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Rɹænↄɐɹƚↄɐtion/リンキャルケイション  作者: 鱗雲之
第二点五章『村に帰って』
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第百六話:親子共々

昨日休んで了い申し訳有りません……展開にかなり四苦八苦したのです。どうかお赦しを。

 僕等は一通り此の街を見回して買い物を()たり施設を見たり()た。

 今は丁度正午。レストランみたいな所へ来て居る。此処は小さいけれどもかなり洒落て居る所みたいだ。

 音楽が聞こえる。中央では誰かが演奏為て居る。フルトーレと云う鍵盤楽器みたいだ。

 チェンバロみたいなポロンポロンと荘厳な音色が聞こえて来る。

 しっとりと流れる美しいメロディと其の悠揚な弾き方に思わず聞き入って了いそうだ。

 此の体に成ってから音色とかを矢鱈聞いて了う様な気が()る。


「……此の後如何()るかい?」

 彼は紅茶をお皿に置いて聞いて来た。


「そうだねぇ……。」


「もう殆ど回ったしね。」

 フォークでラ̇ㇻベッカを巻きながら彼に話し掛ける。

 正直此の街も殆ど回って了ったと思う。


 他には、舞台劇場とかしかない。

 けど、事前に予約()る事が必要だ。突然押し掛けたとて観れる訳は無いだろう。


「博物館とかって有ったり()るのかい?」

「うん。確か有ったと思うよ。場所迄は分から無いけど。」

 僕は頷いた。そして右口角を上げて渋く笑顔を作った。

 場所は本当にうろ覚えでしか分からない。


「お、良いね。じゃあ次は其処へ行こうか。」

 彼はにっこりと笑って残りのラ̇ㇻベッカを巻き上げて口に運んだ。


「……リングさ。」

「何?」

 紅茶を飲み少し下を向いた彼が話し掛けて来る。


「引き渡してからは如何だったんだい?」

 顔を上げて物憂げな表情を()て居る。

 あぁ、其うか、そりゃ知りたいよな。其れから如何()て居たのか気に成るよな。


「……んー、まぁ、色々有ったけど……此れと云って不自由は()て無いかなぁ。

 けど、六歳頃がマズかったね、其の時が転生()て記憶が戻った頃だったから。」


「ほぉ?」

「思い返すだけで吐き気が()るから言いたく無いけど。」


「あぁ、其うか……。」

 彼は額に手を当てて抱え込んで居る。


「けど、投げすに遣ってくれてたと思うよ。

 じゃ無かったら、僕は此うのびのびと生きて無いもの。

 最近会って無いけどさ。」

 すると、彼は顔を上げて安堵()た様な表情に成る。


「後は何歳位だっけ。急に魔法が使え無く為ったんだよね。」

「……急に?」

 頬杖を突いて不思議そうに訊いて来る。


「うん。何故かね。」

「其んな事って有るのかい? 産まれた時からじゃ無くて?」

 耳を後ろに遣り


「うん。お陰で箒も乗れ無い。」

 箒を操縦()るのは風魔法が必須に為って来るからだ。

 別の魔法で操れ無い事も無いが如何せんコストパフォーマンスとやらが悪過ぎる。

 対価と合って居無いのだ。


「……あぁ、だから俺が操縦()てたんだね?」

 納得()た様に小刻みに頷く。


「そう。」


「ん? けど……其れだったらさっき箒欲しいって言ってたけど……扱え無いんじゃ意味が無いんじゃないか?」

 疑問に思った様で当然、当たり前の事を尋ねて来る。……けど其れと此れとは違う。


「蒐集だよ、蒐集。」

 ラ̇ㇻベッカをゆっくりと巻き上げて、其れ以上は言わ無い様に其れを飲み込んだ。

 分かって無いな、と思った。意味が無くとも物を集めると云うのは楽しいのだよ。

 其れを眺めるのも又一興。其れが蒐集の醍醐味と云う物だ。


「ふ〜ん……?」

 何だかにやにやしながら僕の事を見詰めて来る。

 急に恥ずかしく成って了う。もう、何だよ。


「ほら! 行くよ! 僕食べ終わったし行っちゃうよ!!」

 僕は紅茶を一気飲み為ると立ち上がった。


「あぁ! 待ってくれよぉ!?」




「えー……っと…………此処で合ってるかい?」

 彼は街内(かいない)地図を覗き込んだ後、僕の眼を不安そうな顔で見詰めて来る。


「うん、だと思うよ。」

