第九十五話:半同情
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「……んー、此れで良いかな。」
僕はお祭り騒ぎを終えて台所に立って居た。
那奴等、帰る帰ると言っても帰宅為せてくれ無かった。
「さっきから何作ってんだ?」
其れには参加為無かったファルダがリビングから話し掛けて来る。
彼が言うには、人間の臭いが強過ぎて嫌だったとの事。
前世なら絶対に納得出来無い理由だが、今は分かって了う。
実際に人間独特の臭いはキツかった。
「ラ̇ークㇻ̈。夜食には此う云うのが丁度良いでしょ?」
「夜食? 食っても良いか?」
彼が僕の後ろへと移動する。背後から話し掛けられた。
「だーめ、此れ僕等のじゃ無いから。
後で作るから、ね?」
僕は後ろから伸ばされた腕を掴んで静止為せる。
「……えー、くれよ。」
頬を膨らましまるで幼少期の子供っぽく我が儘を言う。
腹が立って居るのだろう。
「さっさと届けて帰って来るからさ?」
「ゔぅ……。」
彼は納得為て居無い顔を為る。
目を細めゔるゔると唸り声を上げた。
一定時間唸り続け効果が無いと分かった彼は六つ足の状態へと戻り床に体を付けた。
尻尾を枕にして不貞寝を始めた様だった。
「おーい、行くぞ。」
「分かった〜ヷルト。」
僕は其れの入った容器を布で風呂敷みたいに包み、もう一つ水筒を鞄に入れ、ヷルトの箒に乗って飛んで行った。
彼等に訊いた所、未だ作業を為て居る、と云う情報を手に入れた。
僕等は大きな家の前へ遣って来た。表札を打ち見遣るとギュルゲ家、と書いて有った。
僕が此処に遣って来た理由は半分は彼等を労って遣ろうと思ったからで、残り半分は彼等が僕を如何思ってるか訊きたいからだ。
打算的と言われてもしょうがないだろう。
僕は扉をドンドン、と叩いた。案外、扉はしっかりして居た。見た目は正直に言うとボロそうなのに。
中からドダドダと焦った様な足音が為る。
「あ、はーい、ブルゲさ……。」
中から出て来た男性は其処迄言って驚いた様に目を細めた。
「……えー……取り敢えず、入って……ね?」
「はい、すいません……。」
僕は一礼為ると家の中へと入って行った。
中では、十露盤みたいなのをコトコトと打って必死に計算を為て居る人達の姿が見えた。
あぁ其うか、此処ではパーソナルコンピューターは疎か電卓すら無いのか。
見て居るだけで大変さが伝わって来る。
中央のテーブルにはどっさりと置かれた麦穂が見えた。
多分麦を国にお金代わりに納税為るのだろう。何割持ってかれるのだろうか。
中世じゃ或るまいしとは思ったけれど、未だ未だ発展途上の文明だ。此んな事遣って居てもおかしくは無い気が為る。
「あの、大変そうなので此方に来たんです。
良ければ、此れでも如何ですか……?」
僕は其う言って布の結び目を解く。
「……だな。おい! 一旦作業を中止して夜食に為るぞー!」
男性が呼び掛けると周囲の人達は作業を止めた。
十露盤や紙を一旦其の場に放棄して此方に遣って来る。
僕は近くに置かれた其れを少し眺めてみた。……十露盤って、那んな物だったっけか?
やたら横に長いし、素材は石で出来て居る様に見えた。しかも、白色の玉、灰色の玉、黒色の玉、と三つ有る様だった。
何だっけか……たしかヨエンガェとか云う物だったっけ。
語源は珠とか綺麗な物を表すヨェガェラだったはず。
師匠に教えて貰ったときに使ったのはもうちょっと珠の粒が大きく、大きさも不揃いな奴だった。
何だか一種の芸術品みたいで綺麗だ。僕は目を奪われた様に眺めて居ると、不意に後ろから話し掛けられた。
「おい?」
其の言葉で意識は現実へと戻る。
「あ、えぇ、はい……。」
僕は少しきょどった様に浅い笑いをし、彼等の方を向いた。
彼等は全体的に見て矢鱈窶れて居る様に見えた。
……可哀想に。同情するよ。
「あー! うっめぇ〜〜〜!!!」
「ありがと、疲れが取れて行く様な気が為るよ。」
「昼から何も食って無かったもんな。」
彼等はラ̇ークㇻ̈を頬張って居る。
……嘘だろ、其んなにか。一体何れだけ頑張って居たのだろうか。
那奴等は那んな豪華にパーティー何か開いちゃったのにも関わらず。
僕を煽てる為だったのかも知れないが、仮に其んな事為れても僕は嬉しく何て無いぞ。豚じゃ無いんだから。
だったら、其う云う事終わらせてから為ろよ、と思う。
中央に置かれたラ̇ークㇻ̈が半分位に成った頃、彼等は下を向いて何かを話し始めた。
耳を出来る限り傾けてみるものの本当に声が小さく聞き取れ無い。幾ら猫獣人と云えど元々の音量が小さいと如何しようも無いのだ。
一体、何なのだろうか? 此方の心臓がドキドキと跳ねる。何か、変に緊張為て来た。
「「「「「ごめん!」」」」」
何故か、彼等は謝って来た。
「俺等何か変な理由で嫌ってたてたから……。」
「そうそう、別に何も悪い事為て無いのにね。」
「本当にごめん!!!」
彼等は口々に、本当に、申し訳無さそうな顔を為て言って来た、
あれ? 自分の為た事を都合良く水に流す様な奴許りでは無いのか?
