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第十五話:冬のランヷーズ※

八月三十日、本文を修正しました。

今見返すと中々に酷い文ですね……素人っぽさが全面に出て居ます。


二月二十一日、改稿しました。

修正しても中々に酷いですね……ははは……小説として破綻してますよ……。

コレでやっと土俵に立てたってもんです。

 僕は目覚めた。が、布団から顔をのっそりと出すと、凍て付くような冷気が顔に触れる。

 言葉も出ない。窓を見る。窓からは赫奕(かくやく)とした陽射しが差し込んでいるにも関わらず、今日はやたらと寒い。

 もう秋も終わりを迎えようとしているのが肌から分かる。


 僕は布団の中でもぞもぞと体を動かす。此う云う時は布団から出たくなくなって了う。

 いや、頑張るんだリング。此処で無理矢理にでも体を動かさねばきっと一生布団に潜った儘だぞ──と自己暗示を掛けると僅か許りだが体が動くように成る。


 何とか布団の呪縛から抜け出し、寝巻きの儘外に薪取りに行った。

 薪を取る時でさえ手が(かじか)む。「うう」と情けない声を発して了う。


 其等(それら)を暖炉に焚べ、松ぼっくり等の着火剤を入れる。そして、火打ち石で炎を(とも)す。

 ──暖かい。ひんやりと悴んでいた手が暖まる。


 二階から着替えを取ってきて、其の前で着替える。僕はゆらゆらと揺れる炎を眺める。

 炎のゆったりとした揺らめきは僕に細やかな安堵を与える。今日は何か温かい物でも食べよう。


 紅茶を淹れる、ガルㇺを焼いてリビングの机に置く。

 そして、暖炉の前に一つ椅子を持ってき、其の前に小さな机を置いた。


 暖炉の前で暖かい紅茶を食べる。ガルㇺを千切って口に入れる。此んな朝も悪くはない。今日は忙しなく動くことは止めだ。

 其等を食べ終えても、僕は暖炉の火をじっと眺めていた。少しだけ、其れを触ってみたくなる。


 一口、紅茶を飲んだ。もう其の時には其の奇妙な欲求は消え失せていた。


 僕は暖炉の火を消すと、コートを着て外に出て行った。


「──っゔ〜〜⁉︎」

 僕は異常な迄に体を震わせている。喉元から絞り出した声を出して了う。

 自分の体が寒さに弱くなったのか、純粋にこの国がやたら寒いのか、ソレとも何方もか。

 兎に角寒さに耐性が無くなった様に感じる。


 成るべく早く終わらせたい用事が有るのに、此れでは自分の足が進まない。

 此う云う時はさっさと終わらせて了うのが吉だ。

 ポケットから地図を出す。折り畳まれた其れを開き、確認する。

 簡易的な地図だ。宝の地図みたいに見える。


 如何やら例の不動産屋の近くに在るみたいだ。場所は確認出来た。

 僕は又悴んで了った手に息を吐き掛けて、冷気から逃げる様に走っていった。



 

 僕がやって来たのはホルベだ。此処は県のホルベみたいだ。

 村だから仕方ないとは思うものの、一つしかないのは不便だ。


 二階建てでは有るものの、大きいワケは有らず、家だとしても狭い。

 蔦が粗雑に絡まっており、壁には汚れがこびり付いている。お陰で中々に寂れて居る印象を受ける。

 此処も綺麗にすればきっと印象が変わる筈なのにな。


「……すいませーん。」

 僕はトントンと扉を叩いてみる。然し反応は無い。

 入っても良いのだろうか。看板すら掲げていない所為で開いているのか閉じているのか分からない。


 普通に考えるのなら開いている筈だ。……入っても、良いのだろうか?


