23、注射はきらい?
注射が苦手な方は少し注意
騎士団に寄って小さなダークエルフを預ける。
ここには治療施設があるので診察してくれるとの事。
タルナとリゼルはここで別れ、後処理をするのでまた後程!と言って詰所へ。
クラウネスは城に戻り花を保存してから身体を休める(死にかけたしね...)との事なので私も宿に戻ろう。昼の鐘が鳴る頃に迎えに来てくれ城で昼御飯を頂けるらしい。
眠り姫の解呪もその後に王様王妃様が同席の元執り行う予定である。
あれ?解呪はもしかして私の仕事ですか?
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宿に帰ってきてそのまま洗浄魔法を使いベッドに倒れ込む。定期連絡しなければ...。
ピコンピコン
左耳から音が鳴る。
外に聞こえるわけではないから回りは気にしないでいいが眠い頭には響く。
《定期連絡忘れないでくださいご主人様、今やっと人の気配が消えたので連絡しましたがまさか男ではありませんよね?...やっぱり姿を変えてそちらに...》
《忘れてないし、違うし、来なくていいから。定期連絡もせめて一週間ごとにしない?》
《...人姿がいいですか?小動物なら邪魔にならないですかね?》
《冗談です。》
《白にはその冗談は通じないですからね。我らは貴女様の守護者。一言でもいいんですよ、無事が確認できれば...》
《...わかった。》
《白には人の気配が無い時か、ご主人様からの連絡が来るのを待つように伝えます。が、なるべく順番で我慢している我らの想いも考慮して頂けると幸いです。》
《はい...。》
《...まあ、でも放置プレ...思えば...
あ、そういえば一つご報告がありました。》
《...うん...》
《魔...が、どこか...に...もし、....たらご連絡......聞いて....か?》
(黒が何か言ってる....)
耳に残る、聞こえてますかーの言葉を最後に私の意識は眠りの世界へ落ちていった。
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その頃、騎士団詰所 医療所 ギナマ医師
先ほど連れてこられたダークエルフの子供が、寝台に横たわっている。
朝一番の急患だったので驚いたが診察した所特に衰弱、沈黙以外は問題なかった。沈黙は治療したが衰弱の治療をするところで問題が起こる。
体力は魔法で何とかなるが衰弱は栄養不足等も含まれる、口から薬湯を摂取してもらおうと吸い飲みで与えようとした所全く口を開けないのだ。
騎士団長様と副団長(第四王子)直々に頼まれたのにこのままでは更に衰弱してしまう。
何より奴隷の首輪を着けられた状態では自己回復も無理だろう。
何とか口を開けて貰うことはできないのか。
「....そうだ、注射があるじゃないか!」
最近やっと他国からの新しい医療が国に認可されたのだ。それは医療用に開発された穴の空いた細い針で血の流れに直接薬や液体を流すもので注射という。
私は早速、助手に用意してもらう。
手順をしっかり頭に叩きこんであるので問題ない。
「先生用意ができました。」
「ダークエルフちゃん、ちょこっとチクッとするよ。」
マニュアルに書かれていた言葉をかけ少し浅黒い小さな腕の血管を探り表面を消毒する。
いざ注射の針が腕へと....
ポキッ
「エッ!....」
針は腕に刺さると思われた瞬間に折れた。
針と小さな腕を交互にみる。
「....ウッ....」
小さな腕の持ち主が初めて言葉を発した。
うっすらとつぶらな瞳を開き現れたのは薄い紫色だった。
その綺麗な瞳がだんだん水が溜まり潤んでいる。
「ウエッ....グスッ....」
嗚咽からどんどん声が大きくなってくる。
その泣き声に反応してか錆びた銀色の様な髪がフワリと広がり身体をから無かったはずの魔力が漂いはじめる。
「これは....不味い。」
内包魔力が高い幼い子供に起こりやすい魔力暴走。段々と魔力の色がはっきりと見える様になり黒い触手のようにダークエルフの子供に現れる。
「ウワァァァァン!フェェェェェン!!」
豪快に泣き出した。
それに反応した黒い触手魔力はダークエルフの子供を包み込み守る結界の様に変化した。
「なんだ...これは、只の暴走じゃないな。注射を攻撃と見なしたのか?...あ~不味いな、泣かないでくれ体力が更に失くなってしまう...どうしたものか...」
「先生とりあえず回復魔法を!私は騎士団長様達を呼んで参ります!!」
優秀な部下が応援を呼びに行った。
私は私の出来ることをする。注射はちゃんと本人確認してからにしようと心に決めた。
だからもう泣かないでくれ。医者が患者を更に悪くするなんて耐えられない。
ダークエルフの子供の体力がこれ以上減らないように部屋中に黒い魔力による荒れ狂う魔力風に歯向かい両手をかざし回復魔法を行使する。
回復魔法は拒絶されず受け入れられた。だが自分も長くは持たない。
(誰かこの子を泣き止ませてやってくれ!)
そう願いながらひたすら回復魔法を使いつづけるのだった。




