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Good luck in my world  作者: エンリ
第三章 緑の国グレーベ~煌国ノスアレア
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80、煌国ノスアレア到着

あれから突っ走るリゼルに追い付き、モンスターを追いかけても逃げていく状況を説明して落ち着かせ、その代わりハルルに強化魔法を徹底的に教わる事になり、レベル上げは一先ずお預けとなった。


幻惑の森も終わりが見え視界が開ける。

森の外にはのどかな街道が現れその先には結界に守られた広大な街とそびえ立つ神聖な大神殿と双子のように並び繋がれ併設された清廉な城がある。

だがあの神殿を覆う空高くそびえる巨大な聖樹は見えない。


白がハルルを威嚇しながら舞い降りてハルルに引っ付き出された指をガジガジと囓る。


「あれが、煌国ノスアレアか。ここからなら半日で着きそうだな。」


リゼルが街道へと踏み出し、ハルルは槍を空間に収納する。


「ラピス、久しぶりに会う。楽しみだけど人が多そう。イタタ、ゴメン、白許して。」


白に引っ掻かれながらも不安なのか私の後ろへと下がりポソリと告げた。ご立腹の白を軽く撫でピアスに回収しハルルに提案する。


「不安ならこれを付けとく?」


アイテムボックスから[調整の腕輪(改)]を出す。

これは10段階で設定出来る、力を抑制する腕輪だ。ハルルの不安は人を力で傷つけたり物を勢い余って壊さないか、なので私監修の腕輪を渡す。ちなみに改良前に渡した腕輪は三日で壊れた。


「エルノラがいない時が不安だから付ける。.....あとパーティーに入ってるなら心話がまた出来るか試したい。」


ゲーム時では心話も画面の文字だった。ハルルたちはサポートキャラなので決められた言葉がパターン別で複数用意してあるかと思っていたが個性的だった。キャラではなく人だったのだから今にしてみれば個性的で当然だ。


「わかった。」


だから実質、彼らとの心話は初めてなのだ。

ゲームで出来ていても、今の現実ではまだわからない。一応スキルである[以心伝心]は全員持っているので出来る筈だ。


《....聞こえる?ハルル?》


《聞こえてる....前から使っていた筈なのに初めてエルノラと会話したみたいだ。不思議。》


《そうだね、不思議だね。パーティーの効果で離れていても使えるから、寂しく無いでしょ?》


《一番は側にいるのが落ち着くけど、うん。これならまだ寂しくない。繋がってる。》


ハルルのクールビューティーが柔らかく目元を緩め微笑む。とても麗しい微笑みだった。



「俺も使いたい....。」


ジトッとした目でリゼルが目を向けてきた。


「リゼルは[以心伝心]持ってない?」


ハルルが、首を傾けリゼルに問いかけるとリゼルは気落ちして頷く。


私はリゼルの手を取り、向かい合って目を瞑る。


「試してみよう。目を閉じて私を思い浮かべて、何か繋がりを感じる?」


リゼルが目を閉じるとハルルが私とリゼルの肩に手をのせる。


「我も手伝う。....リゼル、エルノラ、目の前に肉がある、どうする?」


《《調理して食べる。》》


《《あっ..!?》》


「できたな。」


目を開けた私達にハルルはニヤッと珍しい笑みを浮かべた。


「ハルル、エル!ありがとな!これでナトが出来るようになれば完璧だな!」


《出来ますよ。》


「「「!!!」」」


心話で聞こえてきたのはナハトの声だった。


《いきなり消えてしまってごめんなさい。黒に叩き起こされて僕の状況は理解できました。探ろうとしてたんですが、余りに誰も来ずで暇なので黒に心話を教えて貰ったら出来たんです。まさか同じ時に同じ事を考えて、今繋がるとは流石に思いませんでしたけど。》


《我も驚きました。パーティーレベルが思ったよりも上がっていたようですね。ナハトはマスターの事を信頼しているのですぐに使えるようになりましたよ。》


黒が素晴らしいですねと感心し、ナハトを優秀だと誉めた。黒とナハトは思ったよりも相性がいいのかもしれない。


《僕達はどうも放置されているようなので、このまま様子を見がてら脱走して情報収集をがんばりますね!》


どこかウキウキした口調に危険は犯さないようにと注意しておく。


《黒と一緒に気を付けます。ではまた連絡します。....ここから外に....近く...串焼き.》


心話を終わらせる際に串焼きと聞こえたが、情報収集の為に外に出る方法を見つけたのかもしれない。


《良かった、元気そうだな。》


「確かに良かった。リゼ、近くにいる時は心話止めようね。人に聞かれたくない時や、遠く離れている時に限定した方がいいよ。あと知らない人のまえでは心話が出来ることは言わないこと。」


