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Good luck in my world  作者: エンリ
第ニ章 火の国ランバ~獣王国ゼノン
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63、聖樹の異変!?


《マスター、聖樹の様子がやはり少しおかしいようです。》


朝の支度をしているとベッドの上で黒と共にお行儀良くお座りしている白が神妙な様子で報告してくる。


《白、力を分け与えなかったのか?》


《分け与えたよ、元気になるぐらい。》


《どれ位だ?》


《...動き出すくらい?》


《...........》


聖樹は世界の清浄器の役割を果たしている。過剰な魔力の淀みを浄化して魔力や神力に変換してくれる。聖樹の近くにはモンスターも弱く数も少ない、白に報告を受けて必要なら力を分ける許可を与えていたが動き出すとは聞いてない。


「どういうことかな?」


ガシッと頭を掴んで持ち上げ目を合わせると白はゆっくり目を反らす。そしてゆっくりと思いだしながら語った。


《マスターに報告した後、煌国の聖樹に降臨して皇王にその旨を伝えました。そして直接聖樹の様子を見ながら少しづつ力を与えていたんです.....》


「それで?」


《途中で黒から心話が入り、監視使い魔を神力で生み出したからマスターの元に行ける!と一緒に旅に着いていく!と聞き、ずるい!早く終わらせて自分も同じようにしよう!と考えていたら...》


「考えていたら?」


《思った以上に力が流れて、慌てて止めました。》


「...それで?その後は?」


《しばらく様子を見て、元気な状態に戻ったので大丈夫だと思い、皇王に後を任せてこちらに来ました。》


「その時は動いてなかったわけね、その動き出した報告は皇王から?」


《そうです。僕の監視使い魔に報告してきました。》


黒も白も鳥の形の使い魔を作り様子を見させ、連絡もとれるようにして白は皇王に黒は魔王に預けているらしい。自我を持った白、黒の分身に近く意識を繋げる事も出来るので離れていても常に見張れる優れものだとか。


《聖樹から蔦が伸びて二人ほど捕まっているらしいです。命に別状は無いのですが助けるのに聖樹を傷つける訳にもいかないので手を貸してほしいと言われました。》


《いつからだ?》


《動き出したのは10日前で報告してきたのは一時間前。》


恐らく色々試しどうにもならなくなったのだろう。神の手を煩わせる事もないと思ったのかもしれないが少しでも神の力が関わっているのだ、人の手で簡単に収まるわけはない。


「捕らわれた人はどうなってるの?」


《二日前に捕まり、食事は与えられていますが、かなり消耗が激しいようです。》


(...2日か。)


「白、直ぐに聖樹に向かい元に戻してきなさい。黒は一緒に付いて捕まった二人の救出を。」


《《はい。》》


返事と共に二匹の姿が消える。


私はベッドに腰を下ろしアイテムボックスから[遠見の鏡]を取り出した。このアイテムは改造品で通常なら魔力を通して行ったことのある場所を写し出してくれるものだが、これは女神の魔石を通し今所持している黒と白の見ているものを映してくれる。


鏡に魔力を流すと黒のドアップが映る。


《白。落ち込まないで結果を出せ。》


半分づつで鏡の視点を切り替える。すると黒と元気の無い白の顔が映る。


《僕は管理者失格だ...マスターごめんなさい。》


思い詰めたようにポツリポツリと呟く姿はかなり反省しているようだ。白に心話を繋げる。


《白凰。貴方達は知識を引き継いではいるけど経験は無いに等しい。だから失敗もするし完璧に出来ないことも勿論ある。それは私も同じ。世界に降り立って旅ができるのはいい機会だね、一緒に世界を回って経験を積もう。失敗した時も一緒に解決すればいいよ。》


《マスター......ありがとう、僕の女神。》

《我()の女神だ。》


獣型なので分かりにくいが嬉しそうにはにかんだ白の目は元気を取り戻したようだ。黒も白の頭をテシテシと叩く。


《貴方たちの額の魔石を通して私も確認しているから聖樹に向かって。》


《《了解。》》


煌国ノスアレアの首都にある教皇王の住まいの皇城には大教会が併設されており、世界アダメルシアの信仰である女神教の総本山で唯一女神が降臨出来る場所、女神の間がある。教皇王しか入れない神聖、不可侵な場所でもある。


