第百二十三話:ピカピカと輝く毛皮
「あぁ、こんにちは。久々ですね。」
僕は地面に左脚を付けて右脚を屈めた。ホスト座りみたいなポーズだ。そして胸の前で指を絡め合わせる。
此れは此の部族での挨拶みたいな物だ。
「其れと、後ろの二人は誰?」
彼は流暢なエカルパル語で彼等を指す。
「あぁ、友人です。狐の方がヷルト、って言って、こっちの猫っぽい獣人がバクダ、って云います。」
「ほら、二人共挨拶為て。」
彼等は見様見真似で僕のポーズを真似する。
けれど、彼は怪訝な顔で僕を問い詰めて来る。
「……ねぇ、他の人連れて来ないで、って言ったよね?」
「い、いや……けど、ほら、悪い人じゃ無いんですよ‼︎ 二人共きっと口出しはしない、と思って連れて来たんです‼︎」
「はぁ、じゃあ、出身は何処?」
面倒臭そうな顔を為て先ずはヷルトを指した。
「あぁ、俺はエカルパル国産まれエカルパル国育ちだ。」
彼は特に自分を着飾る様子も無く何時もの様に淡々と事実を告げる。
「まぁ……なら許すしかないかね……。
ほら、おいでなさい。歓迎の準備するから。」
手招きを為てヷルトを呼び止める。すると、彼は一礼をした。
「貴方は?」
次はバクダを指す。
「え、あ、俺は此処ジュデバ国産まれの……。」
其処迄言った所で、彼の眼が変わる。ギッと、敵対的な彼を睨む眼に変わった。
「あぁ、駄目、帰りなさい。」
「えちょ、如何して……。」
まるで腫れ物とでも言わん許りに追い返す様に手を左右に動かす。
「如何しても何も、ジュデバ国の人は嫌なの‼︎ 嫌いなの‼︎
駄目ったら駄目‼︎ 駄目なの‼︎」
すると、口を開いて牙を見せ付ける。相当怒って居るみたいだ。
ヴルルルルル、と口の中の声が漏れ出て居る。
「はぁ。」
がっくりと肩を落とす。
やっぱり此う為ったか。言ってみれば分から無いとは思ったが、案の定駄目だとは。
何故、村長がジュデバ国の人間を異様に嫌って居るかと云うと無論理由は有る。
元々此処等はエカルパル国の領地だったんだ。
そして、此処に元々住んで居た先住民族の彼等だったけれども、エカルパル国に良くして貰って居たらしい。
少数民族で有った銀狼達を受け容れ、そして彼等の文化を疎む事も無く、寧ろ尊重されて居たらしい。
其れからと云う物、彼等の関係は良好だったのだ。
彼等はエカルパル国人に此処でしか採れない様な珍しい物。伝統工芸品を、そして彼等からは魔法の知識や言葉、其れと働く場所何かも提供してうれたらしい。
銀狼族は知識を知ら無かっただけで魔法の才は有ったらしく、其れはもうメキメキと才を伸ばして行った。だから、彼等此んな摩訶不思議な装置が作れるのだ。
自分でもギミックは良く分かって無い。エカルパル国では殆どロストテクノロジーの様な物だし。
でも其んな彼等の関係に亀裂が奔る。
何とジュデバ国が攻めて来たのだ。彼等はエカルパル国側として必死に戦ったが、圧倒的な数の暴力の前に敗退。
一度録られた領地を取り返そうとエカルパル国側が軍を投入するも其れも失敗。敢えなく、占領された土地をみすみす見逃す事しか出来無かったのだ。
ジュデバ国側が攻めて来た理由は彼等にははっきりとは知ら無い。
けれど、ジュデバ国側の資料を見ると、当時かなりの資源不足に陥って居たみたいだ。
だから資源が潤沢に有る此処を狙ったんじゃないかと謂われて居る。
其れか、銀狼を同じ獣人として見て無かったか。
ジュデバ国の大半の人物が信仰為て居る宗教、確かボルドヹ教とか言った筈だ。
其の経典に『銀の毛並みを持つ獣人は厄災を齎し──』みたいな事が書いて有った筈だ。
うろ覚えだけれど。
今は又、謂わばキリスト教のカトリック、プロテスタントみたいに分裂した其の一派が多く広められて居るので此の一文は削除されて居たと思うが。
確かぺ'ル̉デドとか言って、【反抗】【叛逆】を意味する単語だ。
只、正教会には此の記述が未だ残って居る。
さて、話を戻そう。
