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第二話:悪夢は魔法に成るか※

あぁ、そうそう、基本的に人名は鱗雲之式日本語表記を採用してません。

流石に其処迄やると読み辛いですからね。


ですがワ行やヴァ行はワヰヲゥヱヲ、ヷヸヴヹヺと鱗雲之式日本語表記と略々一緒の書き方をしてます。

此れに関しては只の趣味ですね。



七月十五日、七月十八日、鱗雲之式日本語表記を間違えて居たので直しました。


十月十三日、物語を修正しました。


十二月十三日、物語を大幅に修正しました。


一月八日、細かな修正をしました。


一月十八日、上記と一緒です。

「ねぇ。」

 其の後、僕は隣のベッドに居る彼に話し掛けて居る。


「僕さ、転生したんだ。」

 僕は彼にニコニコと笑って言った。


「……ふーん。」

 眠たいのか、ぼけーっと僕の話を聞いて居る。

 此の体は暗闇でも人物や物がよく見える。


「日本って云う国で……って聞いてる?」

 ガルジェはぐーぐー、と豪快な寝息を立てて寝てしまって居た。

 きっと、此れを言っても何も変わら無いのだろうけど。

 其う、此れは幻覚だ。死ぬ間際に見て居る幻覚に違いないのだ。


 目を閉じればきっと、其うきっと。

 僕はゆっくりと瞼を下ろすと……。


 * * *


「おい。」

 痩せていて如何にも体育会系みたいな男がスーツを着て僕に話しかけて居る。

 あ、此の人、昨日から上司に為った人だ。


「これ、どういう事だ?」

 机に何か置かれて居る。見ると、彼は昨日出した書類みたいだ。

 其れを指で突いて指して居る。

 どうやら出した書類に誤字が有ったみたいだ。

 変換ミスだろうか。


「あ、すみません、今直ぐ修正しますので……。」

 マジか、マズい。けれど教えてくれて良かった。

 僕は腰を曲げ、其れを受け取ろうとしたが、


「あぁっ⁉︎」

 不満そうな顔から明らかに怒った様に顔を顰め、急に僕の顔を殴って来た。

 えぇ、何で? 如何して?


「え、あの……。」

 反論なんぞ其んな事を言う間も無く僕は胸ぐらを掴まれる。


「なんだお前その態度は‼︎!」

「あの……。」

 彼は激昂為て居る様で彼の怒りが止まら無い。


「お前はミスをしたんだぞ⁉︎

 それなのに土下座をしないで俺を見下す様な態度だぁ⁉︎」

 確かにミスはミスだが、発注ミスや営業の仕方を間違えたとか、其う云うものでは無い。

 だからこんなキレられる事も無いのだろうけど。


 そもそも、見下す様な態度はしてないだろう?

 もう理解が追いつかなかった。


「あ、あの……直ぐ直してきますので……。」

 何とか為て彼の怒りを収めようとして其う言うと彼は僕を壁に叩きつけた。


「ぐあっ‼︎」

 背中が痛い。背骨の辺りがズキズキとする。


「早く直せ‼︎」

 態々顔を近づけて言って来る。

 あぁ、ここから色々とおかしくなったんだっけ。


 * * *


「はぁっ……はぁっ……はぁっ……。」

 僕は目覚めると、過呼吸の様な状態になって居た。

 あれ、幻覚……じゃないの?


 そして訳も分からず階段を駆け足で降りて、勢いよくドアを開けた。


 朝食の油の匂いやパンを焼かれた様な匂いが鼻を突き抜ける。

 僕は其の匂いに吐き気がした。


「おぉ。おはよう。」

 彼の顔が見えた。吐き気が増幅為る。


「……ゔっ。」

 僕は口を押さえた。今にも吐いてしまいそうだった。


「お、おい! 如何したんだ⁉︎」

 彼は僕の様子を見るなり駆け寄って来る。

 そして、僕の背中を(さす)って来る。顔は心配そうだ。


「いや……いや何でも……。」

 と首を振ったものの、もう一回おえっと嗚咽を漏らす。

 流石のおかしさに気付いたのか彼は僕を抱っこして外にへと連れて行った。




「……大丈夫か?」

「うん……。」

 僕は今ベッドの上で寝かされて居る。毛布を掛けられ頭を撫でられて居る。

 ……何だろう、凄く落ち着く。猫科だからか、其れ共子供だからか。


 結局、昨日食べた物を総て吐いてしまった。

 だからと言って食欲は湧かない。


「そうか……何か有ったら呼んでくれな。」

 不安そうに目を細めた彼はぽんぽん、と胸部を叩き、扉を開けて何処かへ行った。

 パタンと扉が閉まって部屋の中は静かに為った。


 数分、ゴロゴロと眠ろうとして居たのだけれども、眠れる訳が無い。

 僕はガバッと布団を捲って其処等辺を彷徨(うろつ)く事にしてみた。

 

