5、二度あったから三度目があるかも...
とりあえずごまかそう。
「私の師匠が賢者だったので...」
ニコッ
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ビクッ
「そっ、そうでしたか、と、とにかく助かりました。ありがとうございました。」
この私の笑顔であっさりと騙されてくれただろう。目線が合わなくなったのは不思議だが。
「正確にはわかりませんが、体が本調子ではなくなった一週間前に呪いにかかった可能性が高いですね...。」
リゼルは少し考え込むように言って黙った。
(心当たりがあるのかもしれないが今は移動だよね。)
「とりあえず移動しましょう。地図はありますか?」
「はい。えーと、確かここに。」
リゼルはガサガサと外套の裏を漁ると折り畳まれた古びた紙を出してきた。地面に置いて広げてみる。描かれているのは大帝国アルネストの大陸だった。
「アルネストから東へ進んだ[古の大森林]がここになります。任務でこちらに来たのですが何故か仲間の隊とはぐれてしまい、途中でウェアウルフに襲われて何とか振り切ったのですが脚を捕られ沼に落ち、這い上がろうとしたら気を失ってしまったようです。」
どこから突っ込むべきか...幸運値がひくいのか?とりあえずここが何処なのかと西に進めば帝都があることが分かったのは上々だ。
「リゼルさんの隊がどこにいるか不明なのですが、一度帝都に行こうと思いますが、どうしますか?」
「エルノラ様、リゼルで結構です。敬語も不要です。隊は何かあった場合、帝国に報告しに一時撤退しているはずなので俺も帝都に向かいます。」
立ち上がり私に手を差し出して立たせてくれた。
「あ、ありがとうございます。っと、私もエルノラでいいよ。敬語もね。」
カバンに手を入れてロングソードを取りだす。沢山のある中で一番シンプルで扱いやすい余り物だ。ふふふっ、ヤバイ品物はだしませんよ。
「これ、よかったら使って!ロングソードだけど武器がないよりましだよね。」
ロングソードを彼に差し出すとリゼルの顔は固まっていた。
「アイテムボックスまで持っているなんて、
さすが賢者さまの弟子だな!」
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はははっ...
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リゼルに犬の尻尾と耳の幻が見える気がする。
(気のせい、気のせい。賢者の弟子は良い隠れ蓑になりそうだね。今後はこれでいこう!)
幻は気のせいにして笑ってごまかそう。ロングソードをリゼルに渡して方位磁針をカバンから取り出す。
方向を確認すると私達は歩き出した。