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Good luck in my world  作者: エンリ
第三章 緑の国グレーベ~煌国ノスアレア
75/156

74、Aランクは凄かった。

残酷な表現がありますのでご注意ください。

鳥型モンスターのすぐ近くには索敵に反応した緑の光があった。ということは、人が襲われている可能性が高い。

距離があるため[遠見]のスキルで見える範囲を広げる。

すると馬の無い馬車が見えた。

車体が引きずられた様に横倒しになっており、回りには血だまりと肉の破片、馬の尻尾の毛等が散らばっていた。


「......、まだ反応はある。」


鳥型モンスターが高く飛び上がり大きな声で一鳴きするとまた急降下しようとする。


「ハルル!モンスターに投擲!」


「了!ハァッ!!」


私の指示に直ぐ様反応したハルルは手に愛用の長槍を瞬時に構え鳥型モンスターにおもいっきり投げ放った。


鳥型モンスターに勢いよく飛んで行った長槍は真っ直ぐ吸い込まれる様に胴体を捕らえた。


グゲェェェ....と叫び声を上げながら地へと落ちていくモンスターを確認しながら急降下しようとしていた場所まで走る。


到着したその場所には巨大な鳥型モンスターがグッタリと絶命して倒れ、少し離れた場所には先程見た横倒しの馬車があった。


鳥型モンスターに刺さっている長槍をハルルが引き抜くとモンスターは長く闇色をした風切羽と魔鳥の嘴、魔石を残し光の結晶となって消えていった。

ハルルが私にドロップアイテムを手渡してきたのでギルドパーティー用のアイテムボックスを作り、そこに入れた。


リゼルが馬車へと向かい、横倒しになっている馬車の上に飛び乗ると扉を開き中を確認する。


「エル!まだ生きてる!重症だ早く来てくれ!」


ようやく駆け寄って来たナハトに結界を張るよう伝え、白と黒に血塗れになった回りの掃除を指示して私もリゼルいる馬車上に飛び乗る。


扉から中を覗くと火の国ランバで会った商業ギルド代表のトルネが額から血を流し苦痛に顔を歪めて倒れていた。


「[回復、中]」


治癒の光が降り注ぎ苦痛に歪めていた顔が段々と安らかになっていく。リゼルにトルネを抱えてもらい外に連れ出すとアイテムボックスから長いマントを取り出して地面に広げ、その上にトルネを寝かせてもらう。


治癒の光が消えていくとトルネの閉じられている瞼が震え、ゆっくりと持ち上がる。


「んんっ、...おぬし...達は?ワシは...馬車に乗っていた...はずだが?」


辺りを見回し、倒れた馬車をみて目を見張るとゆっくりと目を閉じた。


しばらくして閉じていた目を開くと体を起こし頭をさげる。


「助けてくださり感謝する。エルノラ殿には又借りができてしまったの...。」


下げた頭を上げ、疲れたような笑顔をこちらに向けた。


「大丈夫ですか?痛いところはありませんか?」


「ああ、ワシはもう大丈夫じゃ。ところでもう一人連れがいるんだが、馬車を引いていたネロという若者を知らんかの?」


御者をしていたのはネロという商人見習いでトルネも目をかけて育てていた前途有望な若者らしい。私達は全員首を横に振った。


「そうか、いきなり馬車が激しく揺れて止まったので、何事かと思い扉を開こうとしたらネロが出るなと言って扉を塞いでのぅ...。途端、凄まじい衝撃があったまでは覚えてるんじゃが、そのまま気を失ってしまったようじゃの...。」


「馬車は大型の鳥型モンスターに襲われていました。モンスターは倒しましたが、トルネさんは重症で、救出している間に酷い惨状だった辺りを他のモンスターが血の匂いに誘われないよう掃除したんです。馬はモンスターに食べられていました。恐らくネロという方も...。」