 小指を出して頷いた。僕だって実際の位置は分から無いのだが、目の前に明らかに巨大で荘厳な建物が見えるのだもの。

 其れは白い石で出来て居るみたいで、灘らかな三角屋根を持ち神殿みたいな印象を受ける。

 多分此処に間違い無いだろう。


 僕は彼を先行()る為に階段を登った。両隣には炎が燃え上がる柱が有った。

 特に蒼いとかでも無い、普通の赤い炎だ。ちょっと残念。魔法世界なのに。


「ちょ、ちょっと待ってくれやい!?」

 後ろを見ると僕を追い掛ける様に階段の登って来たのが分かった。

 ……置いてく訳無いよ。


 僕は或る看板が目に付いた。


『ヒンカ゚ケアヤ ドャラ̈ゥ̻゛ヰ̇カ̊ヤィア マヤ』と書いて有った。

 ……つまり、今日は定休日、って事だ。


「えぇ……うそ……。」

 思わず其の場で項垂れて了う。


「まぁまぁ……しょうがないよ。又次の機会に行こう?」

「うん……。」

 僕は彼の言葉に頷いて落ち込みつつも諦める事に()た。




「……ただいまー。」

 僕等は其の儘帰って来た。

 博物館に行け無かったのは勿論残念だけれども、実の父と会い此う遣って出掛けられたのは楽しかった。

 未だ彼は帰る時間でも無いと云うので、後は何を()ようか。 


「あ、おかえり。」

 彼は本を読むのを止めて僕等を見て来た。


「……そろそろ夜に成るな。」

 窓から景色を一瞥し、彼は其う呟いた。


「んー……だねー……。」

 なんやかんや那処の街は遠いので、多分後三時間位経ったら夕日が沈んで了う。


「ちょっと早いけど夕食にでも()ようか?」

「……だね。」

 うん、其れが良い。


「何作るー?」


「んー……其うだなぁ……あ、どうせなら贅沢にガヴ̇ャードェにでも()る?」

「あー、良いね、折角彼も居るんだし。」

 何だか嬉しそうな彼に僕は同調を為る。ガヴ̇ャードェと云う料理は肉をがっつりと食べる料理なので、僕等獣人は想像()るだけで涎が出る。


「ガ̊ル̇ーニャーㇳ ゙って有ったか?」

 彼は台所へ行くと其処から覗く様に僕に訊いて来る。


「あぁ……無かった様な。……んー、狩って来ても良い?」

 立ち上がって彼に訊く。どうせなら体も動かして来ようじゃないか。


「え、今から?」

 表情が驚いた様な物へと一変()る。

 

「だいじょぶだいじょぶ、一時間程度で直ぐ帰って来るよ。」

 クローゼットから防具を取り出し、上着を脱いで其れに着替える。


「はぁ、まぁいっか…………じゃ、俺は準備とか()とくから。」

「え、良いのかい?」

「……無いのは本当ですし、言っても止めませんから。」

 台所へと顔を戻した彼はもう一回顔を出して呆れて居るの分から無いが


「ほぁ……。」

「あの、自分も着いて行って大丈夫かい?」

 好奇心からか其れとも見守りたい親心から自身を指して了承を求める。

 え、大丈夫か? 経験の無い人が行くのは危ない様な……。


「んー……じゃ、此れ着て下さい。」

「……え、けど、大きくないかい?」

「大丈夫です、中に魔法陣が有るでしょう? 大きさに合わせて伸縮()るので。」

 僕は着替え終わった。ふと彼を見ると自身の体格依り大きい防具を着ようと()て居た。

 彼のお腹は綺麗に六つに割れて居た。……え、嘘。彼って筋骨隆々だったのか? 

 見た目は只の細身の男性にしか見えない。


 其れに着るとキュルキュル、と不可思議な音を立てて彼の身長、体格にフィット()た。

 ヷルトは収納魔法から何かを取り出す。


「後、此んな物で申し訳無いですが、どうぞ。」

「あぁ、ありがと。」

 彼から片手剣を受け取るとくるっと素振りを()た。

 其れを見てか、ヷルトは台所へと戻って行った。


「……準備出来た?」

「あぁ。」

 彼は飄々と()た様子で其う言う。纏って居る雰囲気が変わった様に見える。

 此うして、僕等は親子で討伐へ出掛けるのだった。

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モチベに成りますので、宜しければ。


其れと感想も気兼ね無くどうぞ。お待ちして居ります。

良かった所、悪かった所、改善点等有りましたらどうぞお願いします。

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