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Rɹænↄɐɹƚↄɐtion/リンキャルケイション  作者: 鱗雲之
第四章『不穏、不穏、不穏』
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第百五十九話:因果は絡まり解け辛い

 其んな此んなで村長の元に来て居る。村長は首を傾げて僕の話を聞いて居た。


「──で、何んな感じにやるんですか⁇」

「何んな感じって……うーん、其う言われてもねえ。産まれ付いた能力だから何ともねえ。」

 僕が机に身を乗り出して居るからか村長は困惑した様に苦笑いをする。いや、だから、少しでも、少しだけで良いから何か情報が欲しいのだ。何かきっかけに成る様な。


「うええ、お願いですーー黒化出産(黒い状態で産まれて来る事)の原因究明に役立つかも知れないんですよお、何か、何か一寸(ちょっと)だけで良いんで‼︎ お願いです‼︎ 感覚的な物で全然良いので‼︎」

 僕は彼の目の前で手を合わせる。すると、彼は「はあ」と溜め息を吐く。持って居たカップから手を離し、右を向く。

 僕は唇を噛んだ。ああ、駄目かあ。此れでは振ったダイスが台無しだ。振り出しに戻る──と思って居ると何か思い浮かんだのか僕に目線を向けた。


「あっ、其うねえ、何だか此う、する時に神気(エネルギー)みたいなのを感じるよ。

 子供は親のソレに倣うか、憤慨した怒りから黒に染まる事が多いかね。」

 彼は何だか自信無さ気に其う言うが、此れは本当に貴重な情報だ。僕は目を見開いた。


「……ああ、其う其う‼︎ 其れで良いんですよ‼︎ 全然‼︎」

 彼の手を握ってぶんぶんと上下に振り散らかす。彼は嫌がって居る顔をして居るが、証言を得られたのは本当に大切な事だ。其う、此れが聞きたかったのだ。


 ……其れにしても、怒りから、か。何故怒りから変身能力が併発するのかが気に成る。

 何か銃爪(トリガー)に成る物が有るに違いない。


 ノートに書き留めて置こう。


「はあ、ヷルト、彼って何時(いつ)も此んな感じなのかい?」

「まあ其うだな。うん。コイツ、此う成ると周りが見えなく成るから。」

 と彼は言う。周りが見えない? 大丈夫だ、耳で状況を把握して居るからな。


 


「ガリルナー‼︎」

 僕はガリルナの家に突撃訪問を咬まして居る。

 彼は何か作業をして居たのか「うおっ」と声を上げて僕を見て来た。


「……何だよ、何か用が有んのかよ……。」

 面倒臭そうに頬をぽりぽりと掻きながら此方を見て来る。


「アリアリだよー‼︎ 大アリ‼︎」

 僕は力強くうんと頷いた。君達の事だ、有るに決まって居るだろう。

 彼は首を傾げて苦笑いを浮かべて居る。


「今ね、君達の変身に付いて深堀りして行こうと思っててね。如何やって変身してるの?」

 僕は「おじゃまします」とも言わずに彼の部屋にズカズカと入る。

 すると、彼は「あー……」と声を出して右上を向いた。


「……其うだな、表現が難しいんだが、外部から取り込んだ力を此う、ばーっと分散させる様にするんだ。」

 彼は胸の辺りに手を当てると其処から空中に腕を伸ばした。

 成る程、外部から、か。案外此れは貴重な情報に成る事だろう。


「じゃあ、次の質問。何でずうっと黒い状態に成らないの?」

 すると、彼は気難しそうな顔をする。


「そりゃあ、見せびらかすのは良くねぇのも有んけど、」

「けど?」

 彼は僕の眼を見る。そして、ゆっくりと口を開いた。


「純粋に疲れんだよ。本当に。」

「疲れる? 何で疲れるの?」

 矢継ぎ早な質問だった所為か、彼は頭を掻いた。辟易とした様子で細々と答える。


「……なんつーか、アレだよ。魔法を使った時も疲れんだろ? あんな感じ。」

 成る程、例えとしては分かり易い。が、魔法とは訳が違う。何故なら、


「でも、体内の魔力量も増えてるんだよ? 魔法と同じとは言えないよ。

 魔法は魔力と魔素が結合して起こる一種の奇蹟的現象なんだから──」

 すると、彼は僕の話を途中で遮る。


「待て、待て待て、何だそりゃ?」

 彼の目の色が一気に変わり、瞳孔を開き眉を(ひそ)めて居る。

 あれ、何だかおかしいな。


「え? 魔法理論の一つだよ。知らないの? 属性が八つ、魔素が七つ有る事も?」

「属性は知っては居るが……属性は六つじゃなかったけか?」

 彼は首を傾げて居る。そしてうーんと言って考え込んで居る。


「えぇ。違うよ。熱属性、冷属性、雷属性、風属性、が基本四属性で、地属性とゲード属性とダーベイ属性が変則三属性……で唯一魔素と結合して発生しない魔法が無属性……え、本当に知らない?」

