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Rɹænↄɐɹƚↄɐtion/リンキャルケイション  作者: 鱗雲之
第三章『獣人国へ』
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第百二十二話:弱者と強者※

十二月十日、魔法が仮置きの儘放置されてました。すいません。

十二月十日、お話のおかしい所を修正しました。

 其の後、大雨が降ったり魔物が現れたり為たものの、前者は仕方の無い事だし、後者は特に強いって訳でも無かったから直ぐに対処が出来た。

 他には夜の間に人が現れたり為たけれども、商人だったり同業者だったりで此れと云って問題は無かった。

 其んな此んなで僕等は順調にジュデバ国の城壁迄進んで行った。


 入り口には馬車に乗り込んで居る人も居るし、武器を持って居る人も居る。

 商人達は馬車に乗って僕等が其の横に居る形だ。馬車はゆっくりと歩みを進めて居る。

 多分三組位後だと思うのだが、多分外で狩りか何か為て来た獣人五人組が居る。

 彼等の大声か此方にも届く。

 

 此処からが最悪なもんで、僕はジュデバ語が分かって了う。

 アングラなスラング的な単語なら兎も角、普通の日常会話程度なら。


「おいおい、ブルンハ、お前狩りで全く何も為なかったじゃないか、あぁ?」

 と言ってバンと云う音が聞こえた。何かを大きく叩いて居る音みたいだ。

 太腿の辺りだろうか。


「そうだそうだ! 此の腰抜けがよ! 又下水飲ませてやろうか!?

 其れか金出せ!! お前幾ら持ってたっけ?? 全部くれよ。」


「だ、だって……俺……今脚怪我為てるんだよ……言ったじゃないか…ミェーブ、ボロロ……。」

 如何やらイジメて居るみたいだ。そして其れに乗っかって居る奴の声も聞こえる。

 ……イジメって言うと……少々大袈裟かも知れないけれど。

 けれど僕はイジメだと思う。


 そもそも、命が掛かって居る場で其んな事為るなよ。小学生かっての。

 如何やら、彼は肉食獣だからと草食獣を見下す権利が有るとでも勘違い為て居るみたいだ。

 んな訳無かろうに。


 何だろう、此の会話を聞いて居るだけで何だかムカムカ為て来る。

 前世の所為なのだろうか。前世で弱者だからと使い潰された所為なのだろうか。


 本当なら奴等の顔を一発ぶん殴ってやりたいが、此んな場で其んな非常識な事出来無い。

 ……でも、言わ無いの何だかなぁ。僕の溜飲(りゅういん)が下がら無い。


 如何しよう。直接駄目と言うのも何だか大人気無い様に思える。


 ……だったら、此れしかないかな。


「ちょっと一旦外すね。」

「え?」

「あぁ……分かった。」

 僕は少し遠く為る彼等の言葉を聞いて其の場を離れて彼等の元に向かって行った。

 其処には鹿と狼と白い虎と水牛と豹の獣人が居た。半分以上が肉食系獣人みたいだ。

 ……其れを言ったら、僕等は皆肉食系獣人に為るのだけれど。


 話の通り、鹿の奴が怪我を()て居るみたいだった。

 右足に包帯をぐるぐると巻いて覚束無い脚で苦しそうに歩いて居る。

 此れじゃあ狩りどころじゃ無いだろう。


 僕は鹿に近付いて右手の甲を額の辺りに付ける。

 すると彼は唖然と為た様な表情を為るけれども直ぐに同じ様なポーズを為る。


「こんにちは。ごめんね……さいね、ちょっと脚見せてくれませんか?」

「……え、あ、はい……。」

 最近エカルパル国でかなりの場合でタメ口で話すからか敬語を忘れそうに為るが、此処では敬語をしっかり使わなければ。

 彼は唖然と為た表情を困惑の表情へと変えるが、渋々と、右足を差し出して来た。


 他の四人は冷たい目線を投げ掛けて来るが気にしない。

 其の包帯からは血が滲み出て居てしかもかなり乱雑に巻かれて居る。

 僕だって医療知識が有る訳では無いが、明らかに素人の其れだろう。

 此の様子から察するに多分彼が一人で巻いたのでは無いだろうか。

 