「入りますよー……。」

 僕は何故だか申し訳無い気持ちで中に入っていく。

 受付台と丸い机が一つと対面出来る様に椅子が二つ有る。只受付には誰も居ない。

 が、よくよく耳を澄ましてみると、誰かがタッタッタ……と靴を擦り合わせ走ってくる音が聞こえる。

 

 ああ、良かった。居たのか。僕は受付台の前で待ってみる事にする。


「え‼︎ 嘘‼︎ 新しいランヷーズ⁉︎ ようこそ‼︎ ホルベへ‼︎」

 彼女は耳元で大声を発する。僕が嫌う声の出し方だ。……煩い。僕は眉を顰めた。

 興奮した様子で僕の腕を取る。だが、僕と彼女では身長差が有る。

 僕の足は空に浮いて了っている。腕が引き千切れそうだ。


 彼女が僕の腕を離すと、僕はストンと床に落ちる。

 彼女は喫驚した表情をする。あわあわとして「ガダン」「ドゴン」「バダン」と慌ただしく足や膝をぶつけている。

 受付台から出ると、彼女は四脚の台を出してくれた。「すいません」と言うと「いえいえ〜!」と笑顔を作る。

 悪い人では無いみたいだ。


「……えっと、今回は住所の再登録をしたいのですが……。」

 ゆっくりと台を上るとさっき迄殆ど耳しか出ていなかったものの、やっと彼女と目線が合う。

 ソの異様とも言える高揚具合に僕は引いてしまう。


「再登録ですね! 大丈夫ですよ!」

 彼女は笑顔を作って其う言うとバックヤードへ走って行く。ずっこけた所為で裏に行く扉に上半身をぶつける。


「……大丈夫ですか?」「大丈夫です‼︎ 大丈夫ですから‼︎」そして扉を開けた。

 だが、僕は異様な迄に耳が良い。扉越しからでも話し声が聞こえてくる。


「管理長‼︎ 来ましたよ‼︎ コレで此処を潰さなくて済みますよ‼︎」

「……其れは良いんだが、あんた、カード貰って来たか?」

「あぁ‼︎ そうだ‼︎ ちょ、ちょっと待ってて下さい‼︎」

「住所もちゃんと訊けよ。」

「分かってますよーー‼︎」

 

 其うすると彼女が走って戻って来た。


「あ、ごめんなさい‼︎ カードと……ソレと住所、書いて下さい!!」

 彼女は指を絡め合わせると腰のポケットから一枚の紙を出してきた。

 其れを受け取り、机の方に向かう。机には大きな羽の付いた万年筆が一つ置かれている。

 ささっと、筆記体で住所なりなんなりを書き、もう一回其れと金色のカードを差し出す。

 此のカードは針で突いた様な(へこ)みが有るのだが、其れは二十五個有って今の所二つしか埋まっていない。


「有難う御座います‼︎」

 彼女はキラキラとした笑顔を浮かべる。眩しい。照り返った反射の様に眩しい。

 其れを受け取ると其の(へこ)みをじっくりと見ると、又裏に走り会話を始める。


「管理長! 預かって来ました!!!!」

「よし、じゃあやるか……。」

 と言うと雑然とした音に塗れて声が聞こえなくなる。

 ……さっきから彼女は管理長管理長とは言うが『管理長』、とは誰なのだろうか?

 

 耳が使えないのなら、鼻に頼ってみるしかない。嗅いでみても汗臭い人間の臭いがするだけだ。

 ()んな見た目なのかも分からない。犬科では無いのだからな。僕は。


 と如何でも良い事を考えていると、彼女は扉を開けた。右手にカードを持っている。


「はい‼︎ 書き換えましたよ‼︎」

 彼女は其れを差し出す。見ると、右下の文字がしっかりと書き換わって居る。

 住所がしっかりと書き変わっている。


 ランヷーズが引っ越しをして住所が変わった場合、其れを更新するのは規則で決まっている。

 もし此れを破った場合、一番重い罰としてはホルベからの永久追放が有る。

 だから絶対に守らねば為らない。


「いや〜〜有り難う御座います‼︎ 此れで魔物が攻めてきても安心ですし‼︎ 此方としても此処を存続する事が出来ますから!」

 彼女は祈る様なポーズをして僕に感謝している。


 確かに少しでもランクの高いランヷーズが居るのはホルベとしては安心だろう、だが、何故僕が居る事で存続出来るのだろう?

