表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/205

第九話:人々には挨拶を、そして知人には手紙を※

タイトルのまんまです。

題名のセンスが無いと我ながら思います。


七月十五日、鱗雲之式日本語表記が間違って居たので直しました。


……推敲をしなかったツケですね……。


十月十八日、改稿をしました。


一月十八日、改稿をしました。

「んん……。」

 キラキラとした朝日が射し込む其の部屋で僕は目覚めた。

 瞼を擦りふわーっと口を大きく開けて欠伸(あくび)をする。

 ご覧の通り、僕は朝が弱い。此処は昔から変わって無い。

 どうせなら、此処等も変わってくれれば良かったのに。


 取り敢えずは朝の用事を済ませよう。

 布団から降りて靴を履くとゆっくりと一階へと降りて行った。


 僕は居間に着くと、外に出た。

 昨日と同じ様にバケツに水を入れて、そして昨日使い切れなかった分の水は庭で樽を逆さにし、そして薪を ()べて早速箱に入った珈琲豆を取り出し、ミルで挽き始めた。

 ヸンテージの其れの様に、大きいハンドルが付いて居る。

 此れが格安の一般価格で売られて居るもんだから、何だか不思議に感じる。

 

 総て挽き終えて引いてみると、中には豆が良い感じに粗く成って居た。

 僕が(つま)まみ上げると其れはハラハラと落ちて行く。


 カップを出して、其処に紙のフィルターを入れる。

 金属の、円錐の様な物の上部を取った、つまりはドリッパーみたいな物だろう。

 粉末状に成った其れにフィルターを被せる。


 そして、粉を入れ、沸かして居たポットのお湯を其処に注いだ。

 湯気がもわもわと立ち上がる。


 何度か注いで止めてを繰り返して、僕は其等(それら)を取り外した。

 (かす)は脱臭剤に使えるから後で乾かそう。

 獣人だから、猫科とは云えやはり獣臭さは気には為る……。

 靴にでも入れて置けばきっと臭さは消えるだろう。


 僕はカップを持って本棚の有る書斎に行った。

 書斎の窓からは朝日が射し込んで居る。


 珈琲は朝に弱い僕の味方だ。一日の始まりは此れでないと。

 憂鬱は気分を払拭してくれる、其んな気がする。 


 さぁ、朝の用事を済ませようじゃないか。


* * *


 僕は心の中で「よし」と呟いた。

 取り敢えず色々と用事も終わった事だ、挨拶をしに行こう。

 其処迄歓迎されて居る様子では無かったから行っても察しが付いて居る。

 お陰で足が重い。如何して。

 足首の辺りに鉛玉か大きい分銅か何かでも括られて居るんじゃないか。

 其うなら、きっと此れは妖怪みたいな物だな。


 だが、其の鈍重な憂鬱を払拭してでもやらなければ成らない。

 引っ越した許りで挨拶も無しに居座るのは流石に宜しく無いだと思うのだ。


 僕は村の地図を頼りにして家々を回ってみる事にした。

 先ずは一番近くに在る其れなりに大きな家に挨拶に行く事にする。


 一番近いとは言ったものの、此処からはかなり離れて居る。


 そもそも、此処には家が少ない。田舎は何処でも此処でも其う成る運命なのだろうか。

 いや、家が少ないからこそ田舎、と呼ばれるのか。


 僕は地図に従おうと思ったが、全くと言って良い程道も途轍も分からない。

 何だ、此の地図は。重要な物が何も書かれて居ない。自分の家も何処に有るか分からない。

 一軒でも見付ければ其処から右回りに行けるみたいだが。如何すれば良いのだろうか。


 なら、音を聞き分けて探せば良いだろうか?