「……あー……こりゃ酷いね……。」

 呟く様に其う言って後頭部の辺りを掻く。


「包帯、取っても大丈夫ですか?」

「え、えー……はい……。」

 一瞬眉を(ひそ)めて嫌がった顔は為たけれども、逆らえ無いとでも思って居るのかぶるぶると震えた様子で頷いた。


 ……ごめんね。けれど今回は利用させて貰うよ。

 此の子は相当肉食獣が怖いみたいだ。一体此んな事に()る迄如何云う扱いを受けて来たのだろうか。

 

 僕は其の包帯を剥がしてみた。後ろの獣人達がざわざわと騒ぐ。

 ざわざわと話して居る彼等に耳を傾けると、僕が此奴を如何遣って虐めるか気に為るみたいだ。

 はぁ? 僕は其んな奴等にふつふつと怒りが燃え上がる。

 其んな事()るか、っての。馬鹿か!


 僕は少し怒った顔を為て居たのだろう。彼は耳を頭にピタンと付けて怯えて居る。

 あぁ、ごめん、僕は右手をそっと握った。(とて)も暖かかった。

 耳を戻して何かを探すみたいに首を左右に動かして居る。

 僕はにかっと笑顔を作った。彼は困惑しっぱなしだ。


 そしてゆっくりと其れを剥がして行った。

 中からは血の滲んだ毛皮が見える。思わずうわあと声をあげて了った。

 今も出血為て居るのかゆっくりと彼の脚を血が沿う様に流れて行った。

 膝小僧には大きな傷が有る。


 彼は靴を履いて居ない。あぁ其うか。此の国で靴を履く文化って無かったか。

 足の指を見てみると明らかに変な方向に曲がって居る。

 此れじゃあ歩き辛いに決まって居る。


 後ろの奴等の声が大きく為る。

 さっきの野次馬的な好奇の声では無くて、此奴何為てんだ、と云う感じの。


 豹の奴がのっそりと近付いて来て居る様な気が為る。

 おい、何()るんだ。牙を剥いて声をシャーシャーと出して魔力を体の穴と云う穴から出してみる。


 腕や脚が半透明の蒼い炎に包まれる。

 其れを見ると奴は耳をペタンと付けて震懾(しんりょう)為る。

 獣人は本能が強いと言われて居るからな。此う云う事を為れば威嚇為て居ると判るに違い無い。

 

 鹿の奴はもっと怯えて震えて上がって居る。

 あぁ、ごめんごめん。僕は右手をより強く握った。


 馬車が少し進む。僕は彼をお姫様抱っこの形で進ませた。

 彼はオドオドと為て居る。


 僕はゆっくりと降ろして彼を座らせた。


「え……えぇ?」

 彼は腕を膝の辺りで組んで居ない体育座りみたいなポーズに為って辺りを見回して居る。


「えっと……じゃあ……ちょっと……触って大丈夫ですか?」

 彼は表情を変えずにぎこちなく頷く。

 彼の了承も得た事だし、如何為って居るのか少し確認為てみよう。

 

 其の脚を触ってみると特に異常は無さそうだ。

 然し、太ももの骨の辺りを触ると何だかぶよぶよと為て居て、彼もあだっと声をあげた。

 じゃあ、骨折為て居るのだろうか?


「ちょっと……自分の意思で曲げてくれませんか?」

「う……うん。」

 ゆっくりと頷いて脚を曲げようと為る。

 彼はいだだだだと声をあげて諦めた。


 ……多分……骨折為て居るな?

 神経がやられていても魔法で治す事は出来るのだけれど、変な所に魔法を掛けると碌なことに為ら無い。

 だから確認が必要だ。……あぁ、医療知識が薄いのが此処に来て仇に為るとは。


「何日前から此んな様子なの?」

 僕は彼の顔を見て訊く事に為た。

 一度唾を飲み込むと震えた様子でゆっくりと口を開いた。


「……三ヶ月前程から……。」

 僕は殆ど無い顎に手を当てた。そうか……三ヶ月前からか……。

 三ヶ月間此んな様子で暮らして居たのか。本当に(むご)い。


 ……恢復(かいふく)魔法で治るだろうか?

