第四十四話:似非言消※
因みに似非言消って云う四字熟語は存在しません。
読み方は『えせげんしょう』『えせごんしょう』でも何方でもどうぞ。
八月十三日、タイトルを修正しました……恥ずかしい……お陰で此の前の話の話数も間違ってしまいました……あぁ……もう……。
「……はい、じゃあ基本四属性は?」
「えっと……熱属性、冷属性、雷属性、風属性……。」
「じゃあ変則三属性は?」
「地属性、ゲード属性……なんだっけ???」
「あ! ダーベイ属性だ!」
「よく出来ました。」
其う言って頭を撫でてやる。
彼女はまんざらでも無い顔をして居る。
僕は半日程使って彼女に魔法の基礎的な事を教えた。
属性の事とか、魔法は魔素と魔力が結合して起こる事とか。
基本的な事を教えて置けばまぁ大丈夫だろう。
「あのさ、リング、学会がどーのこーのって言ってたけどさ……大丈夫なのか?」
ヴァルトが物案じして居るらしく、
僕が振り返るとかなり不安そうな顔をして居た。
「あぁ!! 忘れてた!!!」
正直言ってかなりマズい。
「学会?」
マリルが訊いて来た。
「リングはな、魔導士だから国の学会に参加するんだってさ。
かなり大きな催事らしいぜ?」
ガルがだらけた様に椅子に深くすわり、
ちょっと見下ろす様な視線で言った。
「へー……。」
彼女は全く興味が無さそうだ。
「さ、多分兄貴は論文を仕上げると思うから、こっちへおいで。」
彼は彼女を掌をくるっと回転させて誘う様に手を動かしている。
「うん!」
彼女は僕の元を離れ、
走って行ってガルに飛び付いた。
「兄貴はさっさとやってきな〜〜〜。」
彼女を抱き、頭なんかを撫でながら言って居る。
当の本人は満更でも無い顔をして居る。
「……ありがとね。」
僕はちょっと小さな声で言った。
* * *
さて、今僕が仕上げて居る論文はやはりと云うべきか無属性の事で或るのだけれども、先ずは最近使える様に成った変身魔法の事に付いて纏めて居る。
正直言って僕は論文を書くのが苦手だ。
嫌いか好きかで言えば嫌い。
正直、大学生の頃もレポートとか論文を書くのが苦痛でしょうがなかった。
中々筆が進ま無い。
昨日書いたタイトルと序章以外に全く進んで居ない。
此れを使って出来る事か……何か有るだろうか。
例えば……相手を弱い生物にしたり、後は自身も他の種族に成れるから魔物への対抗手段に成ったりとか?
いや、何方にしろ魔力をやたら使うのがネックに成って来る。
他の強い魔法を使った方が魔力の削減に繋がるし純粋に強い。
其れも併記しとかなければ。
「あ。」
……万年筆を付けた所、
筆からインクが垂れて一部が読め無く成ってしまった。
「……はぁ。」
深く溜息を吐いて机に置いて在る紙を一枚取る。
最初から又那の文章を其の儘そっくり書かなければ行けないのか。
其う思うと途端にやる気が無く成って来る。
けれどもし此処で頑張らないと魔道士の資格さえ貰え無いからやらなければ。
僕は綺麗な字を心掛けて又ペンを運んで行く。
……何だろう。何故か物凄く緊張する。
そうして前の文章を見返しながら書いて居ると、
欠点と云うか、余り説明しきれて居無い様な箇所がちらほら見つかった。
如何しよう。直すべきだろうか。
しかし此処で全て直してしまうとかなり読み難い文が完成してしまう。
僕は成るべく元の文章を壊さ無い様にして追加の文を足して行く。
多分無属性の事に付いて研究する様な学者な殆ど居ないだろうから
上手く前提知識も組み込んで行かなければ。
英語みたいなアルファベットで或るから仕方無いのかも知れ無いが、
やはり一文一文が如何しても長く成ってしまう。
此の短い文で如何やって其れを纏めたら良いのだろうか……。
僕はさっさと、とは言えないものの、
丁寧に綺麗に書いて行く。
前世みたいに鉛筆何て、ましてやパソコン何て普及して居無いから
一度書いたら其れで終わりだ。
自分の頭の中で文章を組み立て、
テーマに則って仮説を書いて行く。
大体中盤位迄書いた僕はちょっとした不安を懐いた。
……此れでも鼻で笑われたら如何しよう。
毎年学会には参加はして論文を発表して居るものの、
やはり無属性魔法の事だからか余り相手にされない。
中々研究の進ま無い属性の一つだし。
多分情報が余りにも少な過ぎるのが原因なのかも知れない。
しかも人や魔物等の肉体を変化させる事なんて
出来っこ無いと言われて来たから余計に不安に成る。
いや、僕は此れしか無い。と云うか、他の魔法を使う事何て出来無いから此れを出すしか無いんだ。だから手を進めないと行けないんだ。
僕は自分に其う暗示を掛けてみる。
………………。
(駄目だ。)
僕は筆を一旦止めてちょっとだけ休憩を取る事にした。
今日は何も書く事が思い付かないので此の儘投稿しちゃいます。
怠さと眠気がとんでも無いので……。




