表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/205

第三十六話:弟分ガルジェ

「おっすおっす!!!!あーにきー!!!!久々だぜぇ!!!!」

あれから数日が立って、中々来ないマリルちゃんが如何して居るのか気がかりな僕等だけれども、

其んな所にガルジェがやって来た。


何故此んなタイミングの悪い時に。

確かに手紙は出したが。


「……ガル、お願いだから抱きつくの止めて。」

只でさえ毛皮が有る所為で暑いのによりむさ苦しく成る。


「リング、コイツ誰?」

ヷルトがぼそっと僕に言うと自分が言う間も無く声を張り上げて捲し立てる。


「誰とはなんだ誰とはぁ!!!!俺はカインドロフ・ガルジェだ!!!

 立派なシマハイエナの獣人!!!!兄貴の弟だぜ!!!!!はっはー!!!」

何だろう、昔よりかもっと面倒くさい性格に成って居る気がする。

あの昔の誠実で可愛かった彼は何処へ。


……まぁ数年ちょっと会って無かったもんな、

そりゃ其う成るのかもしれ無い。


「あぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜兄貴ぃ!!!!!!!!

 俺兄貴成分が無いと生きてけないよぉ!!!!!

 もっと兄貴と戯れないと駄目だよぉ!!!!!」

と言って全身をさわさわして抱き付いて来る。

訂正、やっぱり普通は此うは成らない気がする。


「やーめーろ!!!!!もう其んな歳じゃ無いだろ!!!!

 さっさと離れろ気持ち悪い!!!!!」

僕は彼の体を目一杯押して無理矢理引き剥がそうとする。


「良いだろ良いだろ!!!!!だって俺兄貴居ないと生きてけ無いもん!!!!!

 兄貴を一定期間補給しないと死んじゃうもん!!!!!ん゛ね゛え゛!!!!!」

何かとてつもなく気持ち悪い事を真面目に言って居る。

最後の方なんか声ががなって居るし。


「良かねぇよ!?」

寧ろ良い訳が無い。

けれど彼は僕の言葉を無視して未だ擦り付いて来る。


「あぁ〜〜〜生兄貴やっぱ良いわ〜〜〜、

 もう写真をスースースリスリしなくて良いんだ……。」

「……はぁ!?えぇ!?」

彼は僕の背中にへばり付いて離れない。

気持ち悪い事に気持ち悪い事を重ねないで欲しい。


「あぁ!!!!もう!!!!止めろって!!!!」

力一杯彼の体を押して僕の体から離れさせる。

すると彼は耳をペタンとさせて悲しそうな表情をする。


「なんで!!!!!」

と大声で言った。


「なんでも何も子供じゃねぇんだしもう立派な大人だろもう少し自立しろ!!!!