其処から、攻められて居た銀狼達の扱いは其れはもう中々に酷い物だったと言う。
先ず、自分達を一緒に戦ってくれた戦士達は銀狼に肩入れした、そして元々人間にも差別意識も強いので、彼等の目の前で磔にしたとか。
銀狼達も捕まり牢獄の中で、戦った戦士の肉を食わされそうに為った人も居るらしい。
其の人は命からがら逃げて来たが、結局栄養失調で亡く為ったらしい。
彼等から見れば、異文化、狂信者としか言い様のない彼等の習慣だ。だから気持ち悪がる気持ちが分から無いでも無い。
だからと言って吊し上げ冤罪何のその、部族の子を孕ませたり皆殺しにしようとしたりは良く無いだろう。
狂ってるとしか言い様がない。
自殺してるからこそ、何だか命が損罪に扱われて居るのは何だか納得がいかない。
そりゃ、自分の命を大切にしない奴が其んな事を言う何て説得力は無いと思うけど……。
さて、話を戻し、其んな酷い扱いを受けて居た彼等だったが、只一つ、魔法の才は有った。
一部の者はエカルパル国に亡命をしに行って、残った者は此の様な空間を創り出して彼等が入って来ない様にした。
けれど、エカルパル国に行った彼等の安否は不明らしい。
だからこそ那の時ホテルで会ったハーフの奴には吃驚させられた。
そして時代は移り変わり、ジュデバ国もやっとほんの僅かでは有るが先住民族や少数民族を認め始めたが、彼等は其んな事知る由も無い。
其の時から停滞した儘なのだ。
だから、ジュデバ国の人への憎しみは収まる事は無い。
例え、同じ獣人で有ったとしても、だ。
「で、でも‼︎ 彼は善い人です‼︎ 馬鹿で、如何しようも無くて、僕を連れ回す様な彼だけど‼︎ 善い人何です‼︎」
「……あ。」
必死に為って擁護しようとする。後ろを向くと、バクダが彼の事を感情の無い目で見詰めて居た。
あ、え、あれ、如何したの? ブチギレたの?
すると、バクダは彼の方へつかつかと歩き、其の前にぱっと立った。
テルズメットの後ろから巨大な炎が浮かび上がる。パチパチと云う音も察こえて居る。
いや、パチパチじゃない。バヂバヂ、と云う感じの音だ。
お、おいおい、何する気だよ。僕等も死ぬぞ。
バクダの行動を止めさせようとしたもの、何だか威圧感からか足が竦んで一歩も動かせ無い。
僕は彼等の行動に釘付けにされて居た。
「……凄い、綺麗な毛並み‼︎」
途端にうきうきとした様子で彼の両手をぎゅっと掴む。
炎が止む。バヂバヂ音も鳴り止む。
「え。」
ぽけ、っとした様子で彼を見詰める。
「凄い、光に反射してピカピカ光ってる……! うわぁ……綺麗……幻想的……。」
「ま、まぁ。」
村長の怒りが尻窄む。何だか照れて居るみたいに思える。
其れも其う、銀狼達にとって毛皮を褒められる事は一番の祝福で有り幸福なのだ。
理由は、神から授かった綺麗な毛皮だから、だとか。
「そりゃ……毛並みも整えて居るからな。」
当然みたいに言うけれども、尻尾はぶんぶんと振って居る。耳はペタンと倒れて、顔が少し紅潮為て居る。
あ、嬉しいんだ。だろうなぁ。僕がはは、と笑うと、きっと此方を睨んで来た。
あぁあぁ、からかったの、悪かったって。
僕は彼から少し距離を取る。
「じゃあ、まぁ……うん。特別。うん。特別よ!
さ、入りなさい。」
余程嬉しかったのか千切れそうな位尻尾をぶんぶんと回して彼の背中を押す。
にしても、バクダ、見事なファインプレーだったな。もしかして銀狼達の事を知って居たのだろうか。
……いいや其れは無いな。唐突に天然ボケを咬ます様な彼が其んな事する訳無い。
此処からは殆ど獣人しか登場しません。そりゃあまぁ銀狼の村がメインに為るのでしょうがないです。
でも此れを描かないと話が進まないんですよねぇ。えぇ。
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モチベに成りますので、宜しければ。
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