 其処等を当ても無くほっつき歩く依りはマシだと思う。

 注意して聞いて居れば人間の騒がしい声の一つや二つ、直ぐに分かるだろう。

 本当に、人間は煩いから。


 僕は玄関前に立ち、身構える様にして耳を左右にぐりぐりと傾ける。

 獣人なら此れ位出来て当然なのだろうか。


 其んな事をして居たら右の方から何やら家族の談笑声が聞こえる。

 けれど、『……あ………の…ま………さ……………て………い…ね』みたいな感じで何を喋って居るのかは分からない。其方に一歩足を差し出すと音が大きく成った様に感じる。


 次は男性の声で『お…ら…なん………な……さい……え………な……い……。』

 と言ったのが聞こえた。

 そしたら此方の……自分から見て右斜め前の方向で合って居るみたいだ。

 僕は其処に向かって走って行った。全速力で走ったからか、ものの数分で着いた。

 ぜえぜえはあはあと息を切らして居る。少し許り呼吸を落ち着かせて扉をコンコン、とノックしてみる。


「何か誰か来てるみたいよ?」

「え、本当?……って()の悪魔じゃないか。

 噂をすれば直ぐにやってくるとか……。」

 耳を済ますと男性と女性の其の様な声が聞こえる。夫婦だろうか、

 ……あぁ、嫌な予感しかしない。


 僕は耳を何時もの位置に戻して成るべく其の会話を聞かない様にする。

 いや、聞きたく何て無いや。


 少し待つと家主らしき男性が出てきた。


「どうもこんにちは、此処の村に引っ越してきたカインドロフ・クリングルスです。

 あ、そうだ……これ……。」

 成るべくニコニコとした笑顔を作って、鞄から『つまらない物』を出そうとすると、彼は何故か青ざめて僕を睨み付け、


「還れ‼︎ この悪魔猫が‼︎」

 と言ってナイフみたいなのを投げ付けて来た。

 間一髪で避けると、彼は舌打ちをして家の中へ帰って行った。


 おまけに、僕に向かって人差し指と小指を立てて僕は侮辱して来やがった。

 此れはファックサインみたいな物。其れを人に向けてやる何てはしたないと云うか、学が無いと云うか……。

 正直、ブチ切れそうだ。血管の一本や二本、切れてもおかしくない。

 

 でも、其の怒りも一瞬で消え去る。そして、肩をがっくりと落とした。

 ……うん、だよな。予想はして居た。もう、本当に馬鹿馬鹿しい。怒って居た自分を恥じる。

 けれど中には僕に友好的な他人も居るかもしれない。

 一抹の望みに総てを懸けて僕は足早に次の家に向かった。

 やはり、耳を頼りにして。


「すいません……。」

 家の扉をドンドンと叩いて中の人が出てくるのを待つ。

 勢いよく、躊躇(ためら)いも無くガチャッと開けられたから好意的なのかと思うと、


「モトㇰ̊・アイ‼︎」

 と詠唱して炎を放って来た。


「ガ̏ロ̇ニ̇ェク̊ㇺヷ・スーヂ‼︎」

 咄嗟に半透明の青い壁みたいなのを出し其の攻撃を受け止める。

 防御魔法、習って置いて良かった。


 僕は身の危険を感じて逃げ帰る様に、いやもしかしたら誰かを求める様に、次々と家に向かって行った。

 ……けれど悲しきかな。


「死ね!!!」

「村から出ていけ!!!」

「穢らわしい悪魔猫め!!!」

「くそったれが!!!」


 大体が此んな反応だった。何故か敵意を剥き出して居る。

 中にはさっきみたいに物とか魔法を投げ掛けて来る人も居た。


 他は払えない様な額のお金を出せとか言ってきたり、若しくはそもそも出てこなかったりした。

 最後の方何かは惰性だ。惰性。何かに取り憑かれたかの様に家々を回って居た。


「はぁ……。」

 耳はペタンと倒れて筋肉に力が入ら無いし、尻尾はダランとして如何しようも無い。


「おいおい見ろよ‼︎ あそこに悪魔が居るぞ‼︎」

「ホント⁉︎ 死ねーー‼︎ クソ猫ー‼︎」

 子供達からも此の有様。良くまぁ、人の事を簡単に侮辱出来るよな……此処の人達は。

 見た目五歳児程度で此れ。一体何んな教育を受けて来たのだろう?