「知らない。」

 彼は小さく首を横に振った。本当に知らない様だ。彼等なら知って居るものだと当然思って居たのだが。

 僕は訊き返す。


「……属性が六つ、って?」

 すると、彼はさも当然の様な顔をして淡々と言葉を連ね始める。


「ああ、炎属性、氷属性、水属性、自然属性、闇属性、聖属性、だろ?」

「……嘘でしょ。」

「其れが俺等の常識だから何とも……。」

 僕は肩をがっくりとさせた。吃驚した、驚いたと云う依り、此んな高度な技術を持って居る筈の彼等が此んな事を知らない何て、と落ち込んだ。


「……ヷルトも知ってるよね……?」

 僕は後ろを振り返って彼に尋ねてみる。彼の足元には、彼の長い脚に抱き着いて居るマリルが居た。


「ああ、お前と会う前から、な。其れ位は俺だってな。」

 彼は一回だけ頷く。

 魔法とか魔術とかに疎いだろうヷルトですら知って居るのか。では、何故彼等は知らないのだろう。

 益々疑念が深まった。


「炎属性、氷属性、水属性……は何となく分かるけど、自然属性、闇属性、聖属性って……⁇」

 僕はもう一つ問うてみた。其んな属性、聞いた事が無い。聖属性はマリルから聞いた事が有ったが、那れは嘘っぽちの筈。其れ以外は全く知らない言葉だ。


「自然属性は台風とか、雷とか、地震とかを起こす魔法だろ? 闇属性は悪魔と契約して得る力、聖属性は闇属性に唯一対抗出来る属性で、神様が人類にくれた力。」

 ガリルナは淡々と其んな事を言う。今度は僕が眉を(ひそ)める番だった。


「……ええ……。」

「後、魔法には体内で生成された魔素を使うんだろ? 魔力、って何だ?」

 僕のひん曲がった眉を見て、彼は首を傾げた。

 此れじゃあ、何時迄経っても話が平行線の儘だ。如何にかして彼を説得させないと……。


「良い? 今学会でもね──」

 僕は早口で、捲し立てる様に話し始めた。


「って事、分かった? 魔素が空気中に有る、って証拠も結合反応も確認されてるんだから。」

 僕の長ったらしい説教の様な捲し立てた解説に、彼はうんざりとした顔をして居る。


「……未だに納得出来無い。」

 らしい。首を何度も傾げてうんうん唸って居る。


「体内で生成されたなんて、んな迷信どっから……。」

 僕は無い顎に手を当てて右上を見る。

 けれど、此処でハッと気付いた。僕は、前世で大学迄通って居た事も相俟(あいま)って絶対的に科学を信じて居る節が有る。けれど、其の常識を此方に持ち出して来たら狂信者扱いされるのは必然だ。

