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Rɹænↄɐɹƚↄɐtion/リンキャルケイション  作者: 鱗雲之
第二点五章『村に帰って』
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第百二話:ホルベへの報告とヷルトの過去話

正直、ホルベって名前付けたの後悔してます。

何故なら、助詞の『へ』を付けると『ホルベへ』に成って視認性が著しく悪いんですもの。


『ホルベへくる』とかにしたらも〜う最悪です。来る、と漢字にして置いて良かったと本当に思います。

 夕日も闇に沈み掛けて来たので、僕等は彼等の巣から離れて、ホルベへと遣って来た。

 一応、彼等の大将にお礼を言って戻って来たのだ。……手には未だ血がべったりと付いて居るけど。


 受付台には彼女が居て、僕等を見るなり安堵した表情へと変わる。


「あぁ! 良かった! 余りにも遅いから通報しようかと……!」

 又台から落ちそうな程乗り上げて胸を撫で降ろして居る。


「んで! 如何だったんですか!? ギュㇻ̇ナㇷ゛レ̈ェ̇討伐は!!」

 興味津々で僕等の顔を覗き込み、口を大きく開けて(わら)う。眼がきらきらと光って居る。

 早口で捲し立てられたので少々尻込んで了った。ヷルトは其れを気にせず収納魔法から奴の頭を出した。


「……ほい、此れだ。」


「きゃっ!! ……うわあ……凄い……。」

 一瞬、頭部だけの奴に驚いたものの、腰を屈めて其れをおどろおどろしくゆっくりと触れた。

 

 其の後、ホルベの外に出て部位毎に見て貰い、値を付けて貰った。

 今回は別に肉やら何やらは要ら無いので買い取って貰う事に()た。


 そうしてホルベの中に戻っていく。麻袋を貰った。中には硬貨が入って居るみたいだった。

 後で彼と折半()る予定だ。


「あの……ヹードの巣を調査()て来たので此れも受付出来ませんか……??」

 僕はポケットに入れたメモ帳を取り出した。僕の主観も色々と混じって居るとは思うが、多分資料に成るだろう。

 彼女は其れを取ってぺらぺらと捲り始めた。


「……えっと……此処からです?」

 其処には割と乱雑に書かれて居る。箇条書きで近くのヹードの巣が如何云う生活を()て居るか、群れの大きさは如何か、とか書かれて居る。

 ……流石に彼等と一緒の物を食べた、とは書け無かったけど。


「おぉ?? ……おぉぉ……わぁぁ……管理長! 此れ結構詳細に書かれてますよ!

 彼等が割りと文明的な生活を()て居る事には驚きますけど!!」

 彼女が彼のゴツい肩ドンドンと叩いて目を合わせる。


「……いや……けどな、今から受注は流石に無理だ。

 ギリギリ規約に引っ掛かるかも知れないしなぁ……。」

 はぁ、と彼が溜め息を吐き、目を閉じて首を横に振った。

 規約に引っ掛かる、と云うのは多分『依頼は受け付けてから()なければ成らない、依頼にサインを付けずにやっても依頼は受けられない』と云うのが規約として有るのだ。


 ……うん、やっぱり無理か。


「此れ、何時剥がす予定でしたか?」

「……えーっと……明後日。」

 大将は右上を見て親指と人差し指を折って居る。


「じゃ! 大丈夫ですね!!」

「お、おいおい……。」

 彼の制止も振り切って掲示板に貼って在る紙を剥がす。

 ふとヷルトを見ると何やら苦い表情を()て彼等を見詰めて居た。


「ダイジョブですよ、バレなきゃ良いんですよ、バレなきゃ。」

 彼女は左の口角を恐ろしい位に上げて、黒い笑みを浮かべて居る。

 ……おぉう、彼女此んな怖い顔を()るのか。意外だ。


「んじゃ! 此処にサインお願いします!」

 僕は手袋を脱ぎ台の上に在る万年筆を取って其処にサインを()る。

 

