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Good luck in my world  作者: エンリ
第ニ章 火の国ランバ~獣王国ゼノン
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49、囮作戦 終了

犬耳青年騎士はカノンを離すと頭を一撫でしてこちらに深くお辞儀をする。


「申し遅れました。私は獣王国第一騎士団副団長を拝命しております、マゼルタ・ラタネウスと申します。賢者様のお弟子さまでAランク冒険者のエルノラ様でございますか?」


右手を差出し握手を求められているようだ。


「は、はい。エルノラです。」


名乗ったあと手を出し握手に答える。


「犯人たちの捕縛は完了しました。これから詳しい事情聴取の為に王都に移送いたします。エルノラ様のお陰で誰も何の被害も無く解決できました!まるで奇跡のような鮮やかさです。さすが賢者様のお弟子様ですね!」


「僕を捕まえた人達捕まったの?エルお姉ちゃんはどこにいったの?」


「ここにいるよ、ほらね。」


一瞬だけ魔法を発動しエルの姿になるとカノンは驚きながらも納得してくれたようだ。


「なっ、なんと可憐な!良ければわた...むぐっ、もがごご....!」


リゼルがマゼルタの口を塞ぎ羽交い締めにして別の部屋へと消えた。


「リゼル、グッジョブです。」


ナハトがリゼルたちが消えた方に向かって何か呟いていたがよく聞こえなかった。


「カノン、エルは仮の姿で本当のお名前はエルノラお姉様とおっしゃるのよ!冒険者で私たちを助ける為に自ら変装して捕まってここまで来てくださったの。」


「エルお姉ちゃんじゃなくてエルノラお姉ちゃん?」


「エルは同じだからどちらでもいいよ。」


頭をナデナデして犬耳頭を堪能すると嬉しそうに小さなフサッとした尻尾がブンブンゆれた。


「助けてもらってありがとうございます。エルお姉ちゃん!」


「私からも助けて頂きありがとうございました!エルノラお姉様!」


「どういたしまして。」


キラキラした目でお礼を言われ少し照れ臭い。


「とりあえず家に帰ろうリリア。母さんが待ってる。料理マ...じゃなかった、エルノラ様も一緒にな。」


ガルーダルさんが私の視線を感じ言葉を言い直す。


「あのぅ...少し待って頂いてもよろしいでしょうか...?」


先程よりかなり元気を削がれたマゼルタが、笑顔のリゼルに連れられながら犬耳をしょんぼりさせ恐る恐る話しかけてきた。


「兄上元気がないよ、どうしたの?」


「あ~、いや何でもないよ。ちょっと現実が壁になって、猛スピードで突進してきただけさ。」


「??」


カノンがキョトンとしてマゼルタを見るが苦笑いしながら頭を撫でて話を戻した。


「申し訳ありませんが、王都ゼノインまで参考人としてエルノラ様には必ず来て頂きたいです。....もちろん女神に誓って他意はありせん。」


少しリゼルの笑顔に殺気が滲んだが誓って他意はない、で元にもどった。横目で見るマゼルタの顔色が悪い。何をしたんですかね?リゼルさん。


「わかりました。先に依頼を受けたリリアちゃんのお母さんの所へ無事に送り届けたいのですがいいですか?」


「はっ、はい大丈夫です。まだ犯人への聴取が早くても明後日になると思いますので。ただ私も付いて行く事になりますがよろしいですか?失礼の無いように護衛兼案内もするように隊長から言われておりますので。」


仕事モードに態度を戻しマゼルタが胸に拳をあて敬礼する。


「ええ、構わないですよ。でもカノン君はどうするのですか?」


「説明が遅れて申し訳ありません。今から転移の魔石を使って我が家に連れて帰ります。」


懐からジャラっと魔石が入った皮袋をとりだす。なかには数個の二色の魔石が入っており全て転移魔法が込められているらしい。

獣王国のギルドマスターがSランク魔術師で魔石に転移魔法を付与して国に売っているためランバとゼノン間の固定転移のみ、許可され支給されれば誰でも使えるとの事。

支給された人はその本人のみ使え、盗まれたり譲渡はペナルティがあるので管理はしっかり自己責任なのだそう。


「友好国のランバと我が国は特別製の転移魔石の使用許可が騎士団に出ているため、これを使ってカノンを預けたあとすぐここに戻りますので少しだけお時間を頂きます。ではまた五分後に。」


マゼルタはカノンと手を繋ぐと獅子と鷹の紋の刻まれた魔石を二つ取り出し濃い黄色と薄い黄色の内、薄い方に魔力を流す。淡く光出した転移の魔石は二人を包み込むように光を大きくする。


「エルお姉ちゃん、また会おうね。」


カノンが消える前に笑顔でバイバイっとすると

二人の姿は光と共にフッと消えた。


◆◆◆◆


――――― 五分後


「お待たせいたしました。」


せっせと証拠品を回収している他の警邏部や獣人騎士団の邪魔にならないよう、この場所からほとんど動かずにいたらマゼルタが転移した場所へ戻ってきた。


「本当に五分後でしたね...。」


「あらかじめ話を通していたので無事に家へ迎えられ帰りました。両親からもよくお礼を申し上げてほしいと伝えられました。」


「リリア、ガルーダルさん。マゼルタさんが来たのでランバに向かいましょう。」


「おお、思ったより早かったな。リリア、モフモフを料...エルノラ様に返しなさい。」


「はーい!触らせてくれてありがとうございました。白さん、黒さん。」



「「是非もなし。」」


くったりした白、黒を回収しするとフワリと光に包まれピアスに吸い込まれていった。


《《しばらく引きこもります。》》


苦笑しながらお疲れ様、と心話で声をかけて

いるとマゼルタが驚いていた。


「気になってはいましたが、もしやフェアリーフォクスと呼ばれるモンスターですか?」


「......そうです。」


「おお!やはり、我らの国ではフェアリーフォクスはモンスターですが伝説の獣で神の使いとして賢者様と共に旅をしたと伝えられています。その伝説を見られるとは感動です。」


「ははは、たまたまですよー。賢者の弟子だからですよー。」


「マゼルタ殿、早くリリアさん達を依頼主の元に帰してあげたいので出発しましょう。」


リゼルがすかさずマゼルタを連れていった。


はぁ、やれやれとリゼルに感謝しつつため息をつくとナハトが目の前で消えた。


そして一瞬で元の場所に現れる。


「あはっ!転移できました!」


素晴らしきいい笑顔で私に出来た!と伝えてくるナハト。渡した魔道書はかなり読破したようであとは実践とレベルによる制限がかかりあと一歩の所だったが修練が身を結び中級魔法はマスターしたようで転移魔法もこの間の魔力を流しマーキングすることで行ったことのある場所に転移可能とする感覚を掴んでいたようだ。


「僕の転移で皆をランバまで送れる?」


「魔力の量的には問題ないけど人数が多いとコントロールが難しいよ。補助するからやってみる?」


「うん。でも皆が嫌がるかな?」


「失敗したら発動しないように制限をかけるから大丈夫だよ。皆にまず聞いてみようね。」


先に外へと出たガルーダル親子とマゼルタとリゼルの元に向かう。


朽ちた教会の外に出ると辺りは暗く警邏部が用意した篝火が回りを明るく照らしてくれていた。

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