 気になった僕は疑問を口に出してみた。


「存続? もしかして殆どランヷーズが居ないんですか? 此の村……。」

「……ええ。其うなんですよ。全く居ないんです。本当に。」

 彼女のさっきの笑顔は何処へやら、急に(くら)い顔になって話を始めた。

 瞳から光が落ちている。全身からズンとした重い雰囲気が溢れ出ている。


「私は、その、小さい頃からホルベの受付嬢に憧れていて……だから、成ったのですけれど……。」

「元々此処はランヷーズが余り居なかったのですが、ソレでも運営出来る位には居たんです。」

「そして遂に先月、ランヷーズが一人も居なくなって了って……来週に此処を潰すと手紙が来てしまって……。」

 僕は「ああ」と声を発した。唇を噛んで何度も大きく頷く。

 何とも無い様に見えるが、此れは大問題だ。ランヷーズの創設理由が『魔物を討伐する事』を目的としている。

 今でこそ薬草採取や他の依頼も(こな)すが、元々は其れだ。


 時偶(ときたま)魔物は暴走を起こしたり、徒党を組んで攻めてくる事が有る。

 其の時の魔物のランクに応じて、同じ程度のランク以上のランヷーズが強制的に呼び出されるシステムだ。


 騎士……ああ、最近軍に名称を変えたのだっけか。其の様なモノも一応存在しては居るものの、戦争に赴いたり、増してや国に縛られる職業だからか積極的に成ろうとする人が居まい。

 

 今は昔と違って職業の種類も沢山有り、おまけに其れでしっかりと食い扶持以上の金を稼げるのだ。

 僕が居た会社の様な、所謂【3K】職場に、態々成ろうとする人は居るまい……。


 年々不足する騎士団員に国が取った対処法がランヷーズなのだ。騎士に比べれば制限も少なく、色んな人がやり始めたのだ。

 副業としてやるには丁度良い。腕っ節は此の国には腐る程居る。


 結果的には大成功。増え続ける魔物を抑える事に成功したのだ。


 其の歴史が有るからこそ、ことの事態は重大だと僕は捉える。過言では無い。

 国は赤字を垂れ流すホルベよりも、騎士団を置いた方が良い、と云う結論に至ったのだろう。


 なら、協力しない訳には行かない。彼女は受付嬢に憧れていた様だから、此処が放棄される事に耐えられないのだろう。


「だからこそ貴方が来てくれて嬉しいんですよ!」

 彼女は声色を戻して、とびっきりの笑顔を作る。そして、僕の腕を又掴んだ。


「……其れが、悪魔でも?」

 僕は自分の眼を指す。悪戯っぽく笑みを作る。

 けれど、彼女は「ふふふ」と冗談かの様に笑ってみせる。


「なーに言ってるんですか! 悪魔でも何でも頼る物は選びませんよ。私達にとって悪魔でもなんでも此処に入って貰れば良いんです‼︎ 種族なんて気にもしませんよ!」

「……そもそもこんなネコちゃんが悪魔とか考えられませんよ。」

 彼女はにこっとして歯を見せて来る。純白の綺麗な歯だ。だが、八重歯に見える。

 ……其う云えば八重歯差別なんて物も有ったな。吸血鬼みたいだ、として。

 

 だからなのだろうか。そうか。君も差別を受けた経験が有るのかな。

 彼女の眼を見る。確かに、綺麗な黄金色だ。けれど、瞳の奥の奥には闇が広がっている。

 似た者同士なのだろうかな。


「……あ、そうだ。」「なんです?」

「此処の外観、流石に見窄らしいので綺麗にしませんか?」

 見窄らしいと云う言葉に瞳を落とした気がしたが、綺麗、と云う単語が聞こえた瞬間、彼女は瞳孔を開く。


「え! いやいやいや……けど……。」

 両手を突き出しながら否定しようとする。けれど、其んな彼女の言葉を僕は敢えて遮る。


「悪魔でも何でも頼るんでしょう? なら、頼って下さいよ。」

「……はい! はい! すいません! 有り難う御座います!」

 彼女は何度も何度も頷くと、慌ただしく受付台から出ようとする、が、段差に引っ掛かり、ずっこけて前面から落ちる。

 僕は腕を伸ばして彼女を抱き留める。

 僕に抱えられた彼女は、少しだけ赤面をしていた。


「……へへ、ネコちゃんに助けられちゃいましたね。」

 彼女は態とらしく舌を出し、やれやれと言う風に脚に付いた汚れを払う。

 ……けれど、ネコちゃん呼びは止めてくれ。

此の作品が面白いと思ったら評価をお願いします。

モチベに成りますので、宜しければ。


其れと感想も気兼ね無くどうぞ。お待ちしております。

良かった所、悪かった所、改善点等有りましたらどうぞ感想にお願いします。


もし誤字や明らかなミスを見付けましたら誤字報告からお願いします。

宜しくお願いします。

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