 全恢復は難しいだろうけれど……少しでも良く為ってくれれば良いな。


 僕は其処に手を当てて活力を掌から流し込む様に魔法発動為せた。


「タタㇻ̈・ツァキナン!!」

 すると、大きな傷の有った所は復活し、次に足の指を元の方向に戻して手を当てた。


「……此れで……治ったかな? 動かしてみて?」

 彼の眼に目線を向けてはにかんでみる。

 彼は足の指を動かして居る。困惑為て居た表情が驚きの表情に変わる。


 そして脚をゆっくりと曲げたかと思うと何度も何度も曲げて戻してを繰り替えして居る。

 更に顔がパッと為た笑顔に変わる。


 ……あぁ良かった。少なくとも動ける位には恢復為たみたいだ。


「あぁ……あぁ! あぁ!!

 有り難う御座います!! 有り難う御座います!! 有り難う御座います!!」

 すると、彼は土下座みたいなポーズを為て大きな声で其んな事を言う。

 確か此れはジュデバ国で最大限の感謝を送る物だった筈だ。


 あぁ、流石に其処迄感謝為なくて良いから……。

 何だか僕の肩が狭く為って来る。


「あぁあぁ、はは……どういたしまして。」

 少し恥ずかしく為った僕は頭の右等辺を掻きながら少し右に目線を逸らして言った。

 ……よし、此れで彼が虐められる元凶は取り除けたし戻ろうか。

 

「あ、あの〜〜?」

 虎みたいな奴が僕を覗き込むみたいに見て来る。

 ……何だ? 取り敢えず感謝では無い事だけは分かる。


「あ、あの……其奴に其んな事しなくても……此奴、虐められるのが好き何ですよ。」

 にこにこと為た営業スマイルみたいな作り笑いで其んな事を言う。

 はぁ? 僕の血液が音をがなり立てながら沸騰しそうだ。身体が熱く為って来て居るのを感じる。


 手を下して了いたい。

 けど其んな事遣ったら此奴等と同じ土俵に上がりそうで嫌だ。


「……はい?」

 僕は最大限目一杯の笑顔を作って言った。


「彼が明らかに苦しんで居るのにも関わらず? へぇ〜〜……其う云う癖が有るんですか?」

「そうそう、此奴物好きな猫何ですよ。」

 と言って僕を(おだ)てるのか胡麻を擦るのか分から無いがニヤついた気味の悪い笑顔を浮かべて居る。


「〈んな訳ねぇだろうが〉!!!!」

 声ががなって牙を剥いて怒鳴って了った。……日本語で。

 すると、目の前に居る奴だけで無く、後ろに居る豹や水牛等迄もが驚く。


「……おっと、御免なさい。」

 僕はふふふと笑いさっきの笑顔に戻る。


「取り敢えず、もう此んな可哀想な事はしないで下さいね。」

 僕は其れだけ言ってさっきの場所に戻ろうと()る。


「……あ、あの!! お名前は……何て言うんですか?」

 自分の脚でしっかりと立ち上がって居る、もうすっかり症状の良く為った鹿の彼が僕を引き止めたいのか其う言って来た。

 ……此処で少し許り格好付け無いと面目無いだろう。

 僕は少し気取った返しを為る事に為た。


 口に手を当ててふふっと(わら)う。


「別に、名乗る程の者じゃあ有りませんよ。」

最初リングさんがブチギレる様なお話にしようと思ったのですが、けれど其れは何だか違うよなぁ。と。

謂わば自分自身との解釈違いを起こしまして、急遽修正したのが此のお話です。

リングさんなら此うしそうです。ブチギレるのはちょっと……何か違う気がします。


此の作品が面白いと思ったら評価をお願いします。

モチベに成りますので、宜しければ。


其れと感想も気兼ね無くどうぞ。お待ちして居ります。

良かった所、悪かった所、改善点等有りましたらどうぞお願いします。


もし誤字や明らかなミスを見付けましたら誤字報告からお願いします。

宜しくお願いします。

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