25、気まぐれってある意味怖い
リゼルとタルナに連れて来られたのは城の中にある広い食堂だった。
昼より少し前の為か人が少ない。
ここは城の大食堂で王と王妃、王太子様と姫様以外は皆こちらを利用しているとの事。
騎士団が半分以上入れる大食堂なのでとても広く、長いテーブルを連ならせたものを縦長に三ヶ所設置されており入口から食べたい五種類の料理の番号札を1つ受け取りその先にある提供場にいるコックに番号札と量を伝えると料理が出てくる。そのまま料理をもって空いてる席に順番に座り食べ終わったら提供場の反対側に食器を下げて出口から出るスタイルだ。
1、 キノコとチキンのグラタン
2、 クラーケンのバター焼き
3、 タイギョと貝の海鮮スープ
4、 ビッグクラブのクリームコロッケ
5、 料理長の気まぐれすぎる何か
5番以外は全て美味しそうだ。
何だ気まぐれすぎるって!すぎちゃダメだろ。
でも気になる。ちなみに料理に使われる食材の名前等はゲームのままなので何となくわかる。
日本のゲームなのでカレーやラーメン等もどこがで食べれるはずだ。
「エルノラは何にするんだ?帝国は海に囲まれてるから海鮮が特にオススメだな。」
「3番にする。5番がすごく気になるけど...」
「あ~、俺は食べたことがないがタルナは毎回食べてるな。」
「はい。今日も頼むつもりです。」
「何がでてくるんですか?」
私が聞くとタルナが困ったように答える。
「そうですな~、一昨日は辛いような酸っぱいようなシュリンクでしたな~。」
シュリンクはたしかシュリンプだったか?ならエビチリっぽいのか?
「その前は何か沢山串に刺した野菜と何かの肉でしたな~。」
聞いてる限りではただの気まぐれか?
「ただ凄く辛くてしばらく口が腫れ上がりましたがね、ハハハハ!」
気まぐれすぎるのは辛さ加減か!
「かなり前に汗が尋常じゃないぐらい出てたのもそのせいか!?」
「そうですね、癖になるんですよ。」
タルナが5番の札をとって提供場に向かうと奥からボヨンとしたお腹のコックが出てきて土鍋のような物を渡している。あれが料理長らしい。
タルナがそれを受け取り席に向かった。料理長はタルナをじっと見つめている。
土鍋の蓋を開けて、見えたのはまるでマグマのようにグツグツと煮立たせた真っ赤なトロミのあるスープとそこからはみ出す茶色い塊だ。
「いただきます。」
タルナが茶色い固まりにスプーンを差し込むとホロホロと崩れていく。どうやらお肉がトロトロに煮込まれていたらしい。赤いマグマに浸っていく。スープが絡んだ肉をタルナが掬い上げ口に入れる。
ゴクッ
私とリゼルの喉がなる。
タルナが口に入れた瞬間、頭と顔から尋常じゃない汗が吹き出す。それでもタルナが口にどんどん肉とスープを流し込む。
汗が流れ顔を真っ赤にしながら土鍋を手に持ち最後の一口を流し込むと静かに土鍋を置く。
「ごちそうさまでした。」
タルナが席を立とうとした瞬間、
バタン
タルナはテーブルに倒れた。尋常じゃない汗はそのまま心なしか痙攣している。唇は真っ赤だ。
「タルナ騎士団長!漢だね~!」
料理長が拍手を贈っている。その回りにいるコック達も感動したように拍手している。
「あれは大丈夫なのかな?」
私がリゼルに聞くとタルナは30分後には通常に戻るらしい。
「さあ混む前に俺達も食べよう。」
私は3番をリゼルは1番を頼んだ。二人でタルナの向かいに座り食べ始める。
「「いただきます。」」
リゼルのグラタンはたっぷりのベシャメルソースと大きく切られた鶏肉は少し焦げ目がつけられておりキノコも沢山入っている。マカロニはシェルマカロニで上から香ばしく焼かれたチーズがスプーンによってトローンと伸びてとても美味しそうだ。
私の料理はアクアパッツァと呼ばれるものだろう。貝類からでた濃縮されたスープが表面を香ばしく焼かれたタイギョの身に染み込みまたそのタイギョからの白身魚の脂がのっているのにアッサリとした旨味がスープに流れ相乗効果を生み出している。そこへ柔らかいパンをつけて
旨味溢れるスープが染み込ませ口へ運べば...
「んふぅ~~~!!」
余りの旨さに声が出てしまったが、構わず食べる。
「美味しそうに食べるな~。」
「俺達もあれにしようぜ!」
「リゼルディス様の美味しそうだな。」
・
・
どうやらお昼が近付いて来たらしい。ちらほらと城で働く方々が食堂に入ってくる。
「「ごちそうさま。」でした。」
しっかりと味わいつくし挨拶をして席を立つ。
「ふぅ、今日は一段と刺激的でしたな!」
タルナも復活して後を追いかけてきた。
食堂を出る頃には入り口には人だかりができていた。




