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Rɹænↄɐɹƚↄɐtion/リンキャルケイション  作者: 鱗雲之
第三章『獣人国へ』
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第百四十話:復仇!テドテド

復仇:ふっきゅうと読みます。

意味は仇討ち、敵討ち、仕返し、みたいな事です。


次話と其の次の話も多分ヷルト目線に為ります。

「あぁぁぁぁっー‼︎ 何で‼︎ 何で俺が⁉︎」

「煩い、お前其れでも獣人か。」

 俺等は絨毯に乗って空を飛んで居る。

 操縦して居るのは俺なのだが後ろからわーわーとバクダが喚いて居る。


「何で獣人だからと云って戦わなきゃ行けないのさ‼︎」

 声を張り上げて嫌だ嫌だと(たけ)り立つ。はぁ。

 自分が動物に為って如何する。


「しょうがないだろ、今村で充分に戦えるのが俺と村長とガリルナ位しか居ないのだから我慢しろ。

 魔法は使えるんだろ? なら援護位出来るだろ。」


「やーだー‼︎ 産まれて此の方戦闘何てした事無いよぉ‼︎」

 と小動物みたいにピーピーと騒ぎ立てる。

 情けない、其れでも男か、お前は。


「ほら、だったら此れ、此れ装備しろ。」

 俺は収納魔法から弩の様な物を取り出した。

 其れを彼に投げ渡す。彼は必死に其れを取って抱き抱えた。


「な、何此れ……⁇」

「ガㇻ̈ベㇻ̇、って名前の武器だ。

 矢を装填するだけで或る程度追尾してくれる。此れならお前でも戦えるだろ。」

 俺は飛んで居る鳥を体を屈めて避ける。

 彼は腰を大きく屈めてへばり付く様にして避けた。

 ゆっくりと顔を上げてガㇻ̈ベㇻ̇をじっと眺める。


「おぉ‼︎ ……もしかして何か欠点有るの?」

「あぁ、其うだな、熱属性とか……冷属性とかの、所謂魔法矢が使えないな。

 後は結構力は要る。専用の矢が必要に為る。其の位かな。」


「へぇ〜〜……凄いね。此れ、自国で見た事無いや。」

 彼は関心する様に其れを眺めて居る。けれど、ガリルナが彼を怪しむ様に眉を顰めて居る。

 ……馬鹿野郎! 完全に素性を疑われて居るじゃないか。


「あれ? おめってエカルパル国出身じゃなかったのか? 何で知らねんだ?」

 ガリルナは牙を此れでもかと向いて彼を威圧する。

 マズい、取り敢えず語弊が出ない様に上手く縫い合わせないと。

 俺は凛とした顔で言葉を紡ぎ合わせる。


「あー……あと、此奴結構な田舎から来たんだ。

 余り魔法技術も発達してない村でな。だから知らないのだと思う。」

「成る程な、そりゃ知らねぇ訳だ。」

 ガリルナは俺からすうっと目線を逸らした。

 あぁ良かった。危機を乗り越えれた。何でもう、リングやらバクダやら俺の心臓をバックバクさせるんだ。あぁ。

 其う云う加虐的(サディスティック)な趣味なのか?

