第二十六話:起床
よし……今回は鱗雲之式日本語表記は平気な筈……。
誤字が有ったら報告して下さいね。
「うーん……。」
僕は起き上がった。
如何やら何時のベッドで寝て居た様だ。
「あ!!起きた!!!」
可愛らしい少女の声が聞こえる。
僕は声がした方向に顔を向けてみると
青髪碧眼の少女が見えた。
「……ってマリルちゃん!?
なんで来てるの……?」
危ないから来るな、と言って置いた筈だ。
子供だし破ってしまったのだろうか。
「ううん、来なかったよ。昨日は。」
と僕の目をしっかり見て言う。
その言い回しに違和感を覚えた。
昨日、は?
困惑して居ると、
後ろから石像がのしのしと現れた。
『……おお、起きた?
昨日からずっと眠って居たぞ。』
と冷静に言った。
(嘘だろ!?)
つまり那の対決の後からずうっと寝て居たって事か?
どんだけ疲れて居たのか、其れとも魔力が枯渇してしまったのか、
何方も或るかも知れない。
(と云うか……ちゃんと魂が定着して居たんだ。)
僕はその姿を見るだけでも安心した。
……只、其れとは別に僕が其んなに眠ってしまって居た事に驚いた。
「……〈マジで〉?」
『……?〈マジだ〉。』
マジかよ。
「ねぇねぇ、此の石像さん、守護神なんでしょ?」
マリルちゃんがとんでも無い事を言い始めた。
「ま、まぁ、うん。そうだね!!!
そう!!魔法で出現させたんだよ!!
ねぇ〜〜〜凄いでしょ〜〜〜??」
もうヤケクソだ。
適当なホラを吹いてしまった。
「……ちょっと、ちょっと待っててね〜〜〜。」
僕はベッドから降りて、彼のゴツゴツした手を取って扉から出て行く。
「ねぇ、何言ったの?」
僕は彼にコソコソと話かけて居る。
『いやぁ、何かリングに会いたいみたいだし、
如何しようかなぁ、って思ってたらさ、
守護神って言葉が不意に出てきちゃったんだよ。』
彼の表情は変わらないものの明らかに「やっちゃった」
的な事を言って居る。
「てかそんな大きな声で喋らないで!
聞こえちゃうでしょ!!」
僕はヰスパーヺイスで言う。
那の子に聞こえたら色々とマズいだろう。
『大丈夫大丈夫、なんか俺の声聞こえてないみたいだし。』
とのほほんとした感じで言って居る。
「え、ほんと?」
『ほんと。と云うかお前にしか聞こえて無いんじゃないか?』
成る程……頭では理解出来た。
魔法って未だ未だ不思議な事が或るのかも知れない。
「……ん?じゃあ如何やって伝えたの?」
言葉が使えないならそんなすんなり納得出来るか?
『筆記で。万年筆と紙を使わせて貰ったぞ。』
と言って居る。
紙?そんな紙なんて有ったっけ。
……。
(あ、もしかして。)
此奴、論文の為の高い紙を使いやがったな。
……もう此の際、如何でも良いや。
「分かった、分かったけどもうこんな事しないでよ。」
何方の意味でもして欲しくは無い。
『ほ〜〜〜い。』
コイツ……。
いや怒っててもしょうがないな。
僕等は扉を開けて部屋に戻って行った。
「うん、ごめんね〜〜。
今ちょっとね、点検してたんだよ、
うん。壊れちゃ危ないからね〜〜。」
マリルちゃんには適当な嘘を吐いてしまった。
よくもまぁ、僕もこんなにも適当な事を言えるよな。
「そうなの?」
「そうそう。」
純粋なその瞳が刺さる。
突然、彼女のお腹からギュルルルル、と音が鳴った。
「……ご飯、食べてないの?」
「……うん。」
なら丁度良い、僕も食べて無いし朝食を作ってしまおう。
* * *
彼女は余程お腹が空いて居たのか、
もぐもぐと朝食を頬張って居る。
今日はラ̇ークㇻ̈を作った。
ケ̊ル̈やコ̊ゥ̻゛ヱ̇リ̈をナーカ生地で包んだ物だ。
結構簡単だし、子供も好むからだ。
『なぁ、俺の朝食は無いの?』
彼が後ろから恨めしそうに訊いて来る。
「そもそも臓器も食べる口も無いでしょ……。」
此れで逆に食べれるって成ったら普通に怖い。
「体作ってあげるから其れ迄待ってて。」
取り敢えず彼にはそう言って釘を刺して置いた。
『……体って作れるの?』
彼が疑問に思って訊いて来た様だ。
「作れるよ、只魔法の禁忌ギリギリって所だけど。」
割とグレーゾーンな魔法なのだ。
戦争中は足とか頭とかを錬成して敵を眩ます為に使って居た事も或るらしい。
『……えぇ……。』
彼がドン引いて居る。
「けど法律で規制されては居ないし多分大丈夫だよ。」
魔法で犯罪も起こったりするから、
一部の魔法を使うと法律で罰せられる。
故意に起こしたら死刑は免れ無いだろう。
『……え、規制されて無いの?』
と又も訊いて来た。
「そうだね。」
ラ̇ークㇻ̈を頬張りながら答える。
「あ、なんか身体こうしたいとか或ったら聞くよ?」
一応彼の体だもの、僕が勝手に作ったらマズいだろう。
神様でも無いのに。
『え?あー……。』
そう言うと彼は右上を見て考え込んでしまった。
『……じゃあ、獣人が良い。』
「へ?」
まさかの人外リクエストだった。
『那のしなやかな肉体に成ってみたい。
毛皮に包まれた身体に成ってみたいんだよ。』
彼は力強い声で言った。
如何やら本気の様だ。
此の時、僕の脳裏にと或る四文字が思い浮かんだのは言うまでも無いだろう。
「そう……何の獣人が良いとか或る?」
取り敢えずは彼の希望を訊こう。
『……うーん、狐?かな。』
狐、か。
何となく彼のイメージと合わない気がするけれど、
彼の希望だから良いか。
僕は其れを食べ終え、
マリルを家に返すと早速術式を描き始めた。
今回は余り話す事も無いので、
リングさんのもうちょっと詳しいプロフィールでも書いて置きます。
名前:カインドロフ・クリングルス
性別:男
種族:カラカル種で黒変種のゲール族。
メラニズムでは無いよ。
身長:大体百五十〜百六十位。此れでも中型猫獣人としては大きい方。
性格:根は優しいけど引っ込み思案で心配性。
子供には甘い、本当に甘い。タルト依りも甘い。ゲロ甘。
前世ではかなり真面目だったけれどもこっちに来て吹っ切れたみたい。
おふざけは結構好き。身内にはかなり饒舌に話す方。
好きなモノ:和食とお菓子。血がダラダラに付いた生肉。
しっかり話を聞いてくれる人、気軽に相談が出来る人。
其れとお酒。前世ではかなり飲んで居たが、
酒癖……と云うかお酒を飲むとかなりダル絡みをする所為で
一回事件を起こしてからは控えて居る。
嫌いなモノ:辛い物、苺、大声を出す人、子供や身内を貶す人。
苺は昔好きだったが今は嫌いだと云う。
大声を出す人に付いては此の身体に成ってから嫌いに成ってしまったらしい。
悩み:寝る時に仰向けで寝れ無いのと、耳の上の長い房毛が邪魔なのと、
尻尾の手入れが面倒臭いらしい。
最後にリングさんから一言:「前世の上司はくたばって欲しい。」




