52、急成長中
朝の支度が終わり別の部屋で寝ているリゼルとナハト達の元へと行く。
トントントン
ガチャリ―――――
「ああ、おはようエルノラ。」
「おはよう、リゼル。ナハトは起きてる?」
「..起きてはいるんだが...。」
部屋の中に入るよう促され足を踏み入れると
そこにはナハトがいた、いたのだが違和感がある。何故ならナハトの身長が明らかに伸びていたからだ。
現在六歳のナハトは110センチ程の身長だったはずだが今は140センチ程ある。
.....急成長すぎるだろ。
(ステータス確認しとくか。[サーチ]。)
[名前] ナハト [性別] 男
[種族]ダークエルフ [職種] 魔術師
[年齢]10歳
HP 1200/1200 4000/4000
[加護] 魔神の眼(千里眼)、魔神(魔神化Lv1)(new)
...加護に魔神が増えてる。しかも年齢まで?
最終的に魔神の欠片がすべて集まれば種族が魔神に変わる。
魔族種は成長が成人するまでヒューマン種と同じだが成人を迎えると体の成長が止まりそこから長い寿命を終えるまで衰える事はない。寿命を迎える最後の年に力が衰え眠る様に亡くなり砂となる。
だが魔神は神が付く名前だけあり寿命がない。戦闘力もかなり高くなる。災害レベルで。
聖竜と互角の闘いが出来るのだが白と黒には及ばない位か。
「エルノラ....どうしよう~、服が入らなくなっちゃった。」
一夜で急成長したのだから仕方ない。
シャツ、ズボン共に七分袖になりパツンパツンだ。むしろ何故履いた。
「はは、エルノラに買って貰った服だからね。捨てたくないのさ。」
リゼルが理由を暴露するとナハトがリゼルだって同じ行動するでしょ!?と顔を赤くしながら服を脱ぎだした。
「着れなくなった服はしまって、これを着て。」
クルリと後ろを向きアイテムボックスからゲーム時代の魔術師を選んでいた時に好んで着ていた星空のローブと魔術師のシャツ、ズボン、星空のブーツを取り出し渡す。
「えっ、...いいんですか?...わぁ、綺麗な模様ですね。」
恐る恐るナハトが受け取り嬉しそうな口調に変わる。
夜空のような濃紺色のマントへ星の位置に金の刺繍が施されている。魔術師のシャツは灰色に銀の刺繍がされており上品に仕上がっている。ズボンは黒に銀の刺繍でシャツとズボンで刺繍が繋がる様になっていた。
マントと合わせたブーツを合わせて、[星の魔術師]セットの完成だ。
「私が修行中に着てた装備で悪いんだけど「いえ!これがいいです。ありがとうございます。」...そう、ナハトは異空間魔法はマスターしたの?」
「はい!基本はマスターしました。[アイテムボックス]」
指で空中に正方形を描くとそこに手を突っ込み回復薬を取り出して見せる。
「今の所、この一部屋分位の大きさの容量までは完璧です。まだまだ拡げる練習中ですけど。」
「ナハト、頑張ってるね。」
「本当に凄いな、俺も負けてられないな。」
「その渡した服は特別製でね、アイテムボックスから出す度にサイズが自分のサイズで出すことが出来るの。」
「本当ですか!じゃあずっと着られるんだ!」
凄い凄いと喜んでくれて私も嬉しいよ。同じ装備をもう一セット洗い替え様に渡しておく。
「なぁ、気のせいだといいんだが、この装備から只ならぬ気配がするんだが..。」
「ああ、中身に(ピィ――――――――)と魔(ピィ――――――)が入ってるからかも。」※自主規制
「「........」」
バタンッ×2
二人は気絶したようだ。.....すまん。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「そんな恐ろしい物で出来てるのか.....。」
「僕は着れるよ!絶対に着れる!」
かなり便利で高性能なんだがヤバイ気配の原因は消しとくか。
手をかざし[性能]威圧を弱める。弱い魔物が寄り付かないぐらいだろう。
「おっ、只ならぬ気配が消えた。」