 後毛皮を吸うな!!!!」

男同士で其んな事をするな、嬉しく無い。


「子供の時は平気だったじゃん!!!!」

犬歯を見せて皺を寄せて癇癪を起こして居る。


「子供じゃねぇから言ってんだよ此のあんぽんたん!!!!!!」

僕は眼をしっかり睨んで怒り返した。


「あ、あー……えー……取り敢えず、お茶します?」

其の様子を見て居た彼は気不味そうに何とも言えない笑顔をして、

僕等の機嫌を伺う様に其う言った。


* * *


「あ〜〜〜うんめぇ!!!!!おかわり!!!!」

ガルは品も無くマグカップに入った紅茶を飲み干して居る。


「あのさぁ……もうちょっと味わったりしてさ……。」

余りにも汚らしいので止めて頂きたい。


「えぇ〜〜〜公共の場じゃ無いんだしさ〜〜〜、

 良いだろ家くーらーいー。」

彼は今胡座(あぐら)を掛いて背中を丸めて居る。


「……はぁ。」

言っても無駄か。


「てかお前誰なんだリングの家に居て、

 まさか俺の兄貴を獲ろうとしてるんじゃ無いのか??」

急にドヷルトを見つめて真剣な顔で言った。

……誰も此んな悪魔猫ぶん獲りたい訳無いよ。


「彼はヷルドント・ドヷルト。駆け出しだけどランヷーズだよ。

 家燃えちゃったらしくて今僕の家に居るの。」

僕は淡々と嘘を吐いた。


「え?〈マジ)で?」

彼は如何やら僕の前世の言葉が移ってしまって居るみたいだ。

家族内では『リング語』とか言われて居る。


「〈マジ〉で。」

本当はマジじゃ無いのだけれども。


「……何か……すまん。」

彼は手を後ろにやって両指を合わせて居るみたいだ。

此の彼の素直な所は好きだ。


でもごめんね、其れ嘘なんだ。


「いやいや……其んなに謝らなくても……

 クリングルスの事、好きなんですね。」

彼は如何やら一つ一つ言葉を選んで其う言って居るみたいだ。


「そうだぜ〜〜〜!!!リングは俺の一番すっげぇ兄貴だからな!!!

 一時間は語れるぜ!!!あ、語ろうか!!!良い所とか可愛い所とか仕草とか匂いとか……。」

と目を大きくして聞き取れ無い位早口で喋る。

お願いだから本当に止めてくれ……恥ずかしい。


「お、おう……おう……あー……えっと、今は……うん、大丈夫。」

彼は其のとてつも無い圧に瞳孔を細めて引いて居る。


「そっかぁ……。」

彼は耳を尻尾を降ろして本当に落胆して居る。


ずっと下を向いて居た彼が突然正面を向くと

何か思い出したかの様に話し始めた。


「あ、兄貴兄貴さ!!!俺さ!!!」

彼は持って来た鞄から何かを取り出して居る。


「ほら!!!!見てみろよ!!!!」

ブロック体で書かれた紙を突き出して来た。


「へへへ〜〜〜ん、高等学園の卒業書!!!!」

鼻の穴を大きく開けてふんふんと息を漏らしながら自慢気な顔をして居る。


「おぉ、高等学園に通ってたんですか?」

ヷルトが興味津々に見つめて居る。


「んだぜだぜ〜〜〜頑張ったんだぜ〜〜〜へへへ〜〜〜。」

目をぎゅっと閉じて笑顔を作って居る。


「騎士団にでも成るつもりで?」

さっきの顔から戻して笑顔を作って訊いて居る。

普通、高等学園に行くのは結構なお金が掛かる。

だからお金持ちか国の軍……騎士団の方が近いか。

奨学金みたいなのを貰って其の後は国の騎士団として働くのだ。


けれど、多分彼はそうでは無い。


「いいや?兄貴に追いつく為。

 生憎俺は自分で何か考えられる程頭良く無いからな。」

ガルは頭部の脳味噌の辺りを指しながら少し残念そうな顔をして言った。


「……え、じゃあ。」

度肝を抜かれた様な顔をする。


「俺は此れからランヷーズに成るんだ!!!!

 そして兄貴と一緒にうへへへへへ……!!!」

結構気持ち悪い顔をして(やま)しい事を考えて居るみたいだ。


(けれどな。)


「……あの、僕ランヷーズが主な生業じゃ無くて一応魔導士なんだけど……。」

確かに殆どランヷーズ稼業で稼いでは居るけれども、

僕は魔導士では稼げて居ないけれども、役職しては一応其うなのだ。


「ありゃ?其うだったっけ?」

ぽかんと口を開けて首を傾げる。

其の儘下を向いて考え込むと急にばっと顔をあげて気持ち悪い位笑顔に成って口を開いた。


「じゃあ魔導士で冒険者に成れば良い訳だな!!!」

お前、簡単に言うが其んな訳無いぞ。

久々のガルジェの登場です。

ウザさとブラコン度が三割増しに成ってやって来ました。


裏話的な話なのですが、

此処ん所結構話が暗かったのでガルジェを登場させて見ました。


明るくてリングさんが異常な迄に大好きで猪突猛進な感じです。

彼はハイエナだけど。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