88、共和国ハイクタ到着
共和国ハイクタ
様々な種族が共に協力して暮らしている六大国の一国。同じ種族で馴染めない者や故郷から追い出された者等も多い。そんな者を拒まず、全て受け入れる国だが不思議と犯罪率は低く街並みも綺麗なのだ。
その理由は冒険者ギルド本部にある。世界各地の隅々、王国から辺境の村まで置かれた冒険者ギルド支部、派出所は独立しているが月に一度各地のギルド支部代表が本部に召集され情報交換や危機管理等の話し合いがされる。犯罪者等も各地で賞金首にしたりと積極的に互いを見張り、監視しているのでその手本となるべき本部の力の入れようが半端無いのだ。
ハイクタ代表は一般選出される。冒険者ギルドから計五人の代表が選ばれその中から更にリーダーを決める。それがハイクタ代表であり、冒険者ギルド本部マスター四人を取り仕切るグランドマスターである。
ハイクタを治めるリーダーは4年毎に選出されるのだが、当時若干20歳で選ばれた冒険者ギルドの最年SSSを認められたズィーロ・マナテルという青年だ。この青年は既に三回目のリーダーを勤めている凄い人物だ。が、32歳で顔立ちは整い強さも人望もあるのだが何故か女性に縁がなく未だ独り身だ。
反対に男性にはとてもモテる。本人はいたってノーマルなのだが何故か男性の告白は途切れたことがない。
「旅人に説明できるのはこれくらいだな。紹介状は見せて貰ったから直ぐ許可がでるだろう。街に入ったら真っ直ぐ進め、そうしたらギルド本部が見えてくる。ハイクタには王城はないがギルド本部が代わりなのでそこにリーダーがいるから、もう一度この紹介状を見せるようにな。」
ハイクタに入るための関所の建物の一室でハイクタの兵士?見た目は荒くれた冒険者だが偽造不可の身分証明を首から提げているので身元は確かだろう。に説明と指示を受ける。
「はい。ありがとうございます。」
返された紹介状を仕舞い直すと兵士?に送り出された。
「......................。」
(護衛君3号が案内したがっている。)
「まだダメだよ。先にハイクタのリーダーに会わないと今は滞在許可がギルド本部からしか出せないみたいだから行かないと。」
「ハイクタに入れるのを許されてるのは戦力として使う為だろ?いざとなったら俺たちにも参加する様にって事だよな?」
「そうそう。街中に侵入されないようにしてるけど確認できる限りでは危なそうだからね。勝手に動いてモンスター達の動きが変わったり状況を正しく把握しておくには、大まかにでもいいから管理していた方があちらとしては安心でしょ。」
「我らは勝手に動いて色々事件を起こした記憶があるからエルノラに迷惑を沢山かけた。だからその理由はわかる。」
「....一人、わからないやつもいたけどね。」
「................。」
「あれは次元が違うのだ。」
「....確かに。」
「ああ、あか...もごもご―――」
ラピスがリゼルの口を塞ぎ続きを言わせない。苦笑いしながらリゼルにシッと人差し指を唇に当てた。
街の中に入ると大通りが一本真っ直ぐに延びその先には竜種モンスターのイラストに剣が交差し魔方陣が中央に描かれた巨大な壁画が砦の壁を飾っている。
離れた場所からでも大きいと感じる砦は壁画以外はシンプルで華美さが一切無い。どっしりとした重厚間は防御に特化した造りなのだろう。勿論赤色は一切ない。まだ傷は癒えていない様だ。
「そこの可愛い嬢ちゃん!名物の貝焼きはどうだ?うまいぞ~!」
「こっちに寄って行っておくれ~、甘い果実が沢山あるよ!」
緑の国には道具、薬草、スパイス、宝石、布地等の店が多かったが共和国でら食べ物関連ばかりだ。あちらこちらからお腹を刺激する香りが漂っている。
「な、なんて誘惑の多い街なの。早くたどり着かなければ行けないのに、あ、足が離れない!」
「あー、はいはい。よいしょっと!」
食べ物の誘惑にあっちこっちフラフラして仕舞いには動かなくなった私をリゼルが「後でな~。」と重さを感じさせずにヒョイッと肩に担ぎ上げ俵運びで先を急いだ。
そのあとにハルルとラピスが続き残念な者を見る目を向けてくる。そんな目で見るな。食べたいんだよ~~~。
冒険者ギルド本部は入り口の大扉が開け放たれた先の千人程収用できるホールには側面が掲示板になっていて依頼書がランク別に張り出されている。ホールの先には受付があり依頼、受諾、報告、報酬受け取り等に分けられている。
その受付から更に左右に別れ2階へと階段を登ると左側の階段の先には武具屋、道具屋、魔石屋、薬草屋がならび鍛冶屋、パーティーの仲間を集う集会所、冒険に必要なものが全て揃えられるようになっている。
私達が向かうのは反対側の右の階段。登りきると今まで石段だった階段から黒い斑点が付いた茶色い薄目の絨毯が引かれた廊下につく。そこから先に銀で装飾された黒い扉があった。扉の両端にはフードを深く被った魔術師と黒髪をオールバックに襟足で結んだ片目に古傷のある男が帯刀して扉を護るように立っていた。
「お前達が煌国からの許可証を持ってきた者達だな?」
男らしく低い、だが艶のある声が警戒心を隠さず発せられる。片目の男は喋っていない。声の主は魔術師の様だ。
「そうです。」
軽く答えると片目の男が扉を二回ノックし中にいる人物へ声をかけた。
「ズィー、来たぞ。」
見た目通りの渋い声でした。良い声してますねお二人さん。
扉の向こうからカツカツカツとブーツの鳴る音が近づきガチャリと開く音がした。
扉が少し開かれて現れたのは精悍な顔つきの濃紺色の艶やかな肩までの髪を片側に流した男性だ。こちらを見ることなく回りをキョロキョロと見る。私の後ろにいるリゼル、ハルル、ラピスを見ると視線が合う前にバタン!!と扉を閉められた。
「ズィー!客だ!」
閉められた扉をドンドンドンとノックして早く出てこい!と促しているのは無口?っぽい片目の男だ。
「はぁ、しかたない。すまないがお嬢さん以外はここで待っていてくれ。」
魔術師の男が仕方ないとばかりに肩をあげお手上げといった感じだ。
「すまんな、彼女がパーティーの代表だろう?奴は男が苦手でな...理由があるんだが安全は保証するので俺と一緒に隣の部屋で待機してくれ。待つ間、茶でもいれよう。」
三人がこちらに視線を向けるので軽く頷くと片目の男と隣の部屋に入っていった。と同時にピアスの白がリゼルに着いていったのが感覚でわかった。
「君は恐ろしいモノを飼っているな...。」
ボソリと呟いた魔術師をニコリと微笑んで誤魔化した私は少し感心した。白の気配を感じる何て只者ではないと。




