28、別名は鬼のタルナ
王様達はこれからの処理とクラウネスの罰やらハルネーゼ姫の快気祝いなどで手一杯なのでリゼルと一緒に王城を出てきた。
王城をから城門を抜ける際におーい!と呼び止められる。
振り返るとシルベスタとフォルツがこちらに走って来ていた。
「良かった!間に合ったみたいだね。」
「シルベスタ兄上、フォルツ兄上。また護衛を撒いて抜けて来たんですか?」
リゼルが二人の後ろに誰もいないのを見て苦笑いしている。
「兄上がお前達にどうしてもこれを渡すと聞かないからな。」
「フォル?これは二人で用意したよね?何?恥ずかしいの?むしろ早く渡すには護衛を撒こうっていったのフォルだよね?」
凄むシルベスタに眼鏡が曇るフォルツ。この二人はこれが定番なのか?フォルツは顔を反らしたまま私にアルネイラの花とアルネスト大陸が彫られたプレートのペンダントトップがついた金のネックレスを渡してきた。
「次期宰相と次期国王からエルノラ殿に感謝の意とこれから永く続く事を望む友好の証としてこれを送る。」
「要するにありがとう、友達になってね。これは頑張って用意した友情の証だよ。ですか兄上?」
リゼル、せっかくカッコいい言い回しだったのに台無しだよ。ほらフォルツ様、顔が真っ赤だし。シルベスタ様はニコニコがニヤニヤになってるけど。
「まあ、その通りだな。エルノラ殿には感謝ばかりだ。リゼルのお礼やハルネーゼのお礼の内容を聞いて恐らく金や名声よりこっちが喜んで貰えると思ってあれから直ぐに街の技師を召集して彫金して作って貰ったんだ。」
「こほん、とりあえずこれがあればこの大陸ならば何処の町や城も検閲なしで入ることが出来る。作ると同時に知らせも走らせたので今日からでも使える。ただ他の者が持っていても使う事はできないので君の手元に有る限りその仲間も入れる。こちらに報告されるのは目を瞑ってほしいね。あとエルノラ殿から急な知らせがある時等はこれで蝋封を捺して送るといい。」
フォルツが気を取り直し説明する。
魔石の報酬として王様に頼んだアルネストの万能通行証は友情の証として二人が用意してくれたようだ。
「父上には私から伝えておく。」
シルベスタが、私の思っている事を察したようだ。さすが次期王様ですね。
「はい!ありがとうございます。」
「また気軽に寄ってくれ。リゼルディス、王籍を抜いても我らは兄弟だからな。」
「はい、兄上達。...そうだ父上と母上がお二人の護衛頭にタルナをつけるらしいですよ。」
リゼルの言葉にシルベスタとフォルツは顔を青ざめた。
「いっ、いつからだ!?」
「兄上、早く戻りましょう!!見つかれば鬼の...」
「おやおや、お二方ともこんな所にいらっしゃるとは...」
「「ヒイッ」」
音もなくいつの間にかシルベスタとフォルツの背後にタルナが立っていた。
顔をが笑っているが目が笑っていない。
「これはエルノラ殿、リゼルディス様、旅の無事を祈っておりますぞ。ではお二方とも参りましょうか。」
タルナに引きずられていくシルベスタとフォルツ。王太子それで良いのか?リゼルの兄ってことは21以上の大人のはず...大丈夫かこの国...
「タルナの扱きはきついからな~、兄上達大変だな~。まああれも甘えだよな。....」
リゼル、棒読みだよ。護衛達の苦労に比べたらましか~とか俺も兄上達には撒かれたな~とかその度にタルナにしごかれたな~とか恨みがあったのか?美しい兄弟愛かと思ったら実はざまぁ系?
「騎士団長の仕事に護衛団長は大変だね。」
「ん?聖騎士団は王城警備と要人警護と王族の警護、三つの仕事が主体なんだ。だから交代制だったのがあの二人に限りタルナ騎士団長が専属になるってだけだからあんまり変わらないかな。他の騎士が就くよりタルナは二人の行動を読むのが上手いから兄上達にとっては大変だろうね。ちなみに兵士たちが街の管理や対処を主にしていてそれを統括しているのは聖騎士団長と副団長だな。モンスター退治は聖騎士団と兵士が共に行くんだ。」
だから聖騎士団詰所はかなりの広さだったんだね。兵士の詰所は何ヵ所かに別れているらしい。門と街中と騎士団詰所の隣。それぞれに対処出来るようにらしい。
ゲームの時はあまり気にしない場所だったけど確かに現代でも警察署や交番が各地にあるもんね。
貰ったアルネストの万能通行証を[大事なもの]にしまう。
城門をくぐり隣にある騎士団詰所へ向かった。




