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Good luck in my world  作者: エンリ
第ニ章 火の国ランバ~獣王国ゼノン
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60、シーツにくるまった引きこもり

物凄い速さで馬車が駆ける。人は大通りを抜け貴族街、王城への道に入ると段々見かけなくなった。どうやらこの道は馬車専用らしい。緊急時には軍の通り道にもなるのだとか。


バルバドスが王城へとあらかじめ伝令を走らせていたのだろう、貴族街や王城を繋ぐ門を止められること無くすんなり通る。


王城の正面の広すぎる入り口には円を描くように右回りに馬車が並んでいる。正面まで来たら馬車が止まり獣人騎兵さんが馬車を開いて手を貸してくれる。


「お帰りなさいませ、バルバドス騎士団長。」


「ああ、特に変わりないか?」


「はい、ございません。」


「この方達は我の客人だ。今日はこのまま客人達を接待するので副隊長に指示を仰ぐように。後、客間を二部屋使えるようにと侍従長に伝言を頼む。」


「ハッ!」


敬礼している獣人騎兵さんを通りすぎ長い廊下を渡る。高い天井には等間隔で小さめのシャンデリアが並びシャンデリアのある場所には扉があり、まだ明るいうちから照らされている扉は同じ模様が入っているので間違いなく迷子になりそうだ。


「我の執務室は三階の右側にある。迷子になりそうなのは賊を簡単に目的地に行かせない為でもある。月単位で部屋が変わる事もあるから我でもたまに間違える。」


「王様達は変わらないですよね?」


「いや、変わる。王家の部屋は専用の区域にありその中でランダムだ。王達も前日に知らされる。」


「それは、賊が獣人の場合鼻が利くから?」


「まあそうだな。他にも色々理由はあるが....ああ、リゼルディス殿の妹君が輿入れされる準備も兼ねて部屋が更に増えたから妹君は部屋を覚えるのと移動で初めは大変かも知れんな。まあ王太子が当分離さんだろうが.....」


「ハルネーゼ様は大丈夫です。むしろ王太子のフレデール様の方が危ないかも...」


リゼルが遠い目をしている。


「何せ互いに初恋らしいからな....それより、貴殿はフレデール様と友人だと聞いたが、それにハルネーゼ様は妹君では?」


「ええ、敬称のことですか?最近臣籍に降りまして。ただの冒険者になったのでケジメです。」


「....そうか。」


「友人をやめる訳ではありませんよ。彼が望まないなら別ですがね。」


リゼルがクスリと笑うとバルバドスが少し安堵した表情で「そうか」とこぼした。


竜人だが騎士団に居続ける程に王家との中は深いようだ。


「着いたぞ、ここだ。暫し待て、ノックしないと攻撃される可能性がある。」


(自分の執務室なのに....多分前に攻撃されたんだね。)


バルバドスが扉の前に立ちノックする。


トントントントン


扉を同じ間隔でノックするとバルバドスが中にいるであろう人物に話しかける。


「ハルル殿、バルバドスだ。入るぞ、今日は客人を連れてきた。」


シ―――――――――ン


「居留守か?」


「索敵に反応はありますよ?」


「....」


リゼルとナハトは索敵でちゃんと把握しているようだ。緑の光が索敵により反応を示している。


「はぁ、入るぞ。」


ガチャリと扉を開きバルバドスが入っていくのであとに続く。


広い部屋には、仕事で使う机や来客用のテーブル、二人掛けのソファーが二つ、魔石で灯りが着くスタンドライトが二つ、大きな衝立が部屋の奥にある。衝立の向こう側にはもう一つ部屋がありそうだがよく見えない。