 何時の日かは心臓発作で死ぬんじゃないか。命が幾つ有っても足りない。


 ……好き好んで行ってる俺も俺だけれどな。


 と其んな事を考えて居ると目の前に何かが現れた。思わず目を細める。

 ぬっぺっぽうの様な……全身にヘドロでも付いてるかの様な……。多分粘液だと思う。

 辛うじて魔物、と云う事だけしか分からない。


「あ‼︎ 那奴(あいつ)那れよ‼︎ 村の戦士を殆ど瀕死に追いやった奴‼︎」

「えぇっ⁉︎」

 俺は後ろを振り向いた。嘘だろう。其んな奴が何で此んな所に居るんだ。

 ……覚悟を決めねば為らぬ。そして戦わねば為らぬ。


 俺は前を向いて其奴をギッと睨んだ。近付いて行くと其の正体が分かった。

 見た目は恐竜の様な、多分二つ足の魔物だろう。


「……何なのアイツ。」

 バクダがボソッ、と呟いた。


「あぁ、アイツね、テドテドよ。」

 と村長が言う。成る程……テドテド……名前は少しだけ可愛らしいと思う。

 ん、いや? え、ちょっと待て。其の名前、聞いた事が有るぞ。

 テドテド……昔、前世と言えば良いだろうか。多分何回か戦った事が有る。


 只、那奴から吐く毒みたいなヘドロみたいな物が厄介だ。

 触れると病気に罹る。触れて、そして其の儘死んだ奴も見かけた。

 其れだけ聞けば危険そうには思えるが奴自体は其処迄強くは無い。

 鱗が硬い訳でも無いし、動きが素早い訳でも無いし。


 だからしっかりと対策を取って居れば特に脅威に成り得る魔物な訳が無い。

 ……でも、其れが脅威に成る、って何なんだ?

 突然変異みたいな強い個体なのだろうか?


「……此れ、厄介だろうな。」

「えぇ? テドテドだろ? んなわきゃ無いだろ。」

 ガリルナがのほほんとした声で其んな事を言う。

 ……お前なぁ。


「気を付けた方が良い。じゃ無ければ死ぬ。

 油断が命取りに為るんだ、此う云うのって。」

 語気を強めて忠告を投げ掛ける。……お前は強いのかも知れないが、幾ら強い人だとて一瞬の油断で命を落とすんだ。俺は何度も其う云った光景を見て来た。等級の高い奴が調子に乗り、一瞬でやられるのを。


「……お、おう……あぁ、気を付ける。」

 俺の必死さが伝わったのかは分からないが、彼は了承してくれた。

 素直な奴で良かった。


 さて、奴のずんぐりとした巨体がどんどんと近付いて来て居る。

 此処等で適当に降りて後は徒歩で向かおう。


 俺は絨毯を操縦して木が余り無い所に降り立った。

 皆降りたのを確認して絨毯をくるくると巻く。そして魔法陣にぽいと投げた。

 早速俺は半透明の斧を出現させて両手に持った。

 そしてくるっと後ろを振り返って言った。


「さぁ、行くぞ‼︎」


 俺は森の中を走って居る。此う云う時、那奴(あいつ)はしなやかに走るんだよな。

 本当に、獣みたいに体を使って。


 残念ながら俺は其んなに綺麗に走る事は無理だ。足を付けて、そしてガツガツと走る事しか出来ない。

 どんどんと走って行くと森が無くなって、草原が見える様に為った。


 其処にはテドテドがどんどんと音を立てて其処等をほっつき歩いて居る。

 俺達に気付いて無いのか、其れ共俺達を誘って居るのか。


 ……多分前者だとは思うのだが。

 奴は其処迄賢くは無い。


 後ろを見る。そして如何するかと問い掛ける。


「なぁ、如何する。」

 ひそひそ声で彼等に尋ねる。


 すると、ガリルナが突然体に力を込めるとぼうっと微かな音を立てて突然体毛が黒く為った。

 ……其う云う事か。リングが言って居たのって。

 心亡しか妙な威圧感を感じる。少し恐ろしい。


 バクダが其の様子を見て腰を抜かして居る。

 

「へへ、なら俺が行ってやるよ。」

 と鼻を擦って言う。……いやいやいや。

 お前、言った事分かって居たのか? 


