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第四十三話:霙の日の来客者※

余り霙と云う漢字を見かけた事が無い気がしますが、

みぞれ、と読みます。何かカッコいい漢字ベストファイヴには入る気がします。


八月十三日、タイトルを修正しました……恥ずかしい……お陰で此の後の話の話数も間違ってしまいました……。

次の日。


「あ。」

今日は雨が降ってるかと思いきや、

(みぞれ)みたいな湿っぽい雪の様な感じに成って居た。


此の儘雪でも降ってしまうのだろうか。


前に雨は好き、と言っただろう。

けれど雪は嫌いだ。


よく雪がしんしんと〜〜とか、

白銀の雪原が〜〜〜とかって謂われるが、

全く以て良さが分から無い。


昔も其処まで好きでは無かったが、

今じゃ大嫌いだ。


寒いし、ずーっと残り続けるし、

綺麗な音もし無いし。


おまけに掻くのも大変と来たらそりゃ嫌いに成るだろう。


前世も現世も冬はずっと雪に悩まされて居る。

だからこそ雪は降ら無いで欲しい。


僕は薪を幾つか取って家に戻り、

其れを入れて薪に火を付けると後ろからガルが話しかけて来た。


「兄貴さ、やっぱ不便じゃ無いの?」

僕の背後から彼が話しかけて来た。

彼はガタイも良いし正直言って怖い。


「…………あぁ、いや、別に? 慣れちゃった。」

僕は立ち上がって言った。


「ふーん……。」

彼は興味無さそうに僕が持って居る火打石を眺めて居る。


「うん。やってみる?」

僕は其れを彼に差し出した。


「あ、いいや……何か怖いし……。」

大きな掌を目一杯開いて僕に向け、

ちょっと後ずさりをして居る。


「リングリングー!!!朝食食べよ!!!!」

ヷルトが空気も読まずに僕の肩を掴んで、

激しく揺さぶる。


「……食べよっか。」

「そうだな。」


* * *


(此れじゃやっぱ明日は雪に成りそうだな……。)

冬に活発に成る魔物も居るから用心しないと。


僕等が朝食を食べ終わって僕が外の様子を確認して居ると、

誰かが見上げる様にして僕を見つめて来た。


「……リングさん?」

眼に写った其の子は、

水色の様な青色の綺麗な瞳で僕を見つめて居た。


あれ、コートとか着て居ない?


「あ、マリルちゃん!久しぶり!」

僕はしゃがみ込んで彼女と目線を合わせた。

すると彼女は那の青色の髪を揺らして頷いた。


「えへへ、又来たくて来ちゃった。」

満面の笑みを浮かべて僕に抱き付いて来た。


「もふもふ〜〜〜。」

とか言って首の周りを触って来る。

正直此処等辺を触られるのは嫌だけれども子供だからしょうがない。


「……おうち、入る?」

彼女が首周りから手を離したタイミングで僕は言った。


「うん!」

余程嬉しいのかぴょんぴょんと跳ねて居る。

僕は立ち上がって扉を開けると、

てててーとやや小走りで僕の家に入って行った。


「あ!!!狐さん!!!!」

「うわっ!!!!お前なぁ!!!靴は靴は!!!」


「ごめんなさーい!!」

「お、こんにちは、名前は?」


「マリルー!!!お犬さんこんにちは!!!」

「おいおい、お犬って、俺には名前が有るんだぜ?」


「なに〜〜〜?」

「ガルジェって名前だぜな!!!」


「……変な名前〜〜〜。」

「あ、ちょ、幾ら子供相手だからと云っても変って其れは無いだろ!!」


「だって変なんだもん。」

「うぬぬぬぬ…………。」


……何やら騒がしく楽しそうな会話が聞こえて来る。

僕は天気の様子を確認してから中に入った。


「ほら〜〜高い高〜〜〜い!!!!」

「止めて止めて〜〜〜!!!!」

ガルが彼女の脇に手を入れてたかいたかいをして居た。

良いな、那処迄身長が高いとされる方も楽しいんだろうな。


やっぱり此の身長の低さを呪うしか無い。


彼女が十分其れを堪能し、

椅子に座らせられると饒舌に話を始めた。


僕は反対側の椅子にさっと座った。


「あのねあのね、最近ね、魔法覚えたの!!」

彼女が机に身を乗り出しかなり早口で捲し立てる。


「何々?何れ?」

僕は彼女の話に乗ってみた。

すると彼女は鼻を大きく膨らませて自信に満ちた表情をした。


「回復魔法!聖属性の!!」

タメにタメて言ったのは其の言葉。


「「へ?」」

二人同時に思わず聞き返してしまった。

ガルと同じなんて最悪だ。


「…………?」

けれどヷルトは何がおかしいんだ?

みたいに呆然として居る。


(あれ、其う云えば前に何か家に御祓いに来たみたいな奴も其んな事を言ってた様な……。)


「あ、あのね、マリルちゃん……。」

もし彼女が将来的に魔法関係や魔導士に成るなら此れだけは言わなければ行けない。


「うん?」

きょとんとしてしまった。


「聖属性はね……あの……無いの。」

成るべく彼女を傷付け無い様な言い回しで言った。

彼女は其の発言の意味を上手く汲み取れて無いみたいで、

きょとん顔をもっと深く顰めて眉が垂れ下がって居る。


「え? でもお父さんが有るって言ってたよ。

 悪魔や妖怪に対して効果が有るって…………。」

彼女は彼女が聞いた真実を並べた。


(アイツかああああああああああ!!!!!!!!!!!)

魔法でさえ間違って居るのか那奴は。


「え、えっとね……其の、言いにくいんだけど多分お父さん、

 間違って居るんじゃ無いかな……?」

あぁ、那奴が目の前に居たら子一時間うだうだと説教を垂れてやりたい。


「其うなの?」

両手を机に着いてちょっと頭を前に出して訊いて来た。


「うん……魔導士の僕ですら聞いた事無いしね。」

何故其んな、似非科学みたいな訳の分から無い戯言が出回って居るのだろう。

魔法耐久と物理的な耐久をごっちゃにするなら未だ分かるが。


いや、似非科学ならぬ似非魔法学か?


「将来の夢って魔法が関係してる仕事をするつもり?」

僕は彼女の事が心配に成ったと云うか、お節介では有ると思うのだけれど、

もし其うで或れば其んなおかしな知識を身に付けて欲しく無い。


「……うん、多分。」

彼女は考え込み、あやふやな返事をした。


よし、其れならば彼女に一から魔法の事を教えてやらねば。

中途半端に魔法を知った気に成って使われるのが一番困る。


科学だって其うだろう。


「じゃあ、一から教えるからちょっとこっちに来て。」

僕は書斎の方へ案内した。


「う、うん……。」

さて、マリルちゃんがやって来ました。

勿論、那んな事が合って何も起きない筈が無く……。

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