「じゃあ……そしたら多分此れが調査()たの参考に成ると思うので、一旦お借りしますね。

 此れを報告書に写して、明日にはお返しします。」

 彼女は其れを右手に持ってにかっとはにかんだ。


「はい、有り難う御座います……!」

 僕はお礼を言ってホルべを後に()る……。

 ……おっと、手袋を忘れて居た。血生臭い其れを着け僕等は帰路にへと着いて行った。




 家に帰って、久々にお風呂を浴びて、すっきりと()た僕がタオルを首に掛けて居るとヷルトから話し掛けられた。


「……あのさ。」

 彼が頬杖を突き、顔を下に向け、何かを考えて居る様に見えた。


「何?」

 僕は彼と反対側に座り、後ろの毛をタオルで拭く。

 顔を少し上げ、僕の目を何処か虚ろな眼で見て来た。


「ふと……思い出したんだけど……妻、さ。」

「うん。」


「本当に人間だったっけ、って。」

 彼は顔を埋めて大きく溜め息を()いた。首の辺りを不安気に触って居る。


「……如何云う事?」

 僕は彼の言って居る意図がいまいち理解出来無かった。

 魔物だった、とか、そもそも存在すら()無かった、と云う事なのだろうか。


「何か、何だろう。彼女、那あ見えても肉が結構好きでさ……。」

 彼はぽつぽつと話し始める。虚ろな眼で不気味な骸骨みたいに引き攣った笑いを()て居る。

 ヷールの朗らかな笑顔とは全く違う。


「ヹードの集落に行った時、俺、食っちゃったじゃん、生肉。

 ……妙に美味しかった。けど、不快感も凄かった。」

 彼は唇を噛んで居る。

 其うか、普通は不快感を感じるのか。……僕がおかしいだけか。


「彼女……殆ど焼いて無い様な生肉を時々食べる事が有って……。

 彼女曰くかなり火が通って居るのは好きじゃ無いとか何とか。」


「昔はまぁ其う云うもんかなぁ、って思ってたけど……。」


「でも、今思うと……那れ、って……本当に其うだったの? って。

 明らかにおかしいよなぁ、もしかして肉食獣人だったのかな……。

 俺も……今は其うだし。変身魔法でも使って偽装()てたのかな……。」

 其処迄言うと彼は顔を上げた。何処か疲れ切って居るみたいな表情を()て居た。

 成る程、彼はもしかしたら妻が其うじゃ無いのかと疑って居るのか。


 ……けど、僕は其の話に何処か突っ掛かる部分が有った。


「……んー、けど……獣人って……余り魔法の事興味無いしなぁ。

 特に、獣人国の人とか。変身魔法知ってる何て考え難いけどなぁ。」

 僕は彼の目を見た。淡々と事実だけを述べる様に。

 そう、獣人は意外と魔法の事に詳しくは無いのだ。


 僕のお父さんが良い例だ。那の話だって、彼が意識して治癒魔法を使って居る様には思え無かった。

 エカルパル国では、学園に入って或る程度は魔法の教養を教わるので、其処から興味を持つ獣人も少なくは無いが。

 少なくとも、自然の状態では駄目だ。


「え、じゃあガルジェって珍しいのか?」

 目を細めて僕の眼をしっかりと見て来る。


「うん、多分。僕を追っ掛けて、って感じだけどね。

 まぁ……自発的っちゃあ、其うだね。」


「はー……じゃあ、やっぱり其う云うヅィー族の女性だったのかな。」

 彼は顔を下げて細々と()た声で言った。

 声のトーンが著しく下がって居る。


「多分ね。」

 僕は頷いた。正直言って確証も無いけれど。

此の作品が面白いと思ったら評価をお願いします。

モチベに成りますので、宜しければ。


其れと感想も気兼ね無くどうぞ。お待ちして居ります。

良かった所、悪かった所、改善点等有りましたらどうぞお願いします。

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