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Good luck in my world  作者: エンリ
第三章 緑の国グレーベ~煌国ノスアレア
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76、トルネのお礼

カントリーチックな可愛らしい建物の宿屋に入ると出迎えてくれたのは獣王国冒険者ギルドで会った熊親父だった。


「あれ?ベアードさん?」


ナハトが熊親父を見て、いつ着いたんですか?と尋ねている。


「いらっしゃい、お客さん。ベアードと会ったのかい?俺はベアードの双子の兄でテディだ。」


「《時空神魔法:時間停止20秒》」


全ての動きが止まる。


それを確認してやることは1つ。


私は笑い転げた。ベアードの分もついでに腹筋は崩壊した。...20秒間


◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「エル?顔が赤いが大丈夫か?」


「人混みに少し酔ったみたい...ははは。」


何事もなかったかのように動き始める時間に私の顔色までは考慮してなかった為リゼルに心配されてしまった。


「テディさん、お客さんじゃなくてすみません。緑月亭をご存知でしたら道を教えていただきたいんです。」


ナハトが理由を説明して手紙を見せる。

それをみたテディは頷いて髭もじゃの顎に手を当てた。


「グレーベは宿屋が多いからな、聞いた方が早い。坊主は頭がいいな。それに、緑月亭は紹介制の本部御用達だ。よし、案内してやるよ。」


テディは熊親父顔に正反対の可愛らしい青いレースのついたエプロンを外すと受付に渡す。


受け取った受付は蜂蜜色の髪を両サイドに緩く三つ編みをした可愛らしいおっとりとした美少女だった。


「ハニー、お客さんを案内してくるから少し頼む。すぐに戻って来るからな。」


「はいはい、いってらっしゃい。あなた。」


にこやかに手を振りエプロンを受け取った美少女はテディの事を()()()と呼んだ。


......犯ざ「言っとくが、俺たちは同い年だからな。ベアードに会ったなら同じ様な事を感じたんだろ?」


目が口ほどにものをいっていたようだ。気を付けよう。


「まあ、慣れてるさ。ベアードも上手いこと美人の嫁さんを手にいれたからな。何度犯罪者扱いされたかわからん。あんたは口に出してないだけ優しいよ。少しでも違和感がないように宿屋を可愛らしくしたり、エプロンもハニーとお揃いにしたんだがな...。」


軽く笑いながらテディが哀愁を漂わせているので正直に話す。


「宿屋はともかくレースのエプロンは凶悪さが違う意味で加速してます。可能ならばテディさんの髭を剃り、髪をもう少し整える方が凶悪さが和らぐと思いますよ。」


熊親父の外見で目つきもあまりよろしくないテディが自分ではなく回りだけ可愛くしても凶悪さが増すどころか別の凶悪さを産み出してるよ。とは言わずオブラートにちゃんと包んだ。


リゼルとナハトとハルルが頷いた。


「小さい頃から目つきが悪いと言われて髪と髭を伸ばしてきたんだが...一回切ってみるか。」


髪と髭は勝手にカールがかかり伸びすぎないようにはしていたが放置していたらしい。ハニーさんは(ハニー、ダーリンのハニーではなく本名らしい。)内面に惚れているらしく外見については特に気にしていないようだ。


テディに案内されやって来たのは少し外れた通りにある敷地が広い平屋建ての武家屋敷のような宿屋だった。看板には緑の三日月に金の縁取りがされているイラストが描かれていた。