「危ない、って言ったろ。」

「だからだよ。村長に迷惑掛けれねぇし俺が囮に為りたい。」

 彼は真面目な表情で言う。如何やら、只々馬鹿正直に自分が突っ込みたい訳では無いみたいだ。


「……大丈夫か? 出来るなら任せたい。」

「ふふ〜ん、大丈夫。ガリルナなら平気よ。」

 後ろから村長の声が聞こえる。後ろを向く。すると、自信満々な様子で腕を組んで居た。

 信頼関係、って奴なのだろうか。俺とリングとは違う……何だか師弟関係の様な…


「任せるね。期待してるからね。」

 村長はにっこりと微笑み彼の背中をポンと叩いた。


「じゃあ、後は如何する?」

 俺は彼等を見遣った。俺が目を合わせるとバクダだけが目を逸らした。

 其の場凌ぎで良い。付け焼き刃で良い。簡単な作戦を考える事にした。


「其うねぇ……折角遠距離担当が居るのだしねぇ……。」




 俺等は森の中から覗いて居る。成るべくバレない様に身を隠しながら。

 黒い毛皮の彼はのしのしと歩いて行く。奴は其れに気付いたのか奴目掛けて咆哮を放った。


「ウルグァァァァ‼︎」

 気持ちの悪い声を上げながら奴の方にのっしのしと走って行く。

 そして頬を膨らませて何かを放った。


 黒いドロドロとした物が彼に向かって放たれる。


 すると、彼は華麗に其れを避けた。そして反対側に移動する。

 奴は此方に気付いて居ない様で、奴目掛けて攻撃を(けしか)ける。

 隣を見ると村長が消えて居た。


 バクダがガㇻ̈ベㇻ̇を構えてギギギと歯車の音をがならせながら矢を発射した。

 其の矢は奴の頭に直撃した。奴は此方をじっと睨み付ける。


 俺は敢えて音をガサガサと立てながら奴の目の前に現れた。

 奴は攻撃を加えたのを俺だと勘違いしたのか俺目掛けて攻撃を放って来る。


 思った依り其の速度は速かった。嘘だろう。俺は咄嗟に防御する。


「ラ̉チン゜コ゚リ̈・ヤ゛エ‼︎」

 すると、俺の周りにバチバチと音を立てる雷の壁が周りを囲んだ。

 俺が移動すると其の雷も同じ様に付いて来る。


 此の魔法は此う云う所が良いのだよな。

 

 俺に攻撃を与える事に気を取られて居たのか、奴は彼が攻撃した事に気付いて無かった。


「グルビャア‼︎」

 奴は其方を向く。すると、後ろ足に傷が付いて居るのが確認出来た。

 俺も攻撃を加えよう。雷の壁を消失させて奴に向けて右手を掲げる。


「ホキ゚キ・フ̇ォヺ̇‼︎」

 俺の右手の辺りから水の鎌の刃の様な物が飛び出す。

 其れは奴の頭頂部に突き刺さる。


 よしよし、大丈夫だ……此の儘攻撃を加えれば……。

 と思って居た矢先、奴が急に俺の方に向かって走り出して来た。

 俺は咄嗟に其の攻撃を避ける。


 少しほっとしてしまったのだが、此処で俺は気付いた。

 そう、那奴が行った方向はバクダが居る方向だったのだ。

 マズい、本当にマズい、少し焦って居た。


 いやいや……先ずはバクダを助けないと。俺は全速力で其方に向かった。

 けれど、其の心配も杞憂に終わる。


 突然、ドガン‼︎ と消魂(けたたま)しい音が鳴ると、奴は後方に吹っ飛ばされた。

 何が如何やら分からない。呆気に取られて居ると、森の中から誰かが現れた。


 其処に立って居たのはグルルルルと唸り声を上げて居る真っ黒な村長だった。

此の作品が面白いと思ったら評価をお願いします。

モチベに成りますので、宜しければ。


其れと感想も気兼ね無くどうぞ。お待ちして居ります。

良かった所、悪かった所、改善点等有りましたらどうぞ感想にお願いします。


もし誤字や明らかなミスを見付けましたら誤字報告からお願いします。

宜しくお願いします。

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