 碌な子に育つ訳が無い。蛙の子は蛙と良く言った物だ。


 僕は其の儘家へと帰って行った。

 もう、彼等と話す気力何て更々無い。有る訳無い。

 此う云う状態を灰心喪気(かいしんそうき)とか云うのだっけか。

 もう、いいや、歩み寄るだけ無駄だ。


 * * *


「……ん……ふわあぁ……。」

 僕は伸びをして口を大きく開けてノロノロとベッドから出る。

 昨日は夕飯をさっさと食べてへタレ込む様に寝た。お陰で気持ちがすっきりした。


 僕が幾らアプローチしても何如にも成らないので有れば、もう如何しようも無いな。

 取り合う気すら無いので有れば僕に出来る事は殆ど無い。


 本当はこの村から出るのが一番なのだが、お金も無いし其んな事も出来ない。

 当分はお金を貯めなければ行けないみたいだ。

 何年後に成る事やら。


 何時もの服装に着替えて井戸に水を取りに行く。

 魔石に書いた魔法を発動をしてバケツに水を入れる。


「……おっもい‼︎」

 思わず叫んでしまった。未だ声が出るだけマシなのだろうか。

 本当に転移魔法が有って良かった。


 僕は水を例の容器に入れ、外に行くと薪を置く場所が有ったのでそこに薪を置く。

 薪置き場は僕も買ってきたからその隣に置いとこうか。

 何故か此れだけは付随して居たから持って来る必要、無かったのだが。

 魔法陣から其れを出して、丁寧に隣に置いた。


 けれどこれ、一人暮らしで此んなに薪を置く場所、要るか?

 絶対に要らない。完全成る無駄だ。

 もしかしたら、二人、三人暮らしに成るかも知れない。

 結婚でもしない限り無理だろうけどさ。


 なら、次は手紙を書こう。

 朝食をささっと食べて万年筆を出し、早速手紙を書き始める。


 先ずは師匠からだ。師匠は僕の育て親。だからだろうか、一番書き易い。

 一枚の紙では全然足りない位に。溢れん許りに文字が流れ出て来る。

 僕はもう一枚紙を取り、其の儘、同じ様な筆記体で書いて行く。


 手紙をみると、何でか三枚も書いて居た。ものの数十分で。

 少し、汚い字だろうか。此れで本当に気持ちは伝わるだろうか。伝われば良いな。


 次は……ガルジェ宛の手紙でも書いて行こう。

 ガルは僕と一緒に師匠と一つ屋根の下で暮らした事も有る仲だから此れもさっさと書ける筈。

 ……と思ったが、そうは上手く行かない。


 書きたい事は一杯有る筈なのに頭から文字が手から出て行かない。

 何でか、自分の万年筆が文字を走らせてくれない。

 学園の事……生活の事……何から訊けば良いのだろうか? 

 結局、無難な言葉を綴るだけに成ってしまった。


 次は──


 * * *


 ふと窓を見ると夕日が沈んでて居た。

 空は少し陰りピンク色みたいな空に成って居た。


 僕は筆を下ろし、今回は昨日入れなかったお風呂に入ってみる。

 その為には先ず水を入れなければ。

 

 樽に入って居る水だけで足りるだろうか?

 分からない。取り敢えずは、水を入れてみる事にする。


 入れてみた結果、やはり足りなかった。

 お風呂の半分位だけしか水が入って居ない。


 つまりは、

 

 ……もう一杯入れて来る必要が有る、と云う事だ。


 しょうがない。持って来るしかない。でないと、お風呂には入れない。

 自分の何処かに眠る大和魂が風呂に入れ風呂に入れと強頼(せが)んで来るのだ。

 なら、やるしかない。


 僕は扉から出て、バケツを持って行った。


「あぁ……。」

 僕はバケツに入った水を入れた。筋肉がピクピクと動いて居る。

 入る前から満身創痍だ。次はお湯を沸かさなければ行けないのに。


 僕は家の裏へ行くとそこにお湯を沸かす炉みたいな物が在って、薪や着火剤を入れる事が出来る。

 火の調整をしないと熱くなってしまうので、穴が空いて居る棒の様な物で調節をする。

 其う云えば、竹とかって生えて無いのだっけ? 此処は。


「おい、悪魔が悪事を働いてるぜ‼︎」

 隣を見ると子供が魔力のオーラを放って居た。

 背後に浮かぶ炎みたいなのが轟々と燃え盛って居る。

 ……不味い、()の感じは何か魔法を放とうとして居るんじゃないか?


