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第二十一話:中核

僕はずっと見ても居られなかったので足早に戻って来た。

もう茫然として居た。


……確か、遺書を見る限り借金とかも抱えて居るって話だっけ。

女性と別れて、何かの原因で借金を背負い……。


もう如何しようも無かったから、

生きてる意味も無いと思い死んでしまったと。


僕とはちょっと違うな。


僕は其れしか逃げ道が無いと思って死んだ。

仮に其の時に他の道が有ったら其方に進んで居ただろう。


けれど生きて居る意味が無いって事は、

他の道を用意するだけでは如何にも成ら無いと思う。


彼に生きてる意味が有ると自覚させなければ成らない。


僕だって、那の時はあんなに死にたかったのに今じゃ死にたくは無い。

もし死ぬのなら、もっと魔法を極めて何か後世に残る事をして死にたい。


満足して死にたいのだ。


さて、何故僕や彼が自殺してしまうのかと言うと、

如何しようと如何しようと考えて居る間にどんどん視野が狭まって行くのだ。


そして其れで又自分で悩み続け、

誰に相談する事も無く視野が狭まって行く。


負のループだ。


もしそう云う人が居たらつきっきりに成って親身に話を聞いて欲しいと思う。


きっと数回やっただけでは話を聞けないと思うから、

怒らず否定せずしっかり援助して欲しい。


ちゃんと考えてくれてるんだ、

此の人なら迷惑を掛けないかもな。

ってのが分かったら話すと思う。


怒ったり否定するのは最悪だ。


やっぱりそうなんだ、やっぱり駄目人間なんだ、

と思ってより話を聞けなく成る。


そして死ぬ。自殺する。


多分真面目に物事を行う人程成り易いと思う。


僕がこう成った原因は会社によって。

半分洗脳だろう。


けれど何故か転生してこうやって生活を送って居るから我ながら数奇な物だ。


そうは言っても『こんな僕が生きてて良いのか』

みたいな心の迷いは或る。


一生塞がらない傷なのだろう。


階段でそう考え込んで居ると、

不意に座って居た階段が前に動き始めた。


驚いてぴょんと飛んで四肢を付いて着地する。


只其れの動作は遅い様で、

別にそんな素早く動作する事は無かったみたいだ。


階段から現れたのは何かの入り口みたいな物だった。


上る階段では無く、下る階段が見える。

其処を下ってみる事にした。


すると青い煉瓦造りのトンネルへと通じて居るみたいだ。


……あ、この煉瓦、最初来た時に見た。

那の町と同じ素材が使われて居る様に思える。


どんどん進んで行くと光が射し込んで来た。

下水道を通った時を想起させる。


其処を進むと、

と或る場所に出た。


「〈なん……だ?此れ……??〉」

灰色の空間の中央に黒い立方体が浮かんで居る。


其れには鎖が絡まって居て、

ちょっとやそっとでは壊れ無さそうだ。


多分那れが彼の核なのだろうか。

そうなのだったら如何にかして鎖を解かなければ。


(……重力魔法で、行けるか?)


重力魔法……いや僕が只そう呼んで居るだけなのだが、

引き寄せる力みたいなのが使える。


僕が発明した魔法の一つなのだが、

操作が難しくて殆ど使った事は無い。


……黒い立方体を傷付けずに鎖を壊す。


出来るか?


……いいや、出来る。

自分にそう言い聞かせる。


ええと、細かい操作が必要だから完全詠唱で……。


「キ̊キンリ̇ドゥ・ガ̏ー!!!」

その箱をグネグネと動かし、

鎖を上手く千切ろうとする。


「うぬぬぬぬぬ……!!!」

顔を歪ませて居る。


「うぐぐぐぐぐぐ……!!!」

そうやって変顔を繰り返して居ると、

一本だけ鎖が千切れた。


「はぁ……はぁ……。」

ちょっと頭痛がする。

此れは……マズいな、ちょっと休憩しよう。

其処に座って数分間休憩したら頭痛は消えた。


よし、此れを繰り返して行こう。

何回かやると十本くらい絡まって居た鎖が残り二本に成った。


「うががががががが……。」

爪で引っ掻く様な動作をイメージして其れ等を切ろうとした。


「おらあ!!!!」

けれど、僕の予想とは裏腹に、

黒い立方体はまるでバットで打たれたかの様に

ブオンと大きな音を立てて地面に叩きつけられた。


「あっ…………。」

やってしまった。

マズい、仮に核だとしたらとんでもない事をしてしまった。


僕は黒い立方体だった物に直ぐ様駆け寄る。


大丈夫だろうか……?


僕が瓦礫を掻き分けた其の時、

誰かがばっと出て来た。


「……お前、誰だ?」

低い声で其う言って来た。

さらっと重力魔法とか出てますが、

一応パワーブレイカーに成らない様に設定しては居ます。


……一応。


リングさん位だったら足止め位は出来ると思います。


けど、其れだったらゲード属性使った方が良いですし、

何より魔力を馬鹿みたいに喰います。


只今回みたいに肉体以外にも使う事が出来ますね。


リングさんは此れ等の使え無い呪文を

『失敗作シリーズ』とか呼んで居るらしいです。


* * *


今回は後書きをもう一つ。

お話の中で『もしそう云う人が居たらつきっきりに成って親身に話を聞いて欲しいと思う。』


と書いて居ますが、此れは時間以外で救える唯一の方法で或り、

そしてとてもリスクの高い行為です。


なので生半可な気持ちで挑むと絶対に無理でしょう。


強靭なメンタルと、優しさを出す勇気、

そして何が何でも救おうとする決意が必要です。


只結局は救おうとする人だって人間です。


彼等がする側から見ればトチ狂った行為や、

其れ等を受け入れる覚悟が必要になります。


ずっと病んだ発言を受け止め続けるのも無理が有りますし。

リングさんは兎も角、私には無理です。


其れだったら何もせずにそっとしてやった方がマシな事だって有ります。

だから、無闇矢鱈と触れて如何にか成るって訳でも無いのです。


難しいんですよね。この手のモノって……。


ぶっちゃけると、作者も自殺しようとした経験が御座いまして。


確か飛び降り自殺図ったんですっけ。

結局何やかんや生きてる訳ですが。


其の時やっぱり中途半端に触れて来る人物は居まして……。

其れでより深く傷付く事も多かったですね。


内容は言いません。もう二度と思い出したく無いです。


ですので簡潔に纏めると、

作者も自殺しようとする人の気持ちは結構分かるよって話でした。


御託終わり。

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