バルバドスが大きな衝立の向こう側に歩いて行き姿が見えなくなる。


「バルバドスさん、大丈夫かな?」


ナハトが心配そうにバルバドスが消えた衝立の向こうの部屋に視線を向ける。


「俺達も向こうの部屋へ行ってみるか?」


リゼルの言葉に合意し衝立の近くまで近付く。


「...........!」


「だからメノウ殿の弟子を連れてきたんだ。顔くらい見せろ。」


「.........、...........?」


「弟子を知らんのか?聞いてない....。」


「....!!....!!」


「ま、まて!!弟子を名乗るのは女性だ!」


「....!!....!!」


「それは確かにそうだが、貴族の娘ではない!冒険者だ。」


「....しん.ない..!」


何やら非常~に揉めているようだ。バルバドスの声が聞こえるがハルルであろう声は小さく更にくぐもっている為、ほとんど聞こえない。


だが段々ヒートアップして来たのか声が大きくなってきており少しずつ聞き取れてきた。


「だからといって女性に危害を加えようとするな!前に来た貴族達は獣王が話をつけたから大丈夫だといっておるだろう!」


「嘘だ!昨日牛獣人の女がハレンチなドレスを着て部屋に勝手に入りこんで来たんだぞ!それに危害ってほどじゃない、気絶させるだけだ!」


「いかんに決まっとるだろう!それに牛獣人は貴族におらん!何かの間違いだろう?いや、待てよ....シャルル嬢か?乳はでかいがあれは羊獣人だぞ?我の留守の間に勝手な事をしおって!」


「どっちでもいいよ!我はメノウが来るまでここから動かない!結婚何か絶対しないし貴族にもならない!!」


「する必要はない、その女と貴族共はもう一度抗議しておく。王からも処罰対象にしてもらえば大人しくなるだろう。だから我の連れてきたメノウ殿の弟子に会え、気が紛れるだろう?シーツにくるまってばかりでは病気になる!」


「我は誰にも会わない~!どうせまた我の女になりたいとか婿に欲しいとか~ウンザリだ!!」


相当嫌な目に合ったのか駄々っ子の様な口調になっている。


「はぁ、ならこちらに来てもらう。」


バルバドスがそう言って衝立の向こうからこちらに来て手招きする。その様子は若干疲れが見えるのは仕方ないだろう。


「俺たちが先に行くよ。」


「僕の後ろから来て。」


おお、頼もしいな二人とも。


お言葉に甘え後ろを着いていくとクイーンサイズのシンプルなベッドの上にはシーツの大きな塊が鎮座している。全てシーツにくるまれ中を見ることはできないが顔がある?位置でシーツの切れ目が見える。完全に閉ざされているが....。


「ほら、紹介しよう。Aランク冒険者の「聞きたくない!!」」


バルバドスの声を遮るように拒否の言葉を発した瞬間にシーツの塊から鱗の腕輪をした筋肉質な腕が素早く攻撃するために振るわれた。


バルバドスが気づき防ごうとするが早すぎて間に合わない。

その腕はシーツで見えない筈の私の位置を正確に捕らえており、私に振るわれるが、


パシッ!!


「!?!?」


その腕を簡単に掴むと部屋にいた私以外の全員の時が止まった。


「はっ!大丈夫か!?」


「怪我はない!?」


リゼルとナハトが我先にと気がつき確認してくる。


「竜人の一撃を止めるとは....」


バルバドスはまだ呆けている。


「.....!?」


捕まれた腕の持ち主も驚いているようだ。


「いい加減にしなさいよ。」


私がシーツの塊に向かって声をかける。とシーツはピクリと動き掴んだ腕から力が抜ける。


「無意味に傷つけるのは嫌だった筈でしょ?ハルル。」


私が言葉を続け手を離した瞬間、逆に手を捕まれる。


そのままシーツの塊がベッドから降り私の前に立ち塞がる。身長差があり見上げる程のシーツお化けだ。


「「エル!」」


「エルノラ殿!」


三人共に何事かと戦闘態勢に入ろうと動くがそれを捕まれていない手で止めた。大丈夫と合図を送る。


シーツお化けはそのまま私に向かって震えながら包み込むように上から抱きしめる。


「エル....ノラ....?」


頭の上からシーツでくぐもった声が降ってくる。


「そうだよ。待たせてごめんね。」


その瞬間、抱き締められた腕に力がこもった。

抱き締めるにはかなり強い力だが私の防御力は並みじゃないので好きにさせる。一般人なら骨が砕けてるだろう。


バルバドスが後ろで力を入れすぎだ、とかギチギチいってるぞ、とかいってるがリゼルとナハトは私が大丈夫と伝えたので黙ってみている。

殺気はでているが....。


そのままズルズルとシーツお化けの足が崩れていき膝立ちになる。身長差があるので顔の位置が同じになるとシーツが後ろにズレ落ち中身が現れた。



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