 覚束無い足で扉を開ける。音を立て無い様に注意しながら歩いて行く。

 と、此処で気付いた事が有る。


 脳内がやや朦朧と為て居た所為かスリッパを履いて来なかった。

 けれど、其のお陰か全く足音がしない。足の裏を触ってみた。

 中々にぷにぷにとして居る。触り心地は悪く無い。

 へぇ、此のお陰なのだろうか。凄いな。


 僕は廊下を歩いてヷルトの部屋の前に立った。

 又ゆっくりと扉を開けて抜き足差し足で其の部屋の中に入って行く。


 中は資料か何かで乱雑だ。足の踏み場が無い。

 其等(それら)を踏まない様にして辺りを見回す。


 机の上に幾つか本が乗っかって居る。其れから一つ取って開いてみる事にした。

 目次の様な物が有って、次のページには挿絵として見た事の無い草花や動物等が描かれて居る。


 残念ながら読む事は出来無かった。文字を如何やって読んで良いか全く分から無い。

 其んな事を為て居ると下からドゴドゴと廊下を歩いて来る様な音がする。


 ……マズい。其れをさっき在った場所に戻して急ぎ早に自室に戻って行く。


 此んなに全速力で走って居るのに音がしない。

 僕は扉をゆっくりと開けて布団の中に入り込んだ。


「……おーい、大丈夫かー?」

 ヷールが扉を開けてやって来た。右手には何か陶器で出来たカップを持って居る。


「取り敢えず、ほら、此れ。」

 其れを頭の斜め上に在る机に置く。湯気がもくもくと出て居る。

 少し体を起き上がらせて見てみると紅茶の様な物だった。


 くんくんと鼻を動かして嗅いでみると生姜の様な匂いがした。


「じゃあな。」

 僕はうんと頷いて其れを手に取ってみる。

 さっき走った所為か何だかお腹が痛い。吐きそうでは無い。


 其れを一口飲んでみると何だか体がほかほかとして来た。

 何だかお腹の痛みの弱まった気がする。……うん、安静にして居た方が良いな。

 

 僕は体を戻して天井に向かって右腕を伸ばしてみる。

 ……此んなに、良くして貰って良いのだろうか。心の中には途轍も無い罪悪感が湧いて居た。


* * *


 次の日、少し許り体調の良く為った僕はゆっくりと階段を降りて行って居た。

 結局昨日はずっとベッドの上で寝転んで居た儘だった。


「……おはよ。」

 寝ぼけ眼を擦って彼に話し掛ける。

 自然とお腹がぐうと鳴る。そりゃそうだ。昨日は何も食べて無いのだもの。


 階段を降りると朝食の果物や砂糖の甘い匂いがする。

 うん、昨日と違って吐き気がする訳では無い。

 

「おはよう、今日は久々にㇰ̊ㇻ̇ケッツォを作ってみたんだ。」

 彼は白い右手を振ってはにかんで居る。

 円卓テーブルの上には丸いケーキみたいなのが在った。


 此れが朝食? ……元日本人だからおかしく思うだけなのだろうか。


 そして、ガルジェが殆ど椅子から立ち上がって此れでもかと尻尾を振って居る。

 まるで犬みたいだ。


 僕は其の隣に座って待って居るとヷールが何かを持って来た。

 野菜スープ三人分と中央にはどんと盛られたソーセージみたいなのが在る。

 あぁ、此れは記憶の中に有るぞ。スㇻ̇ケツァとか言った筈だ。


 ヷールが僕等と対称の場所に座ると祈る様なポーズをした。

 僕等も其れに合わせて同じ様なポーズをする。


 何か始まるのだろうかと身構えて居ると彼等はお辞儀みたいに少し頭を下げた。


「「「日々の糧に感謝して、そして生き物に感謝し、神様がくれた食物を頂きます。」」」

 僕は何故かすらすらと其の言葉が出て居た。奇妙だ。

 顔を上げると、ヷールがㇰ̊ㇻ̇ケッツォを切り分けて居た。


 其の中からヨーグルトみたいなトロトロと為た液体が出て来る。

 生地はミルクレープみたいに層に為って居る。


 ……美味しそう。


 三角のケーキを切り分ける様な奴で其れをガルジェのお皿に置いた。

 何だっけ、()れはサーバーとか謂うのだっけ?


 分からない。


 其んな事をぼうっと考えて居ると僕の前にもㇰ̊ㇻ̇ケッツォが差し出されて来た。

 生地をフォークで(めく)って間に何が入って居るのかと見ると、如何やら果物が入って居るみたいだ。


 本当にお菓子みたいだな。


 一口食べてみるととろっとしたソースはやや酸味の有る味で甘い。

 多分ベリー系の様な果物に良く合う。

 美味しい。


 けれど、やっぱりお菓子みたいだ。

 ソーセージみたいな其れを刺して食べてみる。


 ソーセージ……と云う依りかは肉の塊みたいな。肉汁がジュワッ、と出て来る様な其れでは無い。

 其んな味だけれどもㇰ̊ㇻ̇ケッツォに合わない訳でも無い。


 僕はお腹が減って居たのか僕は直ぐに其れをペロリと平げてしまった。

 あぁ、其うだ。()の事を言わなきゃ。僕は立ち上がった。


「……ねぇ、あのさ……。」


* * *


「で、魔法を使いたいと?」

 朝食の片付けをした後、僕は彼にそう頼み込んでいた。


「うーん、じゃあそうだな……本当はもうちょっと経ってからなんだけど……。

 大丈夫か? 多分基本的な事から教える事になるぞ。」

 と僕に目線を合わせて言う。


「うん。」

 僕は深く頷いた。大丈夫。覚悟はしてる。


「それと最初は勉強からになるかな……。」

 首を傾げて難しい顔で予想して居なかった事を言われた。


「……うん。」

 あ、そうなのか。少しがっくりとした。

 科学みたいに色々と学ばなきゃ行けないのかな。

 だったらもうちょっと実践的なのは先に成るのかも。


「……よし、なら明日からな。

 俺も資料纏めてくるからちょっと待っててな。」

 彼は僕に目線を合わせて僕の頭をポンと叩いて来る。

 如何やら本格的に教えてくれる様だ。


「分かった!」

 僕は子供みたいに喜んで居た。

 やった、此れで魔法の勉強にこぎつける事に成功した。

 文字も教えてくれるみたいだし、此れで魔法の事が勉強出来る。

 どうせ有るのならやってみたいのだ。

リングさん豆知識:チビって言うと結構怒る。

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