その大教会の奥には天に届きそうな程の大きく立派な大木が地に根を這っている。拡がる枝葉は教会の雲の上まで伸びているが光を遮る事はないから不思議だ。その大樹の根は世界の半分に届いているともいわれ、淀んだ魔力を吸収し清廉な魔力にして放散する。モンスターを弱体化したり、葉が貴重な薬になるなど神聖化され聖樹と呼ばれている。


聖樹は管理者の管轄のひとつで世界と一緒に生まれた。発展の影響で根に何かあったのかもしれない、元気がないと聞いたときそれが思い浮かんだ。


鏡に聖樹が映し出される。大きな大樹は一部しか映し出されず木の幹は絶え間なく続く絶壁のようだ。


教会の外から聖樹に通じる白い廊下に降り立ち、その先にある聖樹を祀り祈る為の開けた場所を白と黒はトコトコと軽い足取りで歩き、まだ遠い聖樹へ近付くとそこには一人の人物がいた。


金の刺繍が施された真っ白い祭衣を身に纏い

聖樹の葉と同じ緑のストラを肩に掛け頭には葉を模した金のサークレットをつけた壮年の男性が白と黒へ頭を下げる。


彼は煌国ノスアレアの皇王にして女神教の教皇である、シェリーダ・サブジェクト・ウル・ノスアレア。


銀の長髪を後ろに流し色白で精悍な顔立ちの男性はエルフ特有の長い耳を沢山のカフスで飾っている。知的な青い瞳は長い睫毛で伏せられどこか疲れを滲ませていた。


「白様、黒様、ようこそ御越しくださいました。お手を煩わせてしまい申し訳ありません。」


人型ではなく獣型の白と黒を疑うことなく丁寧に挨拶をする。


「シェリーダ、聖樹の様子は?」


「元気なのは変わりませんがやはり蔦を伸ばし動き回ってます。本体は流石に動くことはありませんが...葉は揺らしていますね。」


「捕らわれた者は?」



「実は一人解放されたので直ぐに救助したのですが、もう一人は相変わらず捕まったままです。手持ち無沙汰かのように蔦が近付く者を狙っており、聖樹を傷つける訳にもいかず...恥を忍んで連絡をさせて頂きました。」


「元々、僕が途中で気を反らしたせいだ。」


白の言葉に頭を横に振るシェリーダ。


「いえ、本来なら私共の手で解決しなければならない事でした。」


白、黒の歩調に合わせながら聖樹の幹へと歩を進めているシェリーダは10メートル手前で留まり結界を張る。


「ここから先は蔦が襲ってきますので結界を張りながら進みます。」


シェリーダが声を掛けた瞬間、巨大な大蛇のような緑色の太い蔦が結界を激しく叩いてきた。


「立派な蔦だな。」


結界を壊そうと鞭のようにしならせ攻撃してくる蔦を見ながら黒が呟いた。


「聖樹に蔦が生えたなどどの文献にも見当たりませんでした。対処できますでしょうか?」


「蔦に捕まるよ僕が。」


白の言葉にシェリーダが驚愕する。


「な!なぜですか!?危のうございます。」


「まあ、それが一番確実だな。」


黒がウンウンと頷く。聖樹の様子を近くで見れる他、接触している場所から蔦の部分のみを、枯らす事もできる。


「僕は捕まってくるから黒は捕まった一人を保護してね。」


「言われなくとも。」


コクンと頷き転移すると黒の視覚が大樹の別の場所を映し捕まった人物を探し出す。


白はシェリーダの結界を抜けて聖樹に走り寄ると蔦に攻撃されないよう細かい動きで避けていく。


蔦は白の動きを止めようと捕まえにかかり体に蔦を巻き付けていく。


シュルルと巻き付き蔦の根元まで持ち上げていく。目は無い筈だがまるで確かめるように白の体を動かし確認している。


大きく蔦が動きを見せ聖樹の幹に最も近付くとある一部に気になるものを発見した。蔦はそこから伸びていた。


《...........嘘でしょ!?》


私は聖樹の幹に見つけた()()に驚いた。

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