 そもそも、異世界だ。科学の常識が其の儘そっくり適応されて居るとも思えない。

 魔法が有る時点で明らかに物理法則から外れて居る。


 ……やってしまった。と思った。バクダにも云われたのに。

 出来る限り文化を尊重しようと思って居たのに、全く逆の事をしてしまった。


「ごめん。」

「へあっ?」

 突然の謝罪に彼は裏返った声を出す。


「……文化とか思想とか、諸々ぶっ壊す様な事言って、ごめん。」

 すると、彼は「なーんだ其んな事かよ」と言ってケタケタと笑い始めた。

 彼の爆笑が一通り終わった後、彼は僕の眼を見て微笑んで来た。


「良いんだよ、俺等が生き残る為にもどんどんと発展してかなきゃなんねぇ。

 だから、発見されてる事を教えてくれるのは嬉しい。」

 吃驚した。其うなのか、良かった──とは為らなかった。


「だが、もう一寸(ちょっと)丁寧に話してくれ。」

 彼は口角を上げるのを止めて僕を指して指摘して来た。う、痛い。其の言葉総てが本当なのだから耳が痛い。


「はい……肝に銘じます……。」


 * * *


「一寸さ、此処で変身してくれない?」

 那の後、色々と訊いて居た僕だったが、最後に此れだけはやって置きたいと思って尋ねてみた。


「は? いや……疲れるって言ったろ?」

 彼は口をあんぐりと開ける。話は知って居る。知って居るが、聞かなければ為らない事なのだ。

 僕はもう一度彼に尋ねる。


「お願い‼︎ 一度だけで良いから‼︎ 一度だけ‼︎」

 僕は祈る様なポーズを作って彼に頼み込む。

 此れで駄目でも彼にしつこく強頼(せが)み続けよう。

 すると、僕の必死さに観念したのか大きく溜め息を吐くと、渋々、と云った様子で答えた。


「……はぁ、仕方無ぇな。ほらよ。」

 すると、彼の全身は一気に黒に染め上がる。おお、凄い。此の様な感じに黒化するのだな。

 其の場で大きく手を叩いてやりたい位だ。


「ん、ありがと。」

「んぎゃっ⁉︎」

 僕は彼の毛を何本か纏めて千切ると、彼は犬の鳴き声みたいな猫の鳴き声みたいな奇妙な声を上げる。


「何すんだよ‼︎」

 彼はくるっと振り返って怒号を放つ。目には涙が溜まって居る。


「ありがと、毛が欲しかったの。又生えて来るでしょ? 大丈夫大丈夫。」

「大丈夫じゃねーよ‼︎ 傷付いたら如何すんだよ‼︎」

 彼は牙を見せて明らかに憤怒して居る様子だった。勢いだけで言えば、今にもぶん殴られそうだ。

 其んな事は無いと思うのだけどなあ。


「禿げっぽくも見えないし今んとこ無さげだから平気よ、平気平気。」

「此の畜生悪魔め……‼︎」


 * * *


「んー……。」

 僕は毛を掴み上げて太陽の光で透かして見て居る。


「何してんだ? リング。」

 隣に居るヷルトは僕のやって居る事を興味津々と云った様子で見て来る。

 僕は彼の方を向いて言った。


「変わらないねえ。」

「変わらない?」

 彼は鸚鵡(おうむ)返しみたいに訊き返す。膝下に居るマリルは話の途轍すら理解して居なさそうだ。


「うん、時間経過で戻って行くのかなー、って思ったら其うでも無いみたい。

 じゃあ、毛が一時的に黒くなってる説は違うね。何かの副作用で成ってるかと思ったんだけど。」

 彼は「ああ」と声を上げた。納得した様で小刻みに頷いて居る。彼女は相も変わらず。


「抜き取って了えばずっと其の儘なんだな。」

「ね、不思議だね。」

 彼は僕が持って居る其の毛を又見詰める。幾ら時間が経っても、太陽に透かしても、其の毛はずっと黒い儘を維持して居る。


「でも、つまりはさ、彼等の変身能力は黒くして、そして元の色にして、って事をやってる訳でしょ?

 もし時間経過で元に戻るのなら、元に戻る時は其れを早めて居るだけに過ぎないけれども、魔力を使って居るのだとすれば二回魔法を発動して居る訳だから。」

「ああ、大きな魔法を二回発動してるのは確かに疲れそうだな。」

「でも魔力を使って魔力を増やす、ってのはおかしいと思うけれどね……魔力を使って魔力を増やす事は出来無いのだから。」

「ああ、まあ、確かに……。」

「何か引っ掛かるのだよね……。」

 僕は両手で頬杖を突いて考え始めた。色々な考えがぐるぐると頭を回るもののさっぱり、何も分からぬ儘。

 其うしたら、後やるべき事は一つしかなかろう。


「……なら。」

 僕は立ち上がって彼を見る。


「なら?」

 首を傾げて僕を見て居る。僕は喉元から大きく、そしてキッパリと言った。


「自分の体で実験するしかない‼︎」

「おいおい、一寸(ちょっと)待て。」

 彼は僕の肩を掴んで来る。膝の上に居るマリルは落っこちそうに成って居る。 


「良いじゃないの。仮説に則ってやるのならもう、自身で実験するしかないじゃないの。」

「だからって危険じゃあないか……?」

 彼は僕を見て心配して居るみたいだが、其んな事を気にして居たら何も出来無い。


「平気平気。偉い魔導師は皆人体実験をして()し上がって来たのだもの。」

「其れは絶対に違うと思うが。」

 自信満々で言ったが、彼は其れをあっさりと否定する。


「……兎に角ね! やるよ‼︎ やらなきゃ分からないのだから。」

 無理矢理彼の手を引っ張って僕は走り始めた。

前回が原稿用紙六枚分で、今回は原稿用紙十二枚分なので二話は投稿してませんが略々略々二話分と同じなので前回分も投稿した、と云う事で許して下さい。


* * *


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モチベに成りますので、宜しければ。


其れと感想も気兼ね無くどうぞ。お待ちして居ります。

良かった所、悪かった所、改善点等有りましたらどうぞ感想にお願いします。


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