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Rɹænↄɐɹƚↄɐtion/リンキャルケイション  作者: 鱗雲之
第三章『獣人国へ』
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第百三十六話:脅威のテドテド

 僕は何人か村の人々の診察を終えて、次の家に来て居る。

 トントン、と扉を叩くものの音沙汰無しだ。

 隣を見る。其処には大きな石壁が在った。

 本当に何時見ても不思議な光景だよな。


 幾分か待って居るとそーっと扉から顔を覗かせる一人の少女が居た。


「こんにちはー……。」

 和かな笑顔を作って小指を立てる。

 すると、蒼の眼をくりくりと動かし、扉をガバッと開けた。

 僕は扉に叩かれない様に少し後退(あとずさ)りをする。


「……あ! 先生‼︎ 」

 何故か、此の村の人々は僕の事を先生先生と言って来る。

 妙なむず痒さを感じる。好意で有るのは見て取れるので言わないで置くが。


「先生‼︎ 親が大変何です‼︎ お願いします‼︎」

 彼女は僕に抱き付いて上目遣いで其んな事を言って来る。

 はぁはぁと呼吸は荒いし今にも泣き出しそうだ。


「……分かった。落ち着いて? 取り敢えず見せてくれるかな?」

 僕は屈んで彼女の頭を撫でてやる。少し許り落ち着いたのか呼吸は落ち着く。


「はい‼︎ お願いします‼︎」

 ぶんぶんとヘッドバンギングみたいに頷いた彼女は早速ててててと走り出す。

 僕は靴を脱いで家に入る。何故か此の村では靴を脱ぐのだ。

 ジュデバ国から流れて来た文化か、其れ共昔からのエカルパル国の文化を引き継いで居るのか。

 中は外見依りは大きい様に見えた。魔法の類でも無いと思うのだが。


 洋風の、此方の世界での現代的なかなり清潔な家だ。

 彼女は奥へと走ると扉をガチャっと開けた。

 

「お父さん‼︎ 来たよ‼︎」

 部屋に入って彼女は大声で其んな事を言う。

 僕はゆっくりと部屋に入った。


 中を見遣ると、本棚と、作業机と、ベッドと、特に変哲の無い、一般的な部屋に見えた。

 ベッド脇の机には花瓶に花が一本入って居る。多分【蒼い雪】だろう。


「あ、あぁ…………。」

 彼はゆっくりと起き上がる。至る所に包帯が巻かれて居る。

 痛々しい見た目だ。一体、此んな傷を何処で受けて来たのだろうか。


「あぁ、先生か。久々だな。」

「……こんにちは。」

 此の特徴的で格好良いハスキーボイスは良く覚えて居る。カインドロフ・エルド・テンバスドだ。

 此の村に初めて来た時、僕を慄きもず畏敬もせず村の規則だの何だのと教えてくれた人だ。

 如何して。何が起きたんだ。先ずは、何時頃起きたのかと訊かなければ。


「……ねぇ、君、何が起きたか知ってる?」

 僕は彼女に目線を合わせるものの彼女は首を横に振った。

 なら、本人に訊くしかないかな。


「すいません、来て早々申し訳無いですが、何時、其んな傷を受けたのですか?」

「……あ、あぁ。」

 彼は其う言って咳き込む。彼女は背中を(さす)って居る。おい、全身傷だらけだけで無く何か病気も患って居るのか?


「確か先週、デドデドが村外部に現れた、って噂を聞いて倒しに行ったんだ。」

 ──デドデド。確か其処迄強く無い魔物だが病気を撒き散らすヘドロみたいなので攻撃して来る魔物だ。

 只、触れなけば特に何も無い。だから基本的に奴の攻撃を慎重に避けて、後は遠距離から上手く攻撃出来れば倒せる様な特に強くは無い魔物の筈だ。


 成る程、そしたら彼がゲホゲホと咳き込んで居るのは其の所為か。

 なら、僕の腕でも治せるかな。此れに関しては特に問題は無い。


「はい。」

「で……其奴、滅茶苦茶に強かったんだよ……何故かさ……。」

「えぇっ。」

 僕は目を見開く。滅茶苦茶に強かった? 其う云う個体だったのだろうか?

 何となく直感でだが、其んな事は無いと思う。

 でも、証拠も何も無い今は特別な個体、として解釈するしかない。


「其ん時戦ってた奴等も殆ど負傷しちまってな……。

 今、狩りにも行けない様な……其んな状態何だ。」

 彼は右手で自分の鼻を掻く。と此処でおかしな事に気付いた。

 手が異常な迄に真っ黒だったのだ。そう、銀狼達の能力を使った時位な。


「……ちょ、ちょっと大丈夫ですか……?」

 僕は断りを入れて彼の手を見てみる。彼はぽかんと口を開けて居る。

 やっぱり黒い。


「すいませんね。」

 僕は布団を剥がしてみた。

 すると、右手だけじゃ無く左手、右足、左足も黒く為って居た。

 手首足首の辺りだけ、異様に真っ黒だ。


 ……おかしい。絶対におかしい。普通、此んな事有る筈無い。

 でも、其れが起きて居るのだ。一体如何して。


「……有り難う御座います。」

 其れだけ言って布団を掛けた。


「先生‼︎ 治りますか⁉︎」

 彼女が必死に為って僕に懇願して来る。僕はにっこりと笑う。


「えぇ、大丈夫ですよ。治ります。」

 彼女には其う言ったものの、問題は有る。……傷の方だ。

 額の辺りにも巻かれて居る。腕の方にも巻かれて居る。治療、出来るだろうか。

 正直言って、医療知識は毛程も無い。


 只人体構造は其れなりに理解はして居るつもりだから恢復(かいふく)魔法と知識を使って如何にか出来るだろうか。

 

 其れと気に為る所がもう一つ有るのだが……彼等は魔法に詳しい筈だ。

 だったら治せる筈なのに何故治して居ないのだろうか。辻褄が合わない。

 ……いや、今考える事でも無いな。先ずは彼を治療する事が先だ。


 僕は断りを入れて外に走って行った。

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