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Good luck in my world  作者: エンリ
第ニ章 火の国ランバ~獣王国ゼノン
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53、竜人

朝御飯も食べ終わり、私達とマゼルタはギルドに誘拐事件の報酬金を手にいれ、獣王国へと向かう為に外門へと移動しようと歩き出そうとしたがマゼルタに止められた。


「獣王国の首都へ、行くなら私の転移石で参りましょう。」


「いいの?支給されてるとはいえ、貴重な物でしょう?」


「はい、今回はエルノラ殿のお陰で余り使わずにすんだので大丈夫ですよ。通常なら下調べからアジトの特定、騎士の派遣等...数十日掛かるのをほぼ1日で済ませましたからね。」


「確かに、こんなに早くは無理だな。」


元騎士のリゼルもマゼルタに同意する。


「僕が転移魔法を使えたらいいんですけど、一度訪れた所じゃないと転移できないんです。お役にたてなくてすみません...。」


「いや、ナハト君。君は転移魔法が使えるというだけで上位魔術師なんだよ、君が役に立たないなんて事は絶対にないよ。」


ナハトにとんでもないと言いながら転移の魔石を取り出し私達の前に差し出す。


「では掴まって下さい。」


差し出された手に手を重ねる。


転移の魔石が光を放ち私達は獣王国へと転移した。



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


獣王国 ゼノン


獣と人を合わせた様な姿を持つ獣人達が多く占めるこの国は身体能力が男女ともに高くガッシリとした体躯にしなやかな筋肉がついているものが多い。だが幼少期は逆に弱々しく更には見た目がとても愛らしいので拐われやすく危険も多いため命を落としやすい。

その為、子供達の親は過保護化する。生まれた直後に獣人特有の血魔法[特殊識別]という自分の血族を臭いでかぎ分ける能力を開花させるほどに。(黒情報)


子供が成人すると魔法は解除されるのだがそれまではどこにいようと臭いを辿ることができるという。(転移では臭いは途切れます。)


獣王国には王族に獅子が着きどんな種族を娶っても必ず獅子獣人が生まれるらしい。


王国首都 ゼノイン


大帝国アルネストと有効条約を結び共に発展してきた大きな街。隣には砂漠続きの陸都ガジェットがあり水の国シズクの町スイゲツ、魔国バルデナへと続いている。 逆の方向には火の国ランバ、山を挟み大帝国アルネストがある。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「兄上?お帰りなさい。皆さんいらっしゃいませ。」


転移した先は貴族の御屋敷でした。目の前に前日に別れたカノン君が剣の稽古をしていた。

どうやら庭先にでたようだ。


「ああ、ただいまカノン。父上達は中にいるか?」


「はい、呼んできますね。」


剣の稽古を中断し屋敷の中へと駆けていくカノンを見送る。


「ここは私の家です。今、カノンが父達を呼んで来るのでお待ちください。カノンを助けて頂いたお礼におもてなしを受けて頂けるとありがたいです。」


「事件の調書はいいの?」


「こちらに隊長が聞き取りに訪れますからエルノラ殿には我が家でお待ち頂ければ大丈夫です。本当は騎士団詰所での調書が通常ですが賢者様のお弟子様をむさ苦しい場所で歓待したくないと思いまして...」


マゼルタがこちらへどうぞ、と屋敷の訓練場を通り庭へと誘導される。向こう側からカノン君と男性が歩いて来るのが見えた。



「マゼルタ、お帰り。」


「ただいま帰りました父上。こちらはカノンや子供達を助け誘拐犯を捕まえた賢者様のお弟子様であるエルノラ殿です。こちらの方達はギルドパーティーのリゼル殿とナハト殿です。」


カノン君やマゼルタに良く似た同じ茶色の髪に白い髪が混ざった犬耳の優しそうな初老の男性がこちらを向いて丁寧なお辞儀をする。


「私はシヴァサ・ラタネウスと申します。この度は息子カノンを助けて頂きありがとうございました。貴方のお陰で早い段階で犯人を捕まえ、他に犠牲も出ずに済んだと聞き及んでおります。あと少しでも遅ければ逃げられた可能性もあったとも。」


「いえ、間に合ってよかったです。」


そんなに丁寧にされると報酬のスパイスの為だとは言いづらい。


「立ち話もなんですからこちらへどうぞ。中で家内がお茶の用意をしております。」


「あ~、お手数をおかけします。」


案内されたのは庭へ繋がるテラスからの入り口で赤い絨毯が引かれている広い貴賓室に繋がっており白にうっすら水色を溶かしたような髪を複雑に結い上げた女性が上品で落ち着きのある淡いドレスを翻しこちらへと綺麗な所作で礼をした。


「ようこそいらっしゃいました。シヴァサ・ラタネウスの妻、コリーナ・ラタネウスと申します。我が息子を保護して頂いた事感謝いたします。」


「エルノラです。こっちは仲間のリゼルとナハトです。」


席に案内されると香り高い紅茶が出され沢山の種類の小さめにカットされたフルーツや焼き菓子、プティフールが乗せられた銀のトレイから手元の皿に自分の食べたい物を選んでのせてもらう。


朝食をもう少し押さえ...いや後悔はない。

朝食はあのスパイスで漬け込んだコッコの肉を焼き軽い酸味があるサワーキャベツの様な野菜を挟んだボリュームのある逸品だった。弁当まで貰ってしまうぐらい美味だった。


選んだのはプティフール二種と焼き菓子。

一つは果物が小さく飾り切りされたタルトと宝石の様な赤い丸い実がのったチョコレートケーキだ。焼き菓子はマカロンの様な形の物を選んだ。味はクグロフでした。


「他に食べたいものがあればどうぞ。」


そう言って給仕さんが下がる。何となく惜しげに見てしまうとリゼルが苦笑した。


「あの、とても美味しそうなのですが朝食を食べたばかりで後程頂きたいのですがアイテムボックスがあるので持ち帰っても?」


「そうだったのですか、勿論御用意いたします。」


給仕の人が紙の箱に全て綺麗に詰め込み丁寧に梱包する。


「こちらの配慮が足らず申し訳ない。」


「いえ、こちらこそあまりにも美味しそうなので持ち帰りたいなど不躾でした。」


「そういっていただけて我が家のシェフも喜びますよ。リゼルディス殿。」


「やはりお気づきでしたか。お久しぶりですシヴァサ殿、10年ぶりですかね。」


リゼルとカノン君父は顔見知りらしい、この国の王太子が同い年で留学した際にこちらに一週間程滞在したのだとか。友好国同士なのだから交流があっても不思議はない。ただ奥様とマゼルタは実家に帰っていたので面識はない。


トントン


「入れ。」


ガチャ


「失礼いたします。獣王国騎士団長殿がお見えです。」


「こちらへお通ししなさい。」


「はい。ではこちらへお入りください。」


入室して来たのは薄黄色の長い角が米神より上辺りから生えた鮮やかな緑色の髪を後側で結んだ男性だった。耳は先が少し尖っており首の真ん中に鱗が覗いている。こちらを一瞥した瞳は金色で黒い瞳孔が縦に細められた。


「...竜人。」


ナハトが、ポツリと呟いた。

霊峰から地上へ降りた珍しい竜人どころか騎士団長をしている。


《珍しいですね、竜人が人を率いる騎士団にいるとは。》


「エルノラ殿、リゼル殿、ナハト殿。こちらは我が国の第一騎士団長バルバドス殿だ。」


「我はバルバドスという。貴殿が()()賢者殿のお弟子様か...お見知りおきをエルノラ殿。」


あの?どの?



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