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第二十二話:対決※

八月二日、鱗雲之式日本語表記を直しました。

「お前……誰だ?此処で何をして居る?

 俺の心の中に迄入り込んで何をして居る?」

茶髪で汚らしい恰好をして居る彼が、

瓦礫から這い上がり粉を払いながら言って居る。

何をして居る、と聞かれたら此う言うしか無い。


「……君を助けに来たんだ。」

如何だろう、伝わるだろうか。

僕がそう云うと彼は顔を歪めてヒステリックに笑い始めた。


「あっはっはっはっはっは!!!!」

大声でそう言って居る。

何が面白いのだろうか。


「助けに来た、そうか、助けに来た、

 ふふふふふ……。」

その笑いは面白いから、と云うより嘲笑だった。


「……何故助けに来た、

 幽霊退治か?知名度を上げたいからか?

 其れとも只の興味本位か?」

と、まるで僕の心を見透かした様に言って来る。


残念ながらその何方でも無い。

只本当に、自分が助けたいから助けて居るだけだ。


「……いいや、違うよ。助けたいだけだ。」

もし僕が幽霊退治で、又他の目的で来て居るのなら、

こんな事、怖くて出来やしない。


もっと他の方法を取る。


もっと安全で、もっとちゃんとしていて、

もっと相手を簡単に貶める方法を使うだろう。


「違う?違う?嘘に決まって居るだろ。」

表情をぐにゃりと変え、僕を睨み付けて居る。

あぁ、やっぱり、そう簡単には行かないか。


「……嘘じゃ無いよ。」

嘘では無い。本当だ。そして絶対に。

やや衝動的だったけれども、助けたい一心で来て居る。


彼の表情がコロコロ変わる。

怒り、悲しみ、苦しみ、喜び、

其れ等がクルクルと変わって行って居る。


「いや、嘘に決まって居る!!!」

突然、彼がそう言って声を上げた。


「嘘に決まってる!!!嘘に決まってる!!!!!

 そうやってお前らは俺を騙して来たんだ!!!!!」

何か、彼が発狂し始めた。

頭痛がする。


そして彼の背後には大きな炎が見える。

……本当に大きい。


今迄こんな魔力を見た事が無い。

本能か、理性か、分からないけれども

身体が逃げろと言って来る。


体をくるっと回転させて彼からかなりの距離を取る。


「死ねえええええええええええ!!!!!!!!!」

嗄れた低い声で言って来る。

其れと同時に魔法が放たれた。


電気の防壁みたいなのがバチバチと音を立てて広がっていく。

只余りにも大きい。


離れて居たお陰で魔法には当たらなかった。

こんな大型の魔法、当たってたら死んで居ただろう。


「お前が俺を殺しに来たって事は分かって居るんだ!!!

 ヒューテ̣ㇺメル・ヰ̇!!!!」

怒りに任せてか上空から雷が何本も落とされる。

僕は其れを捻ったりへばったりして避けて行く。


如何にかして反撃のチャンスを伺わねば。


「違う!!!僕は君を殺したくて来た訳じゃない!!!

 助けたいんだ!!!復活させたいんだ!!!」

僕は魔法を避けながら彼にそう言った。

本心だ、本当だ。


絶対に、自殺なんかで君の人生を終わらせる訳には行かない。


「じゃあ何故復活させたいんだ!!!!

 奴隷か???被験体か???それとも俺を洗脳したいのか!!!!」

彼はそう言いながら地面から氷柱を出して来て居る。


「いいや!!!そんな事したくない!!!

 僕は君を助けたいんだ!!!!」

氷柱から逃げながら言った。

けれど此の儘じゃ追いつかれてしまう。


「恨み辛みを抱えた儘君の人生を終わらせて堪るか!!!」

僕が牙を剥き出しにしながら言っていると、

やはり氷柱に追いつかれてしまった。


此処はカラカルのアドバンテージをフルに活用してみる。

高いジャンプ力で避け、音で対称を判断し、

次に来そうな所に目安を立て逃げて居る。


「俺の事なんて分かる訳無い!!!

 分かってくれない!!!!そもそも話も聞かないだろ!!!」

と口を歪め大声で言っている。


次は風属性の魔法みたいだ。

彼の中央から竜巻っぽいのが出される。


「ヘレ̈メリ̇ㇰ・トベオン!!!」

僕は防御壁みたいなのを三方向に作ってその攻撃を防ぐ。


「聞くよ!!!絶対に聞く!!!

 君が納得する迄、そして話したく無い事は言わなくて良いから!!!」

まるで戦場で味方に別れを告げる様な姿勢で言って居る。


僕が作った防壁にバンバンと罅が入る。

くそ、持ってくれよ……!!!


「そうやって俺を騙そうとして居るんだろ!!!!

 知ってるんだ!!!今迄何人もそんな事を言って居た!!!」

彼は顔を上げ僕を見下ろす様にして言って居る。


(何人も、か。)

成る程ね、それなら人間不信に成るのも無理は無い。


「そっか……けど、僕はそんな事しない!!!!

 騙そうなんて微塵も考えて居ない!!!!」

罅割れる音で聞こえて居ないかもしれないが、

僕は力強く、大きく、はっきりと言った。


彼は竜巻を止めた。

僕も障壁を解く。


「……その態度が嫌なんだよ!!!!!」

と完全に逆鱗に触れた様だ。


前をちょっと見ると彼の炎が大きく成って居る。


(嘘だろ……此処で魔力の膨張が……!?)


「悪人なら悪人らしくしてくれよ!!!!

 俺を騙すんだったら……もっと怒ってくれよ!!!!

 説教臭い教えを説けよ!!!!」

そう言うと途端に辺りがむわんとした熱気に包まれる。


那れ、温度が上がったのは分かるけど意外と平気だ。

思ったより普通に行動出来そう。


「……僕は絶対にやらないよ。

 自分の怒りに任せて言うのは

 他人を想ってる様で想って居ないからね。」

少なくとも、此処で怒るのは違う。

立ち上がった僕はそう言って居た。


「俺には理解出来ない!!!!!

 なんでそんなに、なんでそんなに……!!!」

彼は歯を食いしばって居る。


「……けれど、本当は俺を気にもして居ないんだろ!!!!」

彼の怒りを表す様に地面から炎柱が現れた。

因みに彼の名前はドヷルトとか言います。

略称はヷルにしようかと思ったのですが、

ガルと感じが似て居るのでヷルトにしました。

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