 子供の内は魔力の制御が難しいのだ。

 だから、時に()んでも無い大暴発を起こす事が有る。

 特に、僕の様な紅目は。其れを魔力暴走、とか云ったりする。


 増してや、此の年齢で着ける様な腕輪の様な物すらして無い。

 掌には少し(ばか)りだけれども炎が浮かんで居た。


「……止めて!」

 僕は青っぽい縄を出し、彼の右手に縛り付ける。

 彼は吃驚したのか魔法の発動を止めた。


 此の縄には魔力を奪う効果が有る。正確には、外に出した魔力を吸収するだけだ。

 彼の炎はみるみる内に小さく成って行った。其れを確認して僕は縄をパッと消した。

 其れは跡形も無く消えて行く。


 彼は其の場にへたり込む。

 痛かったのか、顔をぐちゃぐちゃに歪ませ、今にも泣き出しそうだった。

 いや、少し泣いて居るかも知れない。……すまない。


 其んな彼に僕は近付いて、座って目線を合わせて両腕を両手でポンと叩く。

 真面目な顔をして彼に話し掛けた。

 

「あのね、君熱魔法放とうとしたでしょ。どうすんの此処が焼け野原に為ったら。

 家は少ないけど此処は木は多いんだからね。あっと云う間に燃え広がるよ。

 魔法は時と場所を選んで使わないと駄目。少なくとも、人に向かっては行けないよ。」

 僕はそんな説教(まが)いの事を言って居た。彼はぶるぶると瞳孔を震わせて居る。

 本当に危なかったもの、言わなきゃ行けない。

 此処で何も言わずに放置する大人とか、其んな事有っては成ら無い。


「う……う……うわあぁぁぁぁ‼︎」

 彼は泣きじゃくって、そして全速力で走って、家へと帰って行ったみたいだ。

 恥ずかしいのか、それとも怖気付いたのかは知らない。知る由も無い。


 何だか後々面倒な事を引き起こしそうな予感がする。

 でも彼が怖がったのも分かる。悪魔とか云われてる奴に怒られたのだもの。

 ……考えるだけ無駄か。お風呂に入ってさっぱりしよう。


 僕は良い感じの火加減に成ったらふーふーと息を掛けるのを止めて家に戻って行った。

 

 服を脱ぎ、桶の様な物でお湯を掬い体に掛ける。

 そのまま石鹸で出来るだけ丁寧に体を洗い、お風呂に浸かった。


「〈極楽極楽〉……。」

 お風呂に頭だけを出して浸かると、全身の毛穴から疲れと云う疲れが出て行く。

 其う、其う、此れだ。あぁ此れだ。独りしか居ない部屋で浸かる此の感じ。

 久々だ。此の国ではお風呂文化は廃れて居ない。然し、其れは銭湯の様な物しかない。


 だから人が沢山居る所で入らねば為らない。嫌いでは無いが、やはり此方の方が良い。

 其れと獣人は毛が浮くからと云う理由からだろうか、深夜帯にしか入れない。

 獣人専用の銭湯屋も少ないしな。好きな時間に好きに入れるのが何れだけ嬉しい事か‼︎


 シャンプーやリンスが有ればもっと良かったと思うのだが、此方の世界で其れに相当する物が無い。

 そもそも髪なんて無いに等しい僕にとって本当に必要なのか、と云う疑問は残るが。

 禿げて居る、と云う意味では無い。そもそも髪と体毛の区別が無い、と云う意味だ。


 ふと湯面を見ると毛が浮いてしまって居る。此れは明日掃除するのが大変そうだ。

 水を抜いたとてきっと浴槽に毛がへばり付くのだろうな。獣人だからしょうがないのか。


 この浴槽は木材で出来て居るのだが、僕が頭を乗っけて居る方に何か蓋の様な物が有る。


 ……一体、何だろうか此れ。使用用途が全く以って不明だ。

 其れを開けてみると此処から那の炎が見える。

 確認用なのだろうか。


 あぁいや、違う、此処から火を消すのか!


 そうして十五分位入った後、寝間着へと着替えてその日は眠った。勿論、火は消して。

 身体の芯からほかほかとして居て、昨日依りか良い眠りに就けそうだ。

此れは長いけどそこそこ良いかもしれません。

でももうちょっと描写を縮められたら良いな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