第二十五話:脱出
ちょっと、と云うか、かなり短い話なのでもう一つの話も次いでに投稿します。
「おい!!おい!!!!!」
俺が幾ら言っても呼び掛けに反応しない。
意識を失って居るみたいだ。
「大丈夫か!?」
倒れ込んだ彼を抱き上げて頭を揺さぶる。
恐ろしい程に何も反応が無い。
(くっそ!!)
この世界は精神世界、
魔力が枯渇したら魂ごと消滅してしまう。
そんな様な気がする。
俺は彼を抱いて出口に一目散に走って行った。
トンネルを通って城に出て行く。
階段が元に戻るのを確認してからなるべく早く走って行く。
城内に出ると霧はもう晴れて居て、俺の城が輝いて居る様に見えた。
塔から外に出ようとすると、大きな六つ足の怪獣が俺の目の前に立った。
「主、此処で何をして居る。
その者は我らの敵だ。」
俺を主、と呼び目を細めて居る。
その目には怒りの炎が宿って居るみたいだった。
「……この人は敵じゃ無い!俺を助けてくれた人だ!
その人が大変な目に遭って居るんだ!!
だから其処を退いてくれ!!」
俺は力強くそう言った。
其処を退いてくれないと彼の命が危険に成ってしまう。
そもそも、俺が主とか訳が分からない。
「けれど、仲間が倒された。
我らの敷地を踏み躙った。
そんな奴、敵に決まって居るだろう。
血迷って居るのか。主。」
其のとても低い声で言って居る。
確かに、最初はそうだったかも知れない。
けれど其れは、俺助け様としてくれた行動の現れだろう。
俺が恨み辛みが溜まって居るのも知って居て、
そして自殺した気持ちもよく分かっていて、
だから俺の精神から助け様としたのだろう。
「……兎に角、此の人は敵じゃ無い!!!
血迷っても居ない!!お願いだから退いてくれよ!!」
俺が言うと怪獣は溜息を吐いた。
そしてのっそりと目を開き、
背中を僕に向けた。
「……乗ってけ。地下道を通るよりか早いだろう。」
まさかの言葉だった。
如何やら俺の気持ちを汲み取ったらしい。
有り難く其の背中に乗せて貰う。
彼を抱っこしたまんま乗ろうとすると、
「其れは危ない。咥えといてやろう。」
すると洋服を咥え、彼は怪獣に咥えられる形に成った。
「ありがとう……じゃあ、行こう!!」
腕を突き上げてそう言った。
もう其処からは一瞬だった。
野を越え山を越え、危険な場所も難なく走って行った。
「さぁ、我が行ける所は此処迄だ。
後は那処に扉が或るから進むが良い。」
俺は煉瓦造りの街に着いた。
星が煌びやかに光って居てその不可思議な形の家と相まって
とても幻想的だった。
「本当に有難う!!じゃあ、行ってくるね!!!」
彼をもう一回抱き上げて光って開いて居る家の扉に入って行った。
其の光が俺達を包み、嫌らしい程に眩しい。
そして、現実の世界へと──
此処からは現実世界の話へと成ります。
やっとですね……勿論途轍も無く如何でも良い話なのですが、
リメイク前は確か此処迄話が進んで居なかったので
此処からは殆どオリジナル展開に成りますね。
昔の自分の目標が果たせて満足です。
でも手は抜きませんよ!
そもそも自分の小説が良い小説かも分かりませんけど!!
手抜いてなくてクソ小説と成り下がって居たら
もう其れこそ落胆しますよね……。




