第九十八話:撃破かと思いきや※
十一月十二日、話数を修正しました。
「ズィレ̇トヲ̇ゥ・フ̇ィ!!」
ヷルトが魔法を放った。奴は炎に包まれる。
けれど、奴は業火何かではビクとも為て居無い様だった。
包まれても尚のしのしと歩いて居る。
首を斬られても、炎に包まれても平気なのか。
轟々と燃える音の中にパチパチと魔法が発動為れる音が察こえた。
……ん? と云う事は此奴は魔法で身を守って居るのだろうか?
其れだったら此の異常な耐久性にも説明が付く。首から下が再生したのには納得が行って無いけれども。
長期戦に成ると謂われて居るのは其う云う理由なのだろうか。
「ねぇ、此奴もしかしたら今魔法効かないかもよ?」
「何だって!?」
「グヮルゲルウウウウウウウウ!!!!!!!」
奴は咆哮と共に魔法を放って来た。
上空から雨粒が降って来る。僕の頭上に冷たく、大粒の其れが落ちて来て居る。
くそ、雨か! 体温も奪われるし毛皮は重く成る。
さっさと如何にか為て此奴をやっつけなければ。
其れに加え、水のレーザーみたいな物を放って来る。
げっ、最悪僕の体が斬られるかも知れない。恐ろしい。
いや、ちょっと待てよ。僕、今冷属性の魔法が使えるだろ?
そしたら……。
僕は奴が其のレーザーを放って来るのを確認為る。
身を躱し其の攻撃を避けた。
えーっと……呪文は良く覚えて無いのだが……此れで良いんだっけ?
僕からのパチパチ音は察こえるが、奴からは其れが全く察こえ無い。
魔力が尽きたのだろうか。理由は分から無いが此れは絶好のチャンスだ。
「メヺ̇ㇻ̇リ̈・ヺ̇ウ!!」
けれど、呪文は発動為無かった。うんともすんとも言わ無い。
──間違えた!!
奴は止め処無く攻撃を放って来る。
今度は湖から竜巻を巻き上げ、水と泥と石を吹き上げ辺りに散らして来た。
余りの風圧に動けそうにも無い。地面に這い蹲るので精一杯だ。剣は紐が付いて居るので腕に引っ掛ければ取れる事は先ず無いだろうけど。
石が背中に当たるのを感じた。痛い。防具が無かったら骨折為て居たのだろうか。
爪を地面に引っ掛け、獣の本能其の儘に奴を睨み付ける。
「ヂ̇キ̊レ̊ン̊ㇰ̊゛・キ̊!!!!」
ヷルトが魔法を放った。竜巻がゆっくりと収まって行くのが分かった。
けれど未だ雨は殴り付ける様に降って来る。
僕はもう一回呪文を唱える。今度は、間違え無い様に。
「メヺ̇ㇻ̇リ̇・ヺ̇ウ!!」
すると、奴の上空から小さいけれども無数の氷柱が現れる。
頭上から尾にかけて氷柱が突き刺さった。
「グギヮウオ!!!」
奴の悲鳴が森へと轟く。僕と殆ど対称に居たヷルトは奴が怯んだのを見逃さず尻尾を斬った。
「ヴヮグアァァ!!!」
ヷルトが此方に向けて小指と親指を出して来る。
有難う、とか、良かった、って意味みたい。
僕も同じポーズを為ると奴に目線を移した。
「グギャオヴグヮオ!!!」
背中の襞をひらひら為せて居る。青かった其れは紫色へと変色為て行った。
すると、又パチパチ音が聞こえた。
……又か。なら剣で攻撃為るしかない!
僕は奴に近付いて剣を振ろうと為る。
けれど、奴は其の巨体の癖に案外機敏な様で僕の攻撃をスルッと躱す。
そして中途半端に再生為て居た其の尻尾で地面に打ち付けられて了った。
地面へと叩き付けられる。けど、此の程度なら何て事も無い。
僕はむくりと起き上がった。すると、目の前に奴の顔が見えた。
直ぐ剣を取って奴の眼目掛けて攻撃を為る。
歯車が唸る。
「ウギャオ!!」
剣は眼球を貫いた。自分で遣って置いて何だが、中々に痛々しい光景だ。
刃を戻し奴から少し距離を取る。
「ヒューテ̣ㇺメリ̈ア・ユ゛!!」
ヷルトが雷を放出した。光線の様な其れは奴に当たるかと思いきや、奴は首をさっと動かして攻撃を避けた。
僕の方にも飛んで来る。僕は身を屈めた。
と思いきや、彼は隙を狙って腹部を攻撃為た。如何やら隙を作る為の攻撃だったみたいだ。
よし、案外如何にか成って居るぞ。此の儘押し切ろう。
僕は右手を掲げて魔法を放った。
「ヅ̌ェㇻ̇ガヲ̇ゥーラ̈・ナ!!」
魔法の刃が奴目掛けて飛んで行く。
奴は攻撃を避けるだけかと思いきや意外な行動を取って来た。
「グヴゥゥゥゥゥゥ……!!」
姿勢を低く為たのだ。……何を為ようと為て居るんだ?