「なんと!!事故ではなかったのか...、馬が暴れて横転したのかと思ったんだが...。ネロは自分の身を顧みずワシを助けたんか...。」


拳を握りしめているトルネにナハトが背中を優しく擦る。


「ここは危ないですから、移動しましょう。長居すると他のモンスターが来ます。」


「俺が背負うからナハトはトルネさんの荷物を持って来て

くれ。」


リゼルがトルネに背を向けてしゃがみこみ、背負って立ち上がる。トルネは小柄な老人獣人なので重みを感じさせない足取りでリゼルが移動を始めた。


ナハトは馬車の中にあった荷物を取り出しトルネに全てあるか確認させると馬車を燃やしていいか聞いてきた。


「はい、馬車は街道の通行の邪魔になるので燃やしてくだされ。」


「わかりました。[フレイム]」


ナハトが指定した馬車を炎で燃やしつくすと街道は何も起こらなかったかのような状態に戻った。


「これ、拾った。...モンスターの嘴に引っ掛かってた。」


ハルルがトルネに細い革紐に小さな銅のプレートが付いたペンダントを渡すとそれを僅かに震えた手で受けとる。


「貴方は英雄殿のハルル様ですな?ありがとうございます。これはネロが着けていた登録証です。唯一の遺品を家族に返してやれます。」


銅のプレートには少量の血が付着していた。

モンスターに食べられたなら遺品さえも無い場合がある為、トルネはハルルに感謝し、遺品を布で包むと大事に懐にしまいこんだ。


「トルネさんはどちらに向かう途中でしたか?」


「緑の国グレーベじゃ。あちらの商業ギルドの会議に参加しなくてはいけなくての...、回復薬の粗悪品が出回っとるから買うときは注意するようにと布令を出すらしいからワシの承認が必要でな。」


「へぇ、粗悪品...、トルネさんと行き先は途中まで同じですね。このまま緑の国までお連れしますね。リゼル、いけるよね?」


「もちろん、だがもう少し体重が欲しいかな?」


リゼルはトルネをおぶったまま魔法で負荷を自分にかける。


「エルノラ殿に護送して貰えるとは有難いが本当にいいのかね?」


「勿論、タダではないですけどね。」


ニッコリと笑顔で答えたら、トルネは一瞬ポカンとして直ぐに破顔した。


「ククッ...当たり前じゃよ。エルノラ殿はAランクパーティーでしかも賢者様のお弟子様じゃ、安く見積もっても報酬は金貨幣10枚はいくじゃろうて。」


金貨幣十枚って10万!あと二日程で着く距離でそんなに貰ってもいいのだろうか。


「顔にでておるよ、Bランクパーティーの護衛なら金貨幣は三枚程じゃな。エルノラ殿の場合は安全が確定している保証もあるし何より今回はハルル殿がいるから更に金額が上がるのぅ。」


Aランクパーティーは、リーダーのランクでパーティーランクが決まる。だが仲間がBランク以上でないとAランクパーティーにはならないらしい。


実力が保証されたAランクパーティーであり、有名な英雄ハルルがいて、賢者の弟子がいる。通常なら依頼は受けて貰えない。選ぶのはAランクパーティーの私達が()()()()の話らしい。


「今回は偶々エルノラ殿が通りかかり、エルノラ殿がワシを目的地へと連れて行く、特殊な場合なので今回の金額で済むがギルドでエルノラ殿に頼むとなれば指名金とAランク規定金と契約金で金貨幣30枚はいくのぅ。」


「凄いな、Aランク+有名金。」


リゼルがトルネの話を聞き若干顔が引き攣っている。


「だからこそ、Aランクに上がるには国のトップの承認がいるんじゃよ。信用と信頼、保証があって承認されるからこそ金額が上がるんじゃよ。」


「僕たちも早くAランクに上がらないとね。」


「そうだな。」


頑張るぞ、と走り出したリゼルとナハトを追いかけるように私とハルルも走る。


「元気なのはいいけど!リゼはトルネさんおぶってるんだから、あんまり早く走ると危ないよ!」


身体強化された脚力で走られたら背負われているトルネさんの体調は悪化しそうだ。


まるでジェットコースターの様なスピードで更にはガクンガクンとトルネの首が揺れているのを見た私は、慌ててリゼル達に追い付くと、ぐったりと青い顔をしたトルネさんを見て二人に説教をしたのは言うまでもない。





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