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Good luck in my world  作者: エンリ
第ニ章 火の国ランバ~獣王国ゼノン
42/156

41、スパイスは事件の始まり

火の国ランバ


サマナイ荒野から砂漠地帯に入るとすぐに火の国ランバの首都ララザが見えてくる。


暑い国なので防熱機能の装備が当たり前の様に置いてあり、日差しで直に肌が焼けつくこともないので歩く人々は開放的な服装が多い。


日焼けをしている人が多く見られ開放的な服装も相まって浅黒い肌が男女共にエキゾチックな雰囲気を醸し出している。


人口はそこまで多くなく民から選ばれた代表が国を担っている。商人が多くあらゆる物が流通する要の国でもあり女神教の管理する完全な中立商国でもある。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「はいよ!お待ちどうさま。」


火の国の首都ララザに着き私達はまず食堂を目指した。

かつては真っ白だっただろう薄汚れたコンクリートでできた大きな長方形の建物には窓硝子のないただ四角く切り取られたような窓穴が等間隔に開けられている。地面から2メートル程開けられた長方形の縦穴は入り口だった。

シンプルな作りだが暑さを通さず快適だ。防犯が心配だか24時間(時間間隔は現代と一緒)

店が開いてるので問題はないらしい。


こちらの食堂の女将さんはスタイル抜群のまさにボッ、キュ、ボンだ。ヘソ出しルックでパンツに薄いパレオを巻き付けその上からエプロンを着けている。両手に私達が頼んだ料理を抱えているのにバランスを崩さず運んでいい笑顔でテープルに料理を手際よくおいていく。


「コッコのスパイシー炒めとコメ炒めとコメ皮の野菜巻きハニーピリソースがけだよ!」


コッコ鳥をカリッと揚げ自家製のスパイスで炒めた香りがとても食欲をそそり、コメ炒めはパラパラに炒めたチャーハンでコメ皮は恐らく米を引いて水と合わせ薄く焼いた生地のようだ、それに色々な野菜が巻かれて皿に並べられている。上には黄色の甘辛いソースがかかっており見た目でも可愛らしく味も素晴らしい料理だった。


「もぐもぐ、このお肉ちょっと辛いけど美味しいです!」


コッコ鳥を美味しそうにパクパク食べているナハトは私の口にコッコ鳥をもってきた。


「とっても美味しいですよ。はい、あーんしてください。」


「あーん!」


パクッ


食いついたのはリゼルだった。


「あー!リゼルが食べた!エルノラにあげたのに!」


「ははは、旨い!...?...辛い!!!!!」


リゼルは辛い!辛い!といいながら水をごくごく飲んで落ち着いたようだ。


「そんなに辛いの?どれどれ?」


口に運ぼうとしたコッコ鳥は口に入ることなくシュバッと白がさらっていった。


《ん~、もぐもぐ。そんなに..あっ、...》


白は私を見て固まり、その毛皮でも分かるほどだんだん顔色が青くなっていく。


グワシッ


「わ~た~し~から直接奪うとは~いい度胸だな~!!!」


白の頭を鷲掴みにしながら見据えると涙目になりながらフサフサの耳をペタンと下ろしフルフルと震えている。辛うじて指の隙間から見えるクリンとした瞳を上目遣いで必死に合わせてきた。


《ゴメンナサイ~、お許しを~!》


《マスター!デザートありますよ~!》


黒がリゼルを前足でタシタシしながらシャーベットらしきものがたくさん盛ってある大皿を持たせ運ばせてきた。


「スイーツ!!」


白を放し大皿を受けとると早速食べ始める。

甘酸っぱいのやミルキーなの色々食べ満足した。


視界の端でアウ~、と頭を抱えている白に羨ましそうに目を向ける黒は見なかったことにする。


「おや、もう全部たべたのかい?」


女将さんが空っぽになった大皿をみて片付けながら話しかけてきたので気になったことを尋ねた。


「はい!全部美味しかったです。あの絶妙なスパイスは入手困難なチリウマの実ですか?」


「えっ!よくわかったね。初めて当てられたよ。」


「辛味の中に甘味と苦味が微かにしてふわっと花の香りがしたから恐らく間違いないと思ったんです。」


チリウマの実は料理スキルが上級になると発生するイベントで手に入る。一度手に入れたらその後半年に一回毎に採ることができるので場所さえ分かれば誰でも行くことができるのだが

イベントを起こせる上級者でないと見つけられないため乱獲はなかった。料理スキルを上げるにはすごくすごーく大変だった為上級者で情報を交換して乱獲させなかったのだ。


「味のわかる人に食べてもらえて嬉しいよ。....それにしてもどこまで娘を探しにいったのかね~うちの旦那は。」


「旦那さんがどうかされたんですか?」


「ああ、買い物に行った娘が遅いから旦那が迎えにいったんだけどまだ戻って来ないのさ。全く忙しいってのに。」


女将さんがてきぱきと片付けながら帰ってこない旦那さんと娘を遅い遅いと心配していた。



.........バタバタドタドタドタタタタ


「おい!!!大変だ!!!マーテル!!!」


食堂に体の大きな男が叫びながらドタバタと走り込んできた。


必死に走ってきたのだろう大男は汗だくで茶色の短い短髪に濃い無精髭を生やし、薄汚れた白いシャツを着崩して見た目は暴漢の様だ。ただ頭の上には髪の色と同じ丸い獣耳がある。


「あんた!遅いじゃないか!」


なんと獣耳大男はボッキュンボンの美人女将の旦那さんだった。....美女と野獣か。ありだな。


「大変なんだ!マーテル!おっおちてき...!」


ドゴッ


「あんたが落ち着きな!」


焦って噛み噛みな旦那さんに女将さんの拳が落とされた。


「すっ、すまん。大変なんだ!リリアが拐われたらしい!」


「なんだって!!それを早くお言い!警邏部には連絡したのかい!?まだならさっさとしてきな!テルサ、すまないが店を任せるよ!」


旦那さんに指示したあと調理場にいる女将に似ている男性に話しかけどこかに走って行ってしまった。


店にいた客たちもざわざわと騒がしくしていたのをピタリと止めリリアちゃんが拐われたらしいぞ、とかリリアちゃん大丈夫か?、とか心配する声が多い。


私は常連さんらしき人に話しかけることにした。


「あの、リリアちゃんて?」


「ん?ああ、嬢ちゃんは旅の人かい?」


「はい、そうです。お料理美味しかったので女将さんにお礼を言いたかったんですけど...」


「そうかい、そうかい。リリアは女将のマーテルと旦那のガルーダルの二人目の子供で14歳の看板娘だよ。可愛らしい明るい娘でしっかりしてるから迷子になんてならないし、知らない人にも付いていく様な子じゃないから拐われた可能性は高いかもしれん。」


「...もしかしてリリアちゃんは獣人ですか?」


「ああそうだ。息子のテルサは母親と同じヒューマンだがリリアちゃんはガルーダルと同じ熊の獣人だ。」


それを聞いてイベントが始まる予兆を感じた。







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