在るの。」
僕は彼女の其の様子を見て余りキツくは言わ無いで於いた。
「いいじゃーん。」
彼女はスカートを持って体を揺すりながらひらひらさせた。
「だーめ。」
僕は小指を絡ませて否定する。
「………………。」
彼女は頬をむすっと膨らませて僕を見付めて来る。
と言っても、駄目な物は駄目だ。
実験の為の薬品とかほったらかしにした術式とか。
幾ら何でも流石に許可する訳には往か無い。
「……駄目って言ってるから、止めよ……?」
コンがビビった様に表情を強張らせて彼女を引き止める。
「だってぇ…………。」
其れでも気に成るのか泣きそうな顔に成って駄々を捏ねて居る、
此れで流石に言わなく成るかなと思ったら、
彼女は僕を見て怒った様に口を開けた。
「……じゃあ何が在るの。」
其処迄して何が在るのか気に成るのか。
けれども。
「うーん……。」
僕は腕を組んで考え込む。
けれど、子供に那の事を言っても良いのだろうか……?
僕の頭に大きな疑問符が浮かんだ。
「言わ無いなら行っちゃうもん。」
と言って又本棚をズラそうとする。
何かを感じ取った彼は必死に制止しようとする。
(何思っても知ら無いぞ。)
仕方無い、言おう。
「……体を骨まで溶かす薬品とか、触れると爛れる液体とか、
間違えたら体をボロボロにする魔術とか、石化する物質とか、
頭を破壊する術式とか、後は…………。」
「やだ!!!怖い!!!!!」
彼女と彼は震え上がり、僕が其処迄言った時点で彼女が大きな声で叫んだ。
「……そう……行く?」
僕はちょっと意地悪に笑顔を作ってマリルちゃんに訊いてみた。
彼女は大きく、そして早く首を横に振った。
……だろうな。
実際はしっかり保管して有るので余程の事が無い限り平気だ。
「んじゃ、入ら無いでね。」
僕は其う言って論文を進める。
(えーっと……何処まで書いたっけ……。)
僕は其の紙を眺めて居ると後ろから声が聞こえて来た。
「……行か無いで良かったね。」
「うん…………。」
如何やら僕に聞こえ無い様にぼそぼそと話して居るみたいだ。
ちょっと僕をじっと見付めた後、
又わーきゃーと家の中ではしゃぎ始めた。
「あぁ、リング……。」
其の声を聞いて酔いが醒めたのかヷルトが二階から降りて来た。
「あ、ヷルト、良く成ったの?」
僕は論文を作るのを止めて彼に顔を向けた。
「あぁ、ちょっと気持ち悪いが、まぁ大丈夫だ。」
彼は目を瞑り僕に一つまみ掴む様なポーズをした。
「あ、お狐さん!!!」
彼女が彼を見るや否や直ぐに抱き付く。
「あのさ……俺はドヷルト。」
やっぱり疲れては居るのか何時もより彼女に対する冷たさが無いと云うか、余りツッコミに対する覇気が無いと云うか。
「お狐さん!!!」
しかし彼女は其れを聞く耳が無い。
「ドヷルトだっつってんだろ???」
額に手を当てながら彼女を冷たい目で見る。
表情に活力が無い。
「ドワルド?」
「ド・ヷ・ル・ト。」
彼は彼女に繰り返す様にゆっくり言った。
「分かった狐さん!!!!」
「はぁ…………。」
もう諦めたのか大きな溜め息を吐いて頭をちょっと振って居る。
まぁ、子供何て此んなモノだ。
彼はキッチンにポットのお湯を沸かしに行った様だ。
シュゴーっと蒸気を立てて居る音がする。
そして音が止むと彼はポットとカップとかを持って来て居た。
鍋敷きを置いて其の上にポットを置く。
ポットを持ってくるくると混ぜ、
四つカップに入れると僕等に其れを差し出した。
「あ、ありがと。」
僕は万年筆を一旦置いて、其れを一つ貰った。
「おーい、其処のガキー、要らねぇのか?」
家の中を走り回って居た彼女等に彼は顔を向けて言った。
彼女等は此方に走って来る。
ヴァルトは思い出したかの様に立ち上がり、
書斎へと行った。
其処に有る椅子を一脚持って来たみたいだ。
彼は其れに座ってお茶を飲み始めた。
「おかわり!!!!」
マリルちゃんが空に成ったコップを見せて僕等にねだる。
「はいはい。」
僕はポットを持って差し出された其れに並々と注いだ。
「ねぇ、狐さん…………。」
彼女は其う言うとヷルトは返事をせず、
下を向いてお茶を飲んで居る。
「狐さん?」
「…………何だ?」
彼はちょっと溜め息を吐くと顔を上に向けた。
もう呼び方に付いては諦めたみたいだ。
「……何て呼べば良い?」
彼女は何か気不味そうな顔をして言った。
「ドヷルト、其れかヷルト。」
彼は彼女の其れに対し淡々と応えた。
「お狐さんは?」
彼女はちょっと机に身を乗り出し、
少し興奮した様子で訊いた。
「……やだ。」
彼女の目をしっかりと見て言った。
「むぅぅぅぅ……。」
彼女は机に顎を押し付けて不満げな表情をして居る。
あぁ、僕は論文を進めなければ。
ぼうっとして彼等の会話を眺めて居た僕は万年筆をインクに付け、
下を向いて書き始めた。
「お前もずっと人間様人間様言われてみろ。
嫌でも嫌いに成ると思うぞ。」
「んえぇ……うん……。」
「ヷルト?」
今の声はコン君みたいだ。
「そうヷルト。」
ちょっと前を向くとドアから少し隙間を開けて其の光景を眺めて居るガルが居た。
「あ、ちょ、お前!!!」
僕がちょっとニヤついたのを見てか、
彼はびっくりして後ろを向いた。
「むへへへへへ……ふーん……。」
彼は嫌らしくニヨニヨとして居る。
「おいちょっとおま、ちょ……。」
ヷルトが立ち上がって声を少し大きくする。
「ガールジェー!!!」
コン君が立ち上がって彼に飛び付く。
「よーしよしよしよし。」
ガルは頭を撫でると脇に手を入れてたかいたかいする。
彼はきゃーきゃーと子供っぽく声を上げた。
ヷルトは椅子に座ると何処か不満げだった。
此のシーン、本当はもっと遊ばせたかったのですが、
上手く描け無かったので没になりました。
昔の那の馬鹿みたいに遊ぶ事が出来無く成ったからかも知れません。