「え、あぁ……。」
「今思うと完全に差別よね。」
「許してくれ、とは言わ無いから……何か、補填為しくれないか?」
何故、彼等は急に態度を改める事に成ったのだろう?
其んな人間直ぐ変わる者じゃ無いと思ったのだが、意外と変わる者なのだろうか。
「……あの……何で嫌ってたんですか?」
僕が訊くとやっぱり気不味そうな顔を為たけれども、リーダー格だろう大男が口を開いた。
「ボルドードル教って知ってるか?」
「ボルドードル教……?」
何だ其れ、全く聞いた事の無い名前だ。
ヴァルトが信仰して居るヴァンド教じゃないのか? 此処の村の人達は。
宗教は或る程度地域に依って決まって居る物だと思うのだが。
「此処等辺で広く信仰為れて居る一神教。」
「で……簡単に言うと、ボンドードル教ははっきり言って獣人に差別的な教団だ。」
「へ?」
彼が淡々と言った其の言葉に僕は声が裏返った。
測らずとも変な声が出て了った。
「ね、教典に『ヅィー族こそが至高で有り、獣人と魔物が獣が悪魔に魂を売って生まれた穢らわしい物』って書いて有るものね。」
「そうそう、『人間を討つべく穢らわしい物の指揮したのがカラカル種の黒い毛皮の闇魔術師カインドロフ』……って。」
「本当に、そっくりだったんだよ。教典の挿絵に入って居る物と。」
……何だ其の宗教は? まるでカルト教団みたいじゃないか。やや保身めいた感じにも聞こえるけれど。
って事は、其奴に間違えられたって事なのか? 何だか腑に落ち無い。すっきりは為無い。
「えっと……其の教典とか有りますか?」
もし本当に其うなら僕は確認為て置かないと駄目だと思う。
「うぅん、俺等は其の宗教を辞めたんだけど……其の時に焼き払われちゃった。」
「まぁあ〜〜〜アイツらにとっては悪魔に魂売ったと同然だからしょうがねぇよなぁ〜……。」
「其の頃数年後に世界が終わるとか噂されてたしね。」
「占い師も其う言ってたしね……。」
あぁ、此の世界の占いは那方の世界と役割が全く違うからな。そりゃあ信じ込むのも無理は無い。
そして、其奴が元凶だと言ったらしい。
復活だの何だのと言えば陽動為易い。
人を騙す奴が良く遣る手口そっくりだ。
「でも、其うじゃ無いって分かったんだ。学会発表で。
だからこそ、今此う遣って謝ってる。」
「そう、国に貢献を齎す様な人が悪魔な訳無いもの。」
「後さ、倒してくれたんでしょ? ヅィード。」
「え? 其の情報……何処で……?」
もしかして態々ホルベに赴いて訊いたのだろうか。
「……何だっけなぁ、何か、紅い目をした……淡黄色っぽい髪色を為た男性だったよね?」
「かなり口調悪かったけど何処からとも無く現れて其う言ったからなぁ。」
「半信半疑だったけどね。」
彼等は顔を見合わせて波騒めく。何だか楽しそうだ。
飽く迄此れは僕の予想に過ぎ無いのだけれども、其奴はファルダ何じゃないかと思う。
「でも今此う遣って誰に言われた訳でも無く労ってくれてるし。」
と彼は笑う。……いや、其んなんじゃ無くてな。話が為たかった口実なのだけれど。
「だから俺は神依り悪魔を信じる事に為た。」
「仮に本当に悪魔でも此んな優しい悪魔だったら其方の方が良いよね。」
「神様って重要な時に助けてくれ無いもの。
……あぁ、其れはよく分かる。必要無い時に限って奇跡は起こるのに肝心な時には奇跡なぞ起き無いのだ。
「……で……何か……何か為せてくれ。お願いだ。」
「んー……じゃあ……。」
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モチベに成りますので、宜しければ。




