第二十九話:人体錬成と気絶夢
大体原稿用紙四枚分位なので前の話と一緒にあげちゃいます。
「よし!!!!出来たよ出来たよ!!!!」
僕はやや尻尾をゆっくりと振り、
耳をピンと立てて言った。
人体錬成の準備が完了した。
臓物などを捧げる為に杯や皿を置いて居る。
八方向に置いて居るのだが、捧げる物が七つしか無い為に
僕が向いている方向だけ抜けて居る。
『え?ホントに?』
石像が僕の後ろから覗き込んで居る。
「うん、けれど僕だけで発動したらぶっ倒れると思う。」
僕は後ろに居る彼に目を合わせる。
「多分僕より魔力多いでしょ?ちょっと手貸して。」
と言って彼のゴツゴツした手を握った。
『え、けど如何やってあげたら良いの?」
彼は首を傾げて居る。
「此うやって……此うして……此んな感じ。」
彼の管の様なモノに魔力を流すイメージで魔力を送る。
『うわ、え、何此れ!?』
驚いて居るみたいだ。
僕も師匠から此れをされた時、
変にゾワゾワした感覚に成ったのを思い出した。
「そうそう、其んな感じで送ってくれない?」
僕がそう言うと、彼はちょっと戸惑った様にして魔力を送って来た。
独特のゾワゾワした感覚が僕の中に流れる。
「よし、んじゃ……。」
僕は魔法陣に手を付いて魔力を流す。
其れは赤白く光り頭から体が形成されて行った。
『うおっ…………。』
彼は其の光景を見て驚いて居る。
そして肩、腕、胸、股、脚、と作られて行く。
只僕の体内の魔力がどんどん減って行く感覚も味わって居る。
「……あぁぁぁぁ……。」
供物が消費され、完全に体が作られたタイミングで手を離した。
酷い頭痛がする。
其の体は仰向けで寝て居るみたいだった。
只生気は感じられ無い。
『…………おぉぉぉぉ……俺此んな体になるの……!』
声色からしてかなり興奮して居るみたいだ。
「じゃあ後は……魂を移動させるだけだね……。」
僕は立ち上がろうとしてバランスを崩す。
『うぉい!!!大丈夫か!?』
僕を背中から支えてきた。
「大丈夫……此処迄想定内だから……。」
こう成る事はやる前から分かって居た。
彼にも事前に言って居る。
あ、けれど一つ言って無かった事が或ったな。
「其れとこの魔法を発動させたら僕ぶっ倒れると思うから介抱宜しくね。」
『えぇ!?』
又驚かせてしまった。
……ごめんね。
「んじゃあ……始めよっか……。」
彼の身体に成る其れを持ち上げて
あらかじめ持って来た魔法陣に其の体を置く。
「えっと……どうすんだっけ……あ、此れに立って……。」
頭痛の所為で判断が鈍って来て居る。
『此うか?』
石像がその上にどすんと立つ。
「あーっと……あ此うか……。」
僕は其れに魔力を流し始めた。
今度は青白く光り始める。
身体の生命力を奪われて居る様なそんな気分だ。
歯を食いしばって其れを耐える。
彼が心配した顔をして居る様なそんな気がする。
どんどん魔力が吸い取られて行き、
頭痛ももっと酷く成る。
吐き気もする。
それでも手を離す訳には行かない。
なんとか其れを耐え、
彼の新しい身体が手を動かしたのを確認して僕は手を離した。
やはりと言うべきか、其の儘倒れてしまった。
* * *
「おえええぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!!!」
僕は……いや俺は便器に向かって吐いていた。
吐き気が止まら無い。
胃にはもう何も無いから口から出てくるのは液体の様な何かだ。
「はぁ……はぁ……はぁ……。」
一旦呼吸を落ち着かせて吐き気を止めて様とするものの、
「あえええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!」
吐き気は止まらない。
吐き気を抑える事が出来無い。
なんで自分はそんな事も出来無いのだろうか。
吐き気を抑えて、明日の授業の為に蓄えなければ行けないのに。
しないと怒られてしまう。
頭がガンガンしてまともに勉強する事すら出来無いのに。
口の中がもう酸っぱい様な変な味で支配されて居る。
又胃の腑から何かが込み上げて来て、
僕は其れを又々吐き出す。
「おうぇぇぇぇぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
もう嫌だ。こんな自分が。
そしてこんな世界も。
最後のシーンはリングさんが高校生の時ですね、
簡単に言うと先生のパワハラみたいなので此う成ってしまったみたいです。
大学生では治るんですがね……。
親は何してるんだって思うかも知れませんが、
母親一人ですしずっと働いてるんです。
勿論、土日は居ますし帰っては来ますが、
夜遅いし心配掛けまいと隠して居たりしたらしいです。




