20、ただいま...森
結局転移魔法は諦めました。
今私はリゼルの馬に乗せてもらってます。落ちないようにと囲われるように腰に手を回され片手で手綱を捌いてます。横乗りでリゼルに抱きつくような形は恥ずかしいぞ!後ろにすれば良かった....。
「森が見えてきたな、エルノラもう少し馬を飛ばすからしっかり捕まっててくれ。」
リゼルの言葉にぎゅっと回す手に力を込めた。全力で抱きしめたら骨が粉々になるんだろうな~と少し思いながら。勿論加減して。その時リゼルがビクッとしたのは気のせいだろう。
ただいま森。
短い別れだったね。振り出しに戻ったよ。
ちなみに森の奥の泉のさらに奥にある遺跡がスタートだよ。あはは。
「エルノラ殿どうかしましたか?」
タルナが森の入り口の木に馬を繋げながら死んだ目をする私に話しかけてきた。
「ははは...行きましょう。」
「???」
「エルノラは俺の隣に、兄上俺の後ろに来てください。タルナは後ろを任せる。」
「了解。」
「わかった。」
リゼルが先導して森に入っていく。常に索敵のスキルが発動しているのでモンスターの位置は把握しているが彼等の成長を促すため敵を見極めながら誘導していく。
「森の中で炎系の魔法は使わないで、氷系か風系統に!」
「わかっている!」
森の半ばに来るまでにはモンスターの遭遇率が高く数も群れているので多い。ウインドウルフが一定の距離を保ちながら襲うタイミングを見計らっている。
「[アイシクルランス]」
クラウネスが氷の槍を複数出現させウインドウルフ達を散らす。そこにタルナが身の丈程ある大剣をウインドウルフ目掛けて横に薙ぐ、ウルフはキャィンと鳴いて光の粒になって消えていった。
「あと、三匹ですかな?」
「こっちは片付きました。リゼルは?」
「こちらも片付きました。兄上、ちゃんとアイテム拾ってくださいね。」
「わかっている!」
タルナの方にいる三匹にリゼルが走り寄り私が貸し与えたロングソードで屠っていく。
「これで終了!!」
最後の一匹を走りながら一閃するとブンッと振って鞘にしまった。
索敵の範囲にはモンスターが居なくなったようだ。サーチで三人のステータスを見ると
[リゼルディス]レベル38
[クラウネス] レベル30
[タルナ] レベル35
となった。まあこれなら森の守護者があれでも勝てるだろう。
辺りが暗くなり昼間は雑草だと思っていた花の蕾が淡く光を灯しだす。花が開きだすと淡い光は明確な光を花びらから発光して見えづらかった獣道を照らし出した。
「この花が照らす道を辿っていけば森の奥の泉につくんだな!」
クラウネスが照らされた道を我先にと行こうとする。
「クラウネス様、死にたいんですか?道が現れただけで危険は回りが暗くなったぶん増してるんですよ。」
常に索敵をかけてはいるが何事も絶対危険が無いともいえないし、ましてや彼らは私がモンスターの位置を確認出来てるのも知らない。
「すまないエルノラ殿...、気が焦ってしまった。」
魔術師である彼は魔法を駆使して戦うため後衛にいなければならない、前衛は直ぐに攻撃でき奇襲に対処できる戦士系がベスト。
私の職種である魔剣士は魔術師と剣士の両方を極めてから選択できる。両方を兼ね揃えているので便利なのだ。
「気をつけて下さいね、先を急ぎましょう。」
光の花を頼りに警戒しながら進む。
「兄上はあまりモンスターの戦闘に慣れていないんだ、宮廷魔術師だからな。」
「宮廷魔術師?」
「普段は引き込もって研究をしてるんだ。たまに外で結界を張り直したり古い文献を読んで魔法を使えるように解読したりだな。モンスター退治は部下が聖騎士団に同行したり、兵士の元に派遣したり私は余り出ないんだ。」
「それでよく王さま行けって言いましたね。」
少し呆れてしまう。リゼルは苦笑しながら
「だから隊で行こうとしてたんだろ?今回はエルノラの進言で俺達だけで行くことになったけど、賢者様の弟子がいるからってのもあるんだ。それに俺達は軍属だから覚悟はあるんだよ。」
「だからこそ、王妃様が気を揉んでおられるのですよ。」
タルナがリゼルディス様も心配かけているんですよ、と窘めた。




