38、実は伝説級
互いの宝石を見合い、ご機嫌でピアスに消えた黒と白。
(どうやって説明するのさ!?)
リゼルとナハトからみれば昨日何事もなかったのに朝起きたら従魔が二匹......。
「よし!捨ててこよう。」
黒と白のお陰で外が明るく白んでいる。
旅服に毛布を被っていただけなので直ぐに外に出ることができる、疲れてぐっすり眠っているリゼルとナハトが起きてくる前に山小屋の近くにあった雑木林に向かう。
まだ薄暗い雑木林に着くと念じて黒と白を外に出す。
《《呼びましたかマスター》》
「...呼び方、なるべく統一してくれる?」
《僕ら二人で話し合い従魔の時はマスターって呼びます。》
《管理者形態の時はご主人様と呼びます。》
《《恋人になったらエルノラ(様)と呼びます!》》
「そう、最後だけ却下で。」
《《そんな!?》》
ショックを受ける二匹を無視して告げる。
「あと、今すぐは貴方達を連れて行けません。」
《《えっ!!何故ですか!》》
「[テイム]していないからです。」
通常、従魔師はモンスターと戦い弱った所でスキル[テイム]で捕獲する。
モンスターの[真名]をモンスターから気に入られて教えられ契約するか、無理やり真名を読み取り契約すれば仲間にする事が出来る。因みに契約は破棄できるのでモンスターは元いた場所に送還される。黒の真名は黒凰、白は白凰という名だが私以外がこの名を正確に告げることはまずない。私より神格が上の者がこの世界にはいないからだ。
「いきなりすぎるでしょ!リゼルとナハトには黒と白の事は全く話題にしてないの。賢者の弟子だとは話してるけどいきなり「私、実は従魔師のスキルも持っていて従魔を従えてるの!」って誰が信じるの!?」
「「信じるよ?」な?」
背後からの声にビクッと驚いてしまう。
恐る恐る振り返るとそこには眠そうに目を擦っているナハトとあくびをしたリゼルがいた。二人とも私と同じ簡易旅服のままなので起きてそのまま来たのだろう。
「なっ!何時からそこに!」
私が黒と白へ集中していたせいで索敵を見落としたのか?......どうやらあまりに近すぎて僅かに動いていたが気づかなかったようだ。範囲を広くしたせいで大まかに表示されているのだろう。盲点だった。
「ふぁ~ぁ。呼び方を統一しろ、からだよ。」
(出てすぐですね...。)
「...?エルノラの声しか聞こえなかったんだが独り言か?そこに何かいるのか?」
私の背中で黒と白は見えていないようだがナハトがこちらに来て目を見開く。
「わあ~!綺麗なモンスターですね~!」
目を輝かせて黒と白を見ている。リゼルもこちらに来て黒と白を見ると驚いていた。
「見たことのないモンスターだな、知性が高そうだから高位のモンスターじゃないか?」
ナハトとリゼルのモンスターの言葉に黒と白が殺気を出しかけたが綺麗と知性が高いに何とか抑えこんだようだ。気を付けないと躾の魔石が発動するよ。
《たかが人間の分際で無礼な!》
《我らを低能なモンスターと一緒にするな!》
モフモフ姿でキャンキャン吠えて喋っている姿はちょっと可愛い。
「「喋った!」」
やはりモフモフ姿では迫力にかけるらしい、ナハトとリゼルは喋ったことに感動している。
《僕達はマスターをお守りするために会いに来たんだ!》
「エルノラの為に[テイム]されてないのに探して来てくれたのか、そんな子達を追い出しすのは良くないな。」
リゼルが顎に手を当てウンウンと頷いている。
「この子達を早く[テイム]してあげてよエルノラ。」
ナハトも私にお願いしてきた。
(何か私が悪いことしてるみたいだな...まあいい感じで説明がついたからいい....のかな?)
「...わかった。」
私は白と黒に手を翳し[テイム]した。
《ありがとうマスター!》
《仕方ないから礼を言ってやる人間!》
「こっちがリゼルでこの子がナハトだよ。仲良くしないとね?」
黒と白にしか見えないように二人を紹介しながら私は笑顔を向ける。
《《...ブルブル、はいよろしくお願いしますです。》》
「あっ、ああ。よろしく。」
「何か背筋が寒いよ..」
直ぐに威圧を引っ込めリゼルとナハトに向き直る。
「こっちの黒いのが[黒]で白いのが[白]だよ。二匹はフェアリーフォックスていうモンスターで精霊と獣の二つの属性を持ってるの。」
フェアリーフォックスは二匹が擬態しているモンスターで[テイム]できるモンスターの中では伝説級で大きさを自由に変化でき属性魔法に特化しているが獣でもある為、物理攻撃も出来しかも素早い。羽根も出し入れできるので空を飛ぶドラゴン種とも問題なく渡り合える。
「へぇ~、聞いたことがないモンスターだな。エルノラのモンスターなら神獣でも驚かないから大丈夫だ。」
リゼルは色々達観したような目をしている。
....解せぬ。
「うん、そうだね。リゼルと一緒にシロとクロって呼んでいい?」
...ナハトお前もか。
《ふん、良いだろう。》
《我等を呼ぶ事は許してやる。》
リゼルとナハト、白と黒は互いに握手を交わしていた。見た目はお手をしているようにしか見えないが...。
「ピアスに戻って白、黒。」
《《はいマスター》》
二匹は光りに戻りピアスに吸い込まれた。
「そのピアスも魔石だったんだな、黒と白になって珍しいとは思ってたんだが。」
「二匹に出会った時に貰ったの、思えばこの魔石で私の場所まで来たのかも。」
「そうだろうな。いい出会いじゃないか。」
上手く誤魔化し繋げれた。リゼルとナハトと三人で山小屋に戻り出発の準備をするとまた二人に内緒で付加をつけ次の山小屋を目指す。
今の時期は入山者が少ないらしくまだ他の旅人や冒険者等にも会っていない。
おかげでゴブリン達はこちらに狙いを定めて定期的に襲ってくる為二人のいいレベル上げが出来る。
山を降りるまでにはドラゴンを刈れる位を目指す予定だよ。