「僕、着れたよリゼル!」
よかった、よかった。と肩を叩きあう二人にそろそろいきますよーと伝え部屋を出るとドアが開かない。
ゴス ゴス ゴス
2センチ程開いて何かに当たる。先ほど扉に引っ掛かる様な物は無かった筈だが...。
「おやまあ、大丈夫かい?」
扉の向こうからマーテルさんの声がして何か重いものを引きずる音がした。
「おはようございますマーテルさん。....マゼルタさんはどうしたんですか?」
マーテルさんが引きずっていたのはマゼルタだったようだ。気のせいだといいが頭にたんこぶができている...三つほど。
「さあ、今来たらドアの前に倒れてたんだよ、病気かね~?ほら、しっかりしな!」
「うっ.......あれ?....!!そうだ、先ほど尋常ではない気配がありましたが大丈夫ですか!?!?」
気が付くなり青ざめた顔で起き上がり周囲を確認している。
「扉の近くまで来たらいきなり凄く恐ろしい気配を感じまして恥ずかしいながら気絶をしてしまいました。今は気配を感じませんが...あっ!!頭が痛い..気絶している間に何が??」
私たち三人はは顔を見合わせた。
(頭の原因は私が扉を開けた時のだね。)
(恐ろしい気配は僕の装備だね。)
(気絶するのは仕方ないな。あれはヤバイ。)
確かにリゼルとナハトはレベルが上がっているので威圧は効きにくくなっているからそれ位ですんでいるがマゼルタは彼等より10レベル程低いのでもろに影響を受けたようだ。
「扉に近付いた一瞬でしたけど皆さんは感じませんでしたか?」
丁度消す直前に運悪く来たということか。
「それは私が勢い良くマゼルタさんに扉を当ててしまったのを勘違いしたのでは?」
「えっ?...ああ、確かにこの頭の痛みは扉の角っぽいですね。」
「頭に痛みが走ってそれによる悪寒と気配を勘違いしたのではないですか?ほら、気絶するほどですしね。」
ナハトがフォローする。
「ほら、エルノラもマゼルタさんに謝らないとな?」
素早くリゼルも話を持っていく。
「ごめんなさい、マゼルタさん。早く部屋からでて朝御飯を食べようと思いっきり扉を開いてしまって...まさかマゼルタさんが居るとは知らなくて!反動で閉まる位強く当たったのだもの、気絶する程だったし混乱してしまったのね!本当にごめんなさい!」
両手を胸の前に組み、申し訳ない顔を瞳を潤ませながらマゼルタの顔に近付ける。
「なっ、やっ、はいぃ!大丈夫です!!私は獣騎士ですから!!全く問題アリマセン!」
顔を真っ赤にして獣耳と尻尾がピンとたつ。
ボソッと「「チョロすぎだろ..」」と聞こえたのは気のせいにしておこう。
「その朝食が出来てるから呼びに来たんだけど、本当に大丈夫かい?」
「はい、これくらいは鍛えていますから大丈夫です。あっ、あのエルノラ殿、だ、大丈夫なんですがあの、その、頭を撫でてもら、もらえませんか?」
大の男が顔を赤らめモジモジしながら聞いてくる。
「はい、もちろん。こんなことで良ければ。」
膝を付いたマゼルタのが頭をこちらに差し出してくる。
フワリとした茶色い髪を犬耳に触らない様に撫でるとマゼルタは満足したのか立ち上がった。
「ありがとうございます。私は犬の獣人なので撫でられるのが好きなのですがこの歳で伴侶や婚約者もいないので頼みづらかったんです。撫でられるなら女性が嬉しいですしね。」
本当に嬉しかったのか尻尾が揺れっぱなしだ。
「真面目そうなのにムッツリに見えてきたのは僕だけかな?」
「はいはい、さあ。食堂に行きなよ、朝御飯が冷めちゃうだろう?マゼルタも早く棒を投げてくれる人が見つかるといいねぇ。」
マーテルさんの言葉に、流石獣人を夫に持つだけありますね。とマゼルタが獣人の特性を理解しているのに感心している。
「完全な犬扱いだな。」
リゼルの言葉にマゼルタが犬獣人の中ではそれが理想的な伴侶だと聞いて妹姫の婚約者は大丈夫だろうか、たしか獅子の獣人だったか?と密かに思ったのだった。