「他人からみれば目で会話してる怪しいやつにみえるか?無言で怖いのか?」


「作戦を立てたり色々役にたつ、怪しいやつにみられる。だから気づかれないようにするのが普通。あと、下手したら心の声が駄々漏れ。」


「心話しながら普通に会話も出来るといいね。」


「俺、そんな器用な事を出来ないかも。」


リゼルは口をひきつらせながらも頑張ってみると口にした。



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


だいたい半日程歩き続けた頃、煌国ノスアレアに着いた。


「止まれ!」


門兵達に囲まれ持っていた槍を向けられる。兵士達は皆エルフと呼ばれる種族だ、色白で長い耳をした若者が多い。体の線は細いが筋肉がついているようだ。


私達は抵抗しない意思を見せて手を上げる。


「私達は只の冒険者ですよ。」


ギルドカードを提示するとまだ疑いが晴れないのかそのまま詰所へと連行される。


「ここ数年、幻惑の森からこちらに来た者はいない。翼ある種族ならわかるがお前達は違う。Aランクの冒険者ではあるが三人で抜けられる様な森ではない。お前達!魔物ではないか?」


兵士の一人が私に近付き顔に手を伸ばそうとしたが....


バシッ!!


私に手が触れる前に白い影が前を遮り風と共に兵士を吹き飛ばした。


バサリ バサリ


軽い風が起こり兵士達が私達と距離を取る、詰所の中は風で舞い上がった紙類が散乱して床に散らばっている。片付けが大変そうだ...。


私の前には白い翼が壁になり兵士達の様子が見えないが、御使い様がお怒りだ。、御使い様が降臨なされた。とか聞こえてくる。


「...........」


白い翼の壁から腕を横に振ったのが見えた。

兵士達が急いで詰所から出ていく。その顔は畏れおののいていた。


クルリと白い翼の持ち主がこちらを向くと同時にバサリと白い翼に体ごと覆われた。


「迎えに来てくれたの?」


白銀の髪が上下に揺れシャラっと音がしそうなキラキラしい髪だ。閉じたままの瞳をこちらの後ろ側に向けると首を傾ける。

神秘の衣を戒めの組み紐で留めた西洋風の法衣を纏った姿は翼も相まって確かに御使い様だ。


「....?...........?」


「そうだよ。ハルルはわかるでしょ?もう一人は新しい仲間のリゼルっていうの。私はリゼって呼んでる。あともう一人新しい仲間がいるのナハトっていうんだけど、魔国バルデナに黒と一緒にいるからその時にまた紹介するね。」


「...........?」


「ああ、白は....この子。黒はこの子の双子で今はナト....ナハトのことね、と調査してる。」


ピアスから白をナデナデしながら召還し、見たことあるでしょ?と聞いたら頷いた。


「....よく言ってることが分かるな。」


「!?、彼はラピスっていうの。私と....師匠の仲間で彼は神聖騎士で治癒術師でもある、癒しと護りのスペシャリストだよ。彼の言葉は小さいから風魔法で耳元に音を届けて聞くんだよ。」


「....風魔法、耳元に届けるイメージで音を拾う。」


ぶつぶつ言いながらリゼルが魔力を使い風魔法を操る。


「.....、..........。......................?」 ( こんにちは、新しい仲間。私はラピスというのだがリゼルでよかったか?)


「おお!聞こえた!俺はリゼルだ。リゼルでもリゼでもかまわないよ。よろしく頼みます。」


リゼルは握手しようとしたがラピスが羽を広げたので握手をやめ頭を少し下げて身を任せた。ラピスは少し驚いたようだがフワリと口元を綻ばせリゼルを翼で包み込んだ。


天使族と他種族との正式な挨拶が真面に出来るとは以外だったのだろう。翼がないものは身を任せ頭を少し下げるまでが最大の敬意を払った挨拶なのだ。

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