「ここだ。そこの入り口から入ってすぐに受付があるから手紙を渡すといい。」


テディが丁寧に教えてくれた。とても良い人で名前で笑ってごめんなさいと心で土下座しておく。


「ありがとうございました。助かりました。」


ペコリとお礼すると軽く手を振った。


「かまわん、次は俺達の宿に泊まりに来てくれ、料理が自慢だからな。アドバイスありがとよ。ハニーが待ってるんでじゃあな。」


後ろを見送り緑月亭の入り口へと足を踏み入れた。


「ベアードさんはそのままだったが、テディさんは何故あっちにいったんだろうな?」


「...たぶん可愛いが好きなんじゃないかな?」


「ハニーさんも可愛らしい方でしたからね。」


「我にはよくわからない...」


横開きの武家屋敷風の、宿屋に似合わない扉を開けると広いエントランスがあり立派なロココ調だった。


「ようこそお越しくださいました。どなたのご紹介でしょうか?」


受付カウンターから一人の男性エルフが出てきた。


「これを見せろと言われたんですが。」


手紙を渡すと、失礼いたしますと手紙を受け取り中を確認していく。


「これは、これは!トルネ様のご紹介ですね。すぐにご案内致します。」


手紙を確認して受付から鍵を預かると丁寧に案内してくれた。宿のなかでもランクの高い部屋を用意したとの説明を受けた。


「こちらのお部屋でございます。寝室は二部屋ございまして、こちらのお部屋からそれぞれに別れております。浴室も部屋にそれぞれございます。お食事は丁度お時間ですがお運び致しますか?」


最初に足を踏み入れた部屋は共同の居間のような部屋でさらに寝室が別れ、その部屋の奥に浴室もついているらしい。まるで和旅館に訪れたような説明だがすべてロココ調だ。


「お願いします。」


トルネが来る時間まではまだ時間があるので食事を先に取ることにした。


手押しワゴンで運ばれて来た料理はスパイスをふんだんに使ったカレー料理だった。


商人の国だけあって様々な香辛料が手にはいる事で実現したカレーは必ずどこかに使われている。


色とりどりの新鮮な野菜を使ったサラダに黄金色のスープ、珍しいお刺身や変わった形をした何の肉かわからないステーキ、黄色の平らなパン、鍋に盛られたカレーはおかわりが自由だ。デサートはパイにゼリーにケーキに種類が多い。


美味しい、確かに美味しい...だが...。


黄色い!全部黄色いよ!カレー味風味ばっかだよ。

せめてサラダはドレッシングにしてよ。サラダに直接まぶすなよ!!デザートもカレー味だよ! 美味しいのがまた悔しいよ...。


「美味しいが、明日になっても臭いそうだな。」


リゼルの言葉にナハトがウンウンと頷いた。


ハルルは黙々と肉料理のみを平らげていく。


「肉なら何でもいい。生肉でも蒸し肉でも焼き肉でも。」


トントントン


「はーい、どうぞ~。」


ハルルが頼んだ追加の肉が来たと思い入室を促すとトルネが入ってきた。


「楽しんどるかの?失礼するぞ。」


そのまま食事をしている私達に混じり食事を始める。沢山の料理はトルネの分も始めから入っていたらしい。


「トルネさんの用事はもう終わったんですか?」


「ああ、終わったぞ。新しい医療が協会からもたらされての、高性能の回復薬が少しずつだが市場に出てきたんじゃがまだ高くての~、それを悪用して粗悪品を高性能と偽って売る闇市があるらしい。その闇市から大量に粗悪品を正規市場に売り出したらしいんじゃ。」


新しい医療というのは前にギナマ医師に渡した[医療の真髄]から作り出した回復薬だろう。広めてくれているようだ。量が作られれば値段も下がっていくだろう。


粗悪品は許可の無い回復薬で当たり外れが激しく、価格は安いが効果もないとんでもないものらしい。


正規のルートで買い求めるよう各国に注意を促し、販売しているもの達の監視を強化するようにすると可決した。


「所で先ほど見せて貰った先人様が作り上げだ回復薬は売るのかの?」


トルネの目が商売人の鋭い目に変わる。


「いいえ、持ち合わせは少なく偶然手にいれた物ですから、戦いの時に死なないように上手く使います。」


私の言葉にトルネはうんうんと頷いた。


「それがよかろう。先人様が作られた回復薬はもう手にいれる事ができん上に高価すぎる、大量にもっていても国に取り上げられるか金目当てに襲われるだけじゃから、その薬も内緒にしておきなさい。医療協会が今、一丸となって賢者様からいただいたとされる神書を解読中じゃ。先人様の薬もかかれているらしいからそれまでは見つけても黙っておくんじゃぞ。」


「わかりました。」


ホイホイみせたらダメだった。トルネさんが良い人でよかったよ。


「それに、これから沢山の新しい薬が順次開発されていくのだ、上手く商売して広げねばな。そうじゃ、エルノラ殿に渡す報酬だが金と、ワシの秘蔵の()()とどっちがいいかの?」


コレといって差し出したのは三枚の紙だった。私はその紙をパラパラと堪忍する。


「これは!!」





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