怒りを表すみたいに雷鳴が森へと落ちて行った。
奴は僕に向かってジャンプしようと為る。
……成る程。けれどな、其れは僕の得意分野なのだよ。
僕は同じく飛び上がった。奴の巨体が此方へと迫って来る。
顔を歪め、僕を殺そうと為て居る様だった。
奴が近付いて来た時、剣の長身を長くして脚の辺りを斬った。
「ヂ̇キ̊レ̊ン̊ㇰ̊゛・キ̊!!」
ヷルトが風の魔法を放った。僕はバランスを崩しそうに成る。
空中で一回転を為ると地面に着地為た。
「メヺ̇ㇻ̇リ̇・ヺ̇ウ!!!!」
僕は湖を凍らせた。水が途端に氷へ変わったもんだから、其の氷塊へと突撃為た。
バキバキ、と氷か骨かが割れる様な音が為る。
やや頭痛が為る。多分、湖全体を凍らせた所為なのだろう。
ヷルトはつるつると為る地面を諸とも為ず奴に近付いた。
確かめる様に眺めると鱗を剣で傷つけた。悲鳴は上げ無かった。
奴は其の儘絶命した。勿論、血をだらだらと流しながら。
おまけに雨が晴れ上がった。気持ち悪い位快晴の空へと戻った。
……もうそろそろ春だしな。
「おい! やったぞ!!」
僕の方を向いて大声で其う報告為て来た。
……待てよ。僕は耳をくるくると為せて辺りの様子を伺って居る。
何か、後ろから……いや前から……横からも?
四方八方から何かおどろおどろしい何かの声が聞こえるのだ。
一番近いのは後ろから。くそ、雨の音に隠れて分から無かった。
僕は剣を力強く握った。
何かがゔるゔると近付いて来て背後の草をがさがさと動かし、唸り声を上げて来た。
僕は身構え振り向いて剣を振った。
……けれど、其奴は僕の攻撃をあっさりと避けると目の前で体をうにょうにょと変化為せた。
何だ? 人か? 其れとも魔物が変化為たのか? 此処から更なる攻撃に悩まされるのかと思うと緊張為て来た。
「……何かと思えば、お前等か。」
けれど、其処に立って居たのはファルダだった。
紅い目、四本の腕、そして此の妙に気怠げそうな声。
僕は声なら正確に覚える事が出来るのだ。
多分、脳内に其う云うのを保存為る空間が有るんだと思う。
音を切り抜いて一ヶ所に整理整頓為る様な場所が。
奴等は草をガサガサと揺らして顔を覗かせる。
僕は奴等に包囲された様な形に成って了った。
ヷルトが目に見えて困惑為て居る。
「ガルオオオオオオン!!!!」
彼はやや仰け反り咆哮を為る。
其の光景は獣其の者だ。
奴等は其の声を聞くとそそくさと森の中へと帰って行った。
「……ねぇ。」
僕は彼の肩を叩いた。
「なんだ。」
帰ろうと為た彼は此方を振り向いた。
嫌な感じを察したのか面倒臭そうな顔を為て居る。
「巣、付いてって良い?」
ホルベの依頼にも有ったし、僕が彼等の生態を知りたいのも有る。
彼ははぁと大きい溜め息を吐いた。
「あー……うん…………。」
彼は頭の後ろをぽりぽりと掻いてしょうがなさそうに頷いた。
やった。此れで彼等の巣に潜り込めるぞ。
戦闘シーンはやっぱり淡白に為り勝ちな気がします。
難しいですね、ホント。
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モチベに成りますので、宜しければ。
其れと感想も気兼ね無くどうぞ。お